「そこ、うちの土地です…」 土地の境界線トラブル、どうすれば?

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お隣の土地との境目がどこなのか、正確に把握していますか? 実は、土地の境界があいまいなために、お隣とのトラブルに発展するケースは多い。どんなことがトラブルになるのか、解決するにはどうすればいいのか、札幌土地家屋調査士会 副会長の小川和紀さんに話を聞いた。

トラブルの多くは、境界があいまいなことから発生する

自分の土地の範囲が記載されている「地積測量図」(実測図)。その内容と、実際の土地の状況が違って、お隣とトラブルになることがある。

例えば「土地を売却しようとして調べてみたら、お隣の車庫が建っているのはわが家の土地だった」「お隣の塀がわが家の土地に侵出している気がする…」「垣根をつくったら『そこはうちの土地だ』とお隣からクレームがきた」etc.

それまで良好な関係だったお隣とのトラブルはストレスになるし、お隣がわが家の土地の一部を使っているのに、その土地の分にかかる固定資産税をわが家が納めているのも納得がいかないものだ。

「土地の境界に関してトラブルに発展する経緯はさまざまだと思いますが、多くは境界の誤認でしょう。自分やお隣が『境界だ』と思っていた場所が地積測量図と違っていることがあります。隣地との境界を示す境界標(きょうかいひょう)が行方不明になっていたり、曖昧な位置につくられた塀を境界だと思い込んでいたり。境界にかかわるトラブルは正しい位置に境界標が設置されていれば防げるものです」(小川さん、以下同)

境界標が移動してしまったり行方不明になる原因は?電柱やマンホール近くも要注意

自分の土地と、お隣の土地や道路との境界を示す「境界標」。土地の四隅などに打ち込まれている四角い杭だ。この境界標をつなぐ線が隣地との境界線になる。境界標の位置が図面と一致していればいいのだが、図面の位置とは違う場所にあったり、境界標そのものがなかったりということがあるのだとか。では、境界標の移動や行方不明はなぜ起こるのだろう。

境界標は、地震や土砂崩れ、洪水などの災害が原因で位置がずれること、行方不明になることがある。また、最初から誤った位置に設置されていることもある。しかし多いのは人為的なミス。防ぐことができたケースだ。

「塀をつくる際に施工会社が境界標を一時的に移動し、正しい位置に戻さなかったということがよくあります。また、電柱の立て替えや移動、マンホールの修繕工事などの際、近くにあった境界標がずれることもあるので要注意です」

正しい位置にあった境界標がずれても、なかなか気がつけない。しかし、土地は財産だ。自分自身で価値を守るためには、境界標の位置が分かるように写真を撮っておく、定期的に自分の目で確認することが大切。塀をつくる場合や、境界標の近くで道路工事などが行われる場合は、現場の管理者に「ここに境界標があるので気をつけてくださいね」と、一言声をかけておくこともオススメ。たとえ一時的に移動しても、慎重にもとの位置に戻すよう気をつけてくれることが多く、トラブルを防ぐ効果がある。

一番の解決方法は、正しい境界の位置を特定すること

隣地との境界のことで、トラブルになってしまった場合、トラブルになりそうな場合は、どうすればいいのだろう。

「境界がはっきりしていないのであれば、土地家屋調査士に正しい境界線を確定してもらい、その結果、塀の位置などが違うことが判明した場合に、塀をつくり直す、お隣がはみだして使っている部分を隣地の所有者から買ってもらうなどの解決方法が考えられます。当事者同士でなごやかに解決できればいちばんいいのですが、話し合いがまとまらない場合は、全国各地にある境界問題解決センター(民間型の裁判外境界紛争解決機関)に相談するのも手段のひとつです。土地家屋調査士と弁護士が協力し、円満な形でトラブルが解決するようお手伝いします」

そのほか、トラブルを防ぐために境界を特定する場合は、「筆界(ひっかい)特定制度」を利用する方法もある。これは、法務局の筆界特定登記官が、現地の土地の境界を特定する制度。原則として、境界がどこなのかを示す境界標の設置までは行わないが、公的な判断として境界の位置を明確にできるため、トラブルを回避、または解決することにつながりやすい。また、民間の土地家屋調査士に依頼するよりも費用が安くなるケースもある。

今は境界トラブルになっていなくても、将来、土地の売却を考えていて境界標の位置などに不明点や不安点がある場合、まずは法務局や市役所などの無料相談会に出かけてみるのもいいだろう。7月31日の「土地家屋調査士の日」にちなんで、この前後の時期に土地家屋調査士会による無料相談会が開催される地域もあるので気軽に活用してみよう。●取材協力

札幌土地家屋調査士会●参考

・全国の境界問題解決センター
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