映画『ぼくのおじさん』戸次重幸インタビュー「ストレートに良い人を演じるのは難しい」
『どくとるマンボウ航海記』の作家・北杜夫が自身をモデルに書いたロングセラー同名小説を映画化した『ぼくのおじさん』。大人なのにお小遣いをもらい万年床でマンガを読む、ダメダメなのになぜか憎めない“おじさん”と、小学生の“ぼく”のゆるい冒険を描いたヒューマンドラマです。
山下敦弘監督がメガホンを取り、主演を松田龍平さんが務めた本作で、おじさんの恋敵である伸介を演じたのが戸次重幸さん。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバーとして映画、ドラマ、舞台と様々なフィールドで活躍する戸次さんに、映画について色々とお話を伺って来ました。
―本作大変楽しく拝見させていただきました。とても愛しくて癒される、心が暖かくなる作品ですね。
戸次:これぞ「老若男女どなたでも楽しくご覧になれる」という作品ではないでしょうか。空気感が暖かくて、笑えて、ちょっとホロリとさせられて。僕も癒されていました。最初にお話を聞いた時は「松田龍平君がおじさん?!」と驚いたのですが、ちゃんとすごくハマっているんです。とても愛らしくキャラクターを演じられていて、あの脱力感が見ていて素晴らしいな、と。
―“ぼく”とおじさんのやりとりも可愛らしくて。
戸次:子供に呆れられているおじさん、ね。いい大人が子供に頭が上がらない。でも、おじさんはその事実を認めない。この絶妙な関係性が笑えました。でもこんなおじさんいたら、子供は絶対好きだと思うなあ。
―一方、戸次さんが演じられた伸介は、ド・ストレートな二枚目キャラクターでした。
戸次:ちょっとカッコ良すぎですよね(笑)。少々崩れていたり、クセがある正確の方が演じ易いんですが、今回は真っすぐに二枚目、良い人というキャラクターだったので難しかったです。
―伸介に共感した部分、戸次さんご自身と似ている部分はありますか?
戸次:恋愛に一直線で一途な所は似ているかもしれませんね。
―好きな人の為ならハワイまで追いかけてしまうほど?
戸次:う〜ん、ハワイねえ、ハワイかあ。でも好きだったらしちゃうでしょうね(笑)。
―ハワイロケなど、撮影はいかがでしたか?
戸次:今回、ほぼ順取り(映画のストーリー展開と同じ順番で撮影する事)だったので、ハワイでの撮影初日が松田さんと顔をはじめてしっかり合わせるという感じで、伸介とおじさんが初めて会話をする緊張感がそのまま出せて良かったと思います。ハワイロケでは、オフを前後につけて少しのんびり過ごせたので、自分自身のリフレッシュにもなりました。
―最近、戸次さんをはじめTEAM NACSの皆さんはそれぞれ大活躍で、お忙しい日々が続いていると思います。
戸次:本当に有り難い事ですね。でも、それぞれが忙し過ぎて、TEAM NACSの舞台公演が3年に1回くらいになっています。本当は2年に1度はやりたい。舞台って映画やドラマと比べて稽古の時間など、皆集まってやらなければいけない事がすごく多いから、なかなかスケジュールが合わなくて……。いや、でもずっと舞台を楽しみにしてくださる方がいて、僕達のスタートは舞台で、近いうちに絶対実現させて、皆さんにお楽しみいただける舞台を作っていきますので、待っていてください。
―ちなみに他のメンバーの活躍などを見て「自分も頑張ろう」と思ったり、ヤキモチを妬いたりする事はあるのでしょうか?
戸次:ヤキモチとかは全く無いですね! すごいな、頑張ってるな、とはもちろん思うし楽しませてもらっています。TEAM NACSってそれぞれ一人が「有限会社」で、集まって大きな企業になっているような(笑)。それぞれが自分の意志で活動が出来ていて、なので集まった時にさらに楽しくなるのだと思います。
―有限会社とは言い得て妙ですね(笑)。今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
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