ニール・ヤング、度胆を抜かれた70歳の若々しいパフォーマンス / 【デザート・トリップ】2日目ライブ・レポート
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ステージ後方には「SEED」と書かれた茶色の垂れ幕、そしてステージ両サイドもスクリーンの半分以上が幕で覆われ大小6つのテントが置かれたセッティング。趣向を凝らしたステージ・セットは、ルーツ・ミュージックの雰囲気が現れていた。
日は沈んだものの、まだ少し明るい時間にニールが登場。ソロのピアノで「After the Gold Rush」からスタート。その切なくて優しい演奏とニールの衰えることのない伸びやかで、それでいて貫禄のあるヴォーカルに一瞬にしてライブに引き込まれた。続いてハーモニカで始まった「Heart of Gold」で会場は一気に盛り上がり、ステージ上のニールと観客との一体感をこの冒頭で確かなものにした。「Mother Earth」ではパイプ・オルガンで奏でる壮大な音色とニールの歌声に、つい涙腺がゆるくなってしまうぐらい感動的だった。
そして5曲目からプロミス・オブ・ザ・リアルが登場。ニールに比べるとかなり若いメンバーだが、ニールのギタープレイに負けない演奏力は凄かった。そして満月のこの夜に「Harvest Moon」という選曲で、途中スクリーンに満月を映す演出。セット中盤のMCでは「曲をたくさん用意してきてないんだよ」と言って、ステージに設置しているニールの体よりも大きいボードを持ち上げ、なんとそこには最低でも50曲は書かれているリスト。その時の気分や状況でセットリストを変更していくのだろうか?それにしても、どれが出てきても演奏の準備ができてるこのバンドメンバーの演奏力は凄い。「今日は5分早くライブがスタートしたから何やってもいいよね?」と言って曲を指さして「Alabama」。このあたりになると、ギター色が強い選曲で、スピーカーからの音量も格段にヴォリューム・アップされていた。「Cowgirl in the Sand」では15分はあろうかというジャム・セッションで、文字通りギターを掻きむしるような演奏には痺れた。
後半MCで「カリフォルニア!オーガニック・シードの土産を持ってきたぞ!タダでやるよ。でも、使って捕まったら罰金だからな」と籠の中にある大量の白い袋をバンド・メンバーと一緒に観客に投げ、「Seed Justice」を演奏。オーガニック・シードをカリフォルニア内の郡をまたいで取引を禁じる州法を批判した行為で、海外ならではのパフォーマンス。
たくさんのアーティストにカバーされている「Like a Hurricane」や最後は「Rockin’ in the Free World」で2時間を超えるセットが終了。演奏力と彼のヴォーカルを体感して、10年以上余裕で衰えず現役でいれそうな怪物級のパワーに完全にノックアウトされたセットだった。
Live Photo: Kevin Mazur for Desert Trip
◎公演情報
【Desert Trip】
2016年10月7日(金)~9日(日)、10月14日(金)~16日(日) ※現地時間
出演:
10月7日&14日(金) ザ・ローリング・ストーンズ、ボブ・ディラン
10月8日&15日(土) ポール・マッカートニー、ニール・ヤング
10月9日&16日(日) ロジャー・ウォーターズ、ザ・フー
INFO: http://deserttrip.com/
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