終活の始まりはエンディングノートから
エンディングノートの作成を終活の第一歩にしてはどうでしょうか?
最近は世間一般に認識された感のある「終活」ですが、どうしても「遺言、相続、葬儀」といった言葉を連想させます。
終活の当事者である高齢者にとっても、その年齢に達した親を持つ子供世代にとっても、まだある種の抵抗感があるのも事実でしょう。
さらには、遺言を用意しようと思ったときには、漏れのないよう、完璧なものを用意しなくてはと、よけいあれこれと考え込んでしまい、その結果、早々に挫折してしまい先送りしてしまう…
最初から完成品を作ろうとは思わずに、軽い気持ちで取り組めばいいのです。
その第一歩として比較的抵抗なく始める事が出来るのが、「エンディングノートの作成」です。
エンディングノートの効用
今では普通の書店でも書棚に並んでいる様々な形式のエンディングノート(一部はライフプランノート等と呼称)ですが、書き込む内容についてはほぼ共通です。
記載する内容は大きく分けて4つに分類できます。
1)貴方自身のこと
2)金銭に関する事
3)健康に関する事
4)葬儀や遺言に関する事
1)に関する項目には貴方の名前・生年月日・血液型・住所・連絡先・親族や家族構成とその連絡先等です。
まだ仕事を続けている場合には会社名・所属部門・連絡先・仕事仲間も必要になるでしょう。
さらには学生時代の友人や知人、会社以外の知人等のリストも対象になります。
中でも交友関係、人脈の棚卸しは、いつか迎える自分の葬儀の際に「葬儀に参列して欲しい人物=連絡をして欲しい人物」の選択を容易にしてくれます。
2)については定期的な収入がある場合にはその内訳(給与、年金、家賃収入等)と取扱金融機関に関する情報が該当します。
金融機関名、口座名、入金方法(振込等)、通帳の所在等も欠かせません。
預貯金や有価証券等の金融資産の内訳も必要です。取扱金融機関名と連絡先、名義人、口座番号、最近の残高(評価額等)を記載します。
他にも不動産の場合はその種類(土地か建物かそれ以外か)名義人名、所在地、登記簿記載内容等を正確に記載しましょう。
この他にも加入している各種保険の内容や、所有する貴金属についても記載するようにしましょう。
この作業はそのまま「相続財産の棚卸し」に繋がりますから、現時点で相続や遺言で考慮すべき財産の全貌を把握出来ることになります。
3)についてはこれまでの病歴やかかりつけの病院名、担当医名を記載したり、アレルギー等の有無、服用中の薬などを記載します。
特に一人暮らしの方は、周囲にこの項目に関して知る人がいない場合が多いので、必ず記載することをお勧めします。
最後の項目は最も筆が進まない項目と思いますが、自分の希望を書いておくことで遺族の負担を大きく軽減させることになると割りきって書きましょう。
葬儀は必要か無用か? 必要であれば宗派と菩提寺の所在地と連絡先、葬儀費用の備え、遺影の指定(又は保管場所)、埋葬場所(菩提寺か墓地、霊園の名称等)あるいは散骨や樹木葬等を希望する場合はその旨を書いておきましょう。
実はエンディングノートで最も効果を発揮するのは、この項目なのです。
仮に遺言書を用意し、その中に葬儀に関する希望を記載しても一般的に遺言書を開封するのは葬儀を終えた後に遺族一同が揃った場で、初めて公開されます。
その結果故人の希望に沿わない葬儀を執り行っていたとしても、もはや後の祭りです。
最後に、遺言に関することも記載するとしていますが、これは遺言書の有無やその種類(公正証書か自筆証書か等)遺言執行人の希望や意中の祭祀承継者の氏名、家族やお世話になった方への最後のメッセージ等を指します。
ただし、実際の遺言書と同じ内容を記載しても、エンディングノートには遺言書としての法的な効力はありません。
エンディングノートを作成していく上で注意する点
今迄紹介してきた内容は最低限必要と思われる項目ですが、それでもかなりの分量になると思います。
この作業も終活と同じく、一気に正確な内容で完成を目指すのでは必ず途中で挫折、先送りからの放置・放棄に至ります。
例えば今月中に自分自身に関する項目だけをまとめればいい、というような余裕のある作業日程を組むことです。
一つの項目が完成すれば、達成感も味わえ、次の課題に臨む意欲も湧いてきます。
エンディングノートを書き進めるうちに対処する課題の優先順位なども見えてくることも少なくありません。
やりやすく、進めやすいところから始める終活として、エンディングノートの活用を親子で検討してみては如何でしょう?
(寺田 淳/行政書士)
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