ネット時代にジャーナリストも模索 ”起業家ジャーナリズム”とは
朝日新聞編集委員(IT担当)である平和博氏は2011年11月17日、ニコニコ生放送「朝日新聞 Journalism 『ジャーナリスト教育の新視点』~ソーシャルメディア時代のジャーナリズム~」に出演。平氏は、アメリカで行われているジャーナリスト教育における新たな試み「起業家ジャーナリズム」教育を紹介した。
平氏が取り上げたのは、アメリカ・アリゾナ州立大学のダン・ギルモア教授。ギルモア氏は「起業家ジャーナリズム」の必要性を提唱し、その実践も行っている。平氏によると、ギルモア氏は「メディアに就職するための教育ではなくて、自分でメディアを作ってしまう。ウェブサービスとしてのジャーナリズムという考え方で、ビジネスも含めて持続可能なメディアを作る」ための教育に取り組んでいるという。
「起業家ジャーナリズム」教育とは、いわゆるジャーナリズムを学びつつ、メディアとしての運営資金を生み出す思考”起業家的資質”も身に付けるジャーナリストを育てることと言えそうだ。平氏によれば、アメリカで同様の取り組みを行っているのはギルモア氏だけではないという。「ニューヨーク市立大学でも『起業家ジャーナリズムコース』がちゃんとある。その(教育の)成果を、例えばニューヨーク・タイムズと提携して、発表していく新しい取り組みも出てきている」
しかし、司会を務めたニコニコニュースの亀松太郎編集長が指摘するように、ギルモア氏は自著の中で
「いろいろな(起業家ジャーナリズムの)”実験”が行われているが、あくまで実験なので、ほとんどは失敗する。その中でいくつかだけでも(経営に成功して)残れば十分価値がある」
とも述べており、実際の起業には大きなリスクを伴うのが現実のようだ。
果たして、「起業家ジャーナリズム」教育が、「良質のジャーナリズムを維持しつつ、持続可能なメディアを生み出す」という資本主義経済における難題の解決に貢献することはできるのだろうか。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「起業家ジャーナリズム」の解説部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv70395203?po=news&ref=news#1:02:12
・平氏がまとめたダン・ギルモア氏の講演録「ソーシャルメディア時代の新たなジャーナリズムのかたち」
http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/special/2011111600007.html
(丸山紀一朗)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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