海を泳いで生還・・・シリア出身の難民選手のオリンピックまでの道のり
いま世界中の人たちの注目の的となっている平和の祭典、リオオリンピック。このオリンピックではオリンピック史上初となる難民選手団が発足されました。そのなかでも一際異彩を放つのはシリア出身であり弱冠18歳のユスラ・マルディニ選手。あどけなさも残る競泳選手の彼女は、壮絶な経験を経てこのオリンピックへ出場を果たしました。そのストーリーとは・・・?
■あわせて読みたい
2016年オリンピック開催、ブラジル魅力の3大ビーチをご紹介
五輪開催リオデジャネイロってどんな街?気になる治安や見どころは?
内戦で家が崩壊、脱出を決意
(C)Facebook/Yusra Mardini
彼女はシリア出身の18歳。シリアオリンピック委員会の支援を受けてシリアで活動していたユスラ選手は、内戦によって国を追われた一人でもあります。その内戦の状況は凄まじく、やがてその被害はユスラ選手自身の元にも訪れました。彼女の住居は内戦によって破壊され、競泳どころではなく生命の危機にまで晒されていたのです。シリアでの活動はこれ以上無理だと決意した彼女はシリアから脱出することを決意。ただその脱出は一筋縄ではいきませんでした。
脱出用のボートが沈没
(C)Facebook/Yusra Mardini
ユスラ選手は同じく競泳選手である姉のサラと一緒にシリアからの脱出を試みます。二人はレバノンを経てトルコへ到着し、そこから密航業者の用意したボートに乗りギリシャへ向かう予定でした。用意されていた5人乗りのボートには20人近くの人々が乗船。もちろん平気な訳はなく、その船は出発から15分後にエンジンが完全に停止しエーゲ海へ沈み始めたのです。「このままでは乗船者全員の命が助からない」、そう瞬時に判断した彼女と姉のサラは”あること”を決意し実行したのです。
奇跡の脱出劇へと発展
(C)Facebook/Yusra Mardini
なんと二人はいきなりボートから海へ飛び込み、沈みゆくボートを泳ぎながら押し始めたのです。これは誰もが予想のしていなかったことでした。実はこのボートに乗船していた20人中、泳げる人はなんと姉のサラとユスラ選手を含め4人のみ。他の二人も彼女たちの姿を見て海へ飛び込みボートを押し進めることにしたのですが、救援に費やした時間はなんと3時間にも及ぶ大変なものでした。そんな懸命な救命活動が実を結び、ついにはそのボートはギリシャのレスボス島に上陸。なんと奇跡的に乗客全員の命が助かったのです。
彼女が伝えたいこと
(C)Facebook/Yusra Mardini
当時の様子についてユスラ選手はこう語っています。「なかには泳ぎ方を知らない人もいました。でも私はただそこに座って、溺れることに文句を言うだけでいるつもりはありませんでした。溺れていたとしても、最低でも、私は自分自身と姉のことを誇りに思いながら溺れていたでしょう」ーー決して簡単ではなかったはずのその行為とユスラ選手のこの言葉は世界中のたくさんの人たちの心の奥底に響き、夢と希望を与えました。
(C)Facebook/Yusra Mardini
会見での「伝えたいことはありますか?」という記者からの質問に「世界中の人たちに『夢を諦めないで』と伝えたい。諦めそうになったら、私を思い出して欲しい。」と答えたユスラ選手のその言葉からは、どんなに辛い状況でも自分の夢を持ち続けることの大切さや、自分を信じることの重要さが込められています。今回のリオオリンピックでは入賞を果たすことは出来ませんでしたが、オリンピックに出場するだけでも素晴らしいこと。そして彼女が間違いなく世界中の人たちの希望の星であることには変わりありません。いまはドイツのベルリンを拠点にトレーニングをし、すでに東京オリンピックを視野に入れている彼女の次の夢は「メダルを取る」こと。ぜひ実現してもらいたいですね。
[CBS EVENING NEWS]
[NBC NEWS]
関連記事リンク(外部サイト)
【日光】リピートせずにはいられない!女子会にもぴったりな「あさやホテル」
まさか◯◯のCMだったなんて!衝撃のクオリティに隠された秘密とは?
天草で体験する大人の癒し!心も体もきれいにしてくれる感動ホテル
TABIZINE(タビジン)は旅と自由をテーマにし、日常に旅心をもてるようなライフスタイルを提案します。覗き込めば、世界地図を拡げた時のワクワクがあるような、はたまた旅する非日常を感じ旅へ向かわずにはいられなくなるような、そんな夢見心地にするパワーがあるメディアでありたいと思っています。人生は一瞬一瞬が心の旅。皆さんが何にもとらわれることなく、自由で冒険に満ちた毎日になるような情報をお届けします。
ウェブサイト: http://tabizine.jp
TwitterID: tabizine_jp
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。