マンガ『MAJOR』に学ぶ、チームワークを生み出す方法――大事なことは全部マンガが教えてくれた
©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、絶大な人気を誇る野球マンガのひとつ『MAJOR』(©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス)より、チームワークを生み出す方法をご紹介します。
そのチームワーク、本物ですか?
「チームワーク」という言葉を、「チームの和を乱さないこと」と同義に捉えている方、いませんか?チームの和を乱さないようにするため、相手に遠慮したり、なぐさめの言葉をかけたりしても、それはチームワークとは言わないのです。
そんな、チームワークを生み出すために必要な要素を説いた1フレーズがこちら!
“自分と戦って―――
仲間と戦って―――
そして相手と戦って勝つ―――!!
そこで全員が苦しんで流した汗の分だけ―――
チームワークは生まれるんだ!!”
©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス
主人公の吾郎が所属する三船東中野球部は、存続の危機を乗り越えていよいよ大会にのぞむことに。しかし大会直前、吾郎の投げるストレートが「ただ速いだけの棒球」であることが判明。このままでは勝ち抜くことが難しいと感じた吾郎は、チームメイトに何も告げず、自分の投げ方を改造する秘密特訓に入ります。
それから1週間、いよいよ1回戦が始まるというタイミングになっても吾郎はグラウンドに現れません。急造ピッチャーでなんとか凌ごうとしますがうまくはいかず、初回から3点を失ってしまいます。そこにようやく吾郎が到着し、スピードは出ないまでもキレの増したボールで打者を打ち取っていきました。
しかし、いくら秘密の特訓をしていたとはいえ、勝手にチーム練習を休んだり、ピッチングを変えるという大事なことを事前に相談せずに行ったりした吾郎の行動を、チームメイトは「チームワークを乱す自分勝手な行動」と責めたてます。結局自分の勝ち負けしか頭にないのか、と。
自分の何が悪いのかがわからない吾郎は、プレイが再開してからも、チームメイトのミスに対して厳しい言葉をかけます。そんな吾郎を見かねてチームメイトの山根が「ドンマイのひとつも言えねーのか、てめーは!」「これ以上チームワークを乱す気か!?チーム練習にも参加しないようなやつに味方の守りをとやかく言う資格はねぇ!!」と詰め寄ってきました。
その言葉を聞いて、ついにイライラが限界に達した吾郎。山根の言葉を一笑に付し、こう返しました。
そーかよ。それがおまえらの考えるチームワークってやつかよ。
どーりでオレ一人浮いてると思ったよ。
群れて馴れ合うのがチームワークだと思ってる甘ったれ共といっしょじゃ勝てるもんも勝てやしねーぜ。
©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス
そして試合を途中で放棄して帰ろうとする吾郎。
山根はあわてて「いい加減にしろ!さんざんチームワークを乱しといてその責任もとらずに逃げ出す気か!!」と吾郎を引き止めようとします。
そんな山根を睨みつける吾郎。
チームワーク、チームワークってバカじゃねーのか!
うわっつらだけのインチキチームワークなんぞヘドが出るぜ!!
©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス
突き刺すような吾郎の言葉に、山根は言葉を失います。
チームができてたった二、三か月のうちなんかに、
ハナからチームワークなんかあるわけねーんだよ!!
だからまずいプレーをとがめもせずにドンマイって言うことでチームワークを装うのか!?
だからみんなそろって練習したり、自分のこと相談したりすることでチームワークをつくろうのか!?
全然違うね!チームワークってのはそんなことで作られるもんじゃねえ!
自分と戦って―――、仲間と戦って―――、そして相手と戦って勝つ―――!!
そこで全員が苦しんで流した汗の分だけ―――、チームワークは生まれるんだ!!
©満田拓也/ 小学館・少年サンデーコミックス
かつて、圧倒的な強敵を前に、チーム全員がギリギリまで力を振り絞り、ボロボロになりながらも最後まであきらめずに戦い、ついにはその強敵に勝つことができた。そんなシーンを思い浮かべながら吾郎は力強く語りました。
「チームの和を乱さない」ことが最優先ではない
同じ職場で働く以上、気まずい関係にはなりたくないものです。本当は叱りたい場面でもチームの和が乱れてしまうことを恐れて、本当に言いたいことを飲みこんでしまうこともあるのではないでしょうか。
確かに、チームの和は乱れないに越したことはないでしょう。しかし仕事においてそれ以上に優先されるのは、定められた目標を達成することです。達成が目的であり、チームの和を乱さないことはそのための手段のひとつに過ぎません。目標達成のために各自が全力を尽くした中で生まれてしまったミスは叱らなくてもいいかもしれませんが、全力を尽くさずに発生したミスであれば、それは例えチームの和を乱すことになったとしても、指摘するべき事柄といえます。
何よりも共通する「目標」の設計が重要
そのために組織のリーダーに求められるのが、チーム全員が目指すべきビジョン、目標を設定し、チームメイトに理解してもらうことです。スポーツのように「試合に勝つ」というわかりやすく全員が共有できる目標を設定するのです。全員がその目標を達成するために全力を尽くしたいと思えるような目標にしなければなりません。
目標達成に向かって、全員で全力を尽くす、その約束さえチームメイトと結べれば、仮に厳しいことを言ったとしても、チームの和が乱れることなく、本当の意味でのチームワークが生まれていくのではないでしょうか。
>>『大事なことは全部マンガが教えてくれた』シリーズ監修:リクナビネクストジャーナル編集部
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