『スーサイド・スクワッド』のダイバーシティを担う二人に直撃 「人間関係を構築するのに必要なこと教えよう」

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バットマンやスーパーマンたちによって投獄されたDCコミックスの悪党たちを主人公に描く映画『スーサイド・スクワッド』(9月10日公開)。一癖も二癖もある“悪人オールスター”が、減刑と引き替えに無謀な極秘ミッションへと挑むアクションエンターテインメントだ。

先日開催されたジャパンプレミアには、凄腕スナイパーのデッドショット役を演じたウィル・スミス、妖刀を操る女サムライのカタナ役を演じた福原かれんが登場。史上最凶のワケあり集団に身を投じた二人に、この作品や演じたキャラクターの魅力、さらにチームとして団結する秘訣などを聞いた。

――映画に登場するどのキャラクターも最高でした! 特にデッドショットは、悪役なのに観客が親近感を持って感情移入できるような人物ですよね。

デッドショット

スミス:最初は冷酷な殺人鬼という印象で理解に苦しんだけど、役に取り組む中で大きな気付きがあった。それは、“悪人は自分のことをヒーローだと思っている”ということ。自分の世界の中では、自分が正しい人間で、その反対にイイ奴らのことを悪人だと思っている。その瞬間から楽しくなってきて、デッドショットになりきることができたし、どんなに悪い行為でも自分の役を正当化できるようになったんだ。でも、役作りで一番大変だったのは、ジャレッド(・レトー)だと思うよ! ジョーカーには壮大な歴史があって、ジャック・ニコルソンやヒース・レジャーなど、素晴らしい俳優たちが演じてきたキャラクターだからね。

――デヴィッド・エアー監督はリアルなガンアクションにこだわりを見せる印象ですが、コミック原作の今回においてはどのような方針だったのでしょうか。

スミス:今作に関しては流血や痛みを排除したある種ビデオゲームのような描き方をしている。武器の扱いについては正統なものだけど、音響も加えているし、敵を倒す時には肉体が破壊されるのではなく、岩が崩れるようなイメージだよね。だから、今作に限っては、現実世界ではなく、コミックの世界に忠実に描いたんだ。

福原:それでもやはりリアリティを追及する監督なので、劇中のネイビーシールズの役には実際の元隊員たちが何人か参加していて、彼らと厳しいアクショントレーニングを重ねました。

――カタナの場合は、もちろん殺陣のトレーニングも?

カタナ

福原:そうですね。今回は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でスタントコーディネーターを務めたガイ・ノリスさん、ファイトコーディネーターのリチャード・ノートンさんが参加していたので、カメラのポジションによってどう動けば格好良く見えるのか、そんなプロ中のプロに指導を受けながら演じました。

――カタナは単なるワルではないというのがユニークで、徐々にスーサイド・スクワッドの一員に染まっていく過程が面白かったです。

福原:コミックの印象は冷酷な女サムライというイメージでしたけど、クールを装って喜びや楽しさといった感情をひた隠しにしている少し寂しいキャラクターなんですよね。それは彼女が背負う暗い過去が関係しています。映画を通して彼女に注目していると、最初は警戒心をもってメンバーに接しているけど、そのうち信頼できる仲間、ファミリーに変化していくのが分かると思います。

――SNSなどを見ていても、キャストのみなさんが正にファミリーという感じで、非常に仲の良い様子が伝わってきました。デヴィッド・エアー監督の作品ということで、今回も撮影前にブートキャンプを実施したんですよね?

スミス:デヴィッドはマジでファンタスティックな監督だよ! 撮影前にキャストが集まったブートキャンプでは、自分の人生で最高の瞬間から最低な瞬間までを全員で共有して、他人には言えないようなディープな苦悩や隠し事もメンバーにさらけ出した。その結果、グループに強力な団結が生まれて、任務をもったスポーツチームのような一体感を得ることができたんだ。

福原:メンタルの部分はもちろんですけど、フィジカルなトレーニングも非常にハードでした。お互いに拳を握ってファイトしたり、ちゃんとしたスキンシップがあったのもメンバーが強くつながるきっかけになったと思います。撮影前から何か月もかけて関係を築き上げていきましたけど、エアー監督にとってはキャスティングの段階から“信頼できるチーム”としてのイメージが見えていたように思えて、俳優のメンタル面や協調性を含めて、「役者を見る目が凄いよね!」ってみんなで話していました。

suicide-squad

――近年のハリウッドでキーワードになっているダイバーシティ(多様性)の面において、この作品、ひいてはお二人の役柄は非常に重要な役割を担っていますよね。

スミス:我々の世代と違って、2000年以降に生まれた人たちは、常にテクノロジーに囲まれながら成長してきた。例えば、私が日本人のことに関してウソをついても、子どもたちはすぐに正しい情報にアクセスしてそれを見抜いてしまう。彼らはグローバルな感覚を持っていて、多様性にあふれている。彼らは人類に関する真実を知っているから、たとえ映画においてもダイバーシティのリアリティを描くことは重要だと思うよ。

せっかくだから、このインタビューの通訳を例にとって、人間同士がつながるために必要不可欠な基礎を教えよう。まずは“聞く”こと。そして“理解”をすること。最後に、ちゃんと“伝える”ことだ。

――当たり前のようで、意識しないとできないことかもしれませんね。

福原:ウィルが言うように、“理解”する前にちゃんと“聞く”ことって重要なんですよね。英語から日本語に通訳する際、相手の話を聞いている時には自分の考えを挟まないですよね。普段の生活でも、自分の考えが邪魔をしてしまうと他人との交流が困難になって、そこから対立が生まれるんじゃないかと思います。

――素晴らしいお話です。本日は、ありがとうございました!

映画『スーサイド・スクワッド』予告編(YouTube)
https://youtu.be/-YQoRqYc6zM

映画『スーサイド・スクワッド』公式サイト:
http://wwws.warnerbros.co.jp/suicidesquad/

(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

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よしだたつき

よしだたつき

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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