身内の突然の不幸で予期せぬ出費も どのような備えが必要?
死亡後すぐにかかるお金をどうするのか
親や配偶者が死亡した直後からかかる費用について、考えたことがあるでしょうか。
病院で死亡した場合には医療費の支払い、葬儀でかかるお布施や葬儀費用、納骨や四十九日の法要費用などが、死亡して1,2カ月の間に必要になります。
そして、この費用を「誰が」、「どこから」支払うのかが問題です。故人の口座から下せばいい、立て替えておいてあとで遺産からもらえばいいなど、故人の財産を当てにしている人が多いようですが、必ずしも故人の財産でまかなえるとは限りません。
仮に、財産管理をしていた遺族が暗証番号を知っているからと、故人の預貯金口座からお金を下ろすと、のちに相続人間で争いになる可能性があります。
そもそも、勝手にお金をおろして良いわけではありません。
もし葬儀費用などを故人の預貯金口座から下したい場合には、相続人全員に合意をもらったうえで、葬儀関連費用程度のお金を下ろすにとどめるべきです。
このときに、もし相続放棄をする意思がある場合、その人は念のため下ろすのはやめましょう。
相続放棄に支障を来す可能性があるからです。
また、費用相当分を下ろすにしても、1日の引き出し限度額がありますから、数日にわたって下ろさなければならこともあります。
では、遺族が一度支払い、財産を分けるときに立て替え分をもらうつもりの場合はどうでしょう。
この場合、遺産を分けるときに他の相続人が反対したら取り戻せません。
ですから、事前に遺産から精算してよいか相続人に確認をとったうえで立て替えるべきです。
銀行口座が凍結してしまったらどうするのか
本人の死亡を金融機関が知ると、預貯金口座が凍結されます。
そのタイミングは定かではありませんが、新聞のお悔やみ欄、町内会の掲示板、近隣の人から、遺族からなど、金融機関が知ったときに預貯金口座の引き出しができなくなります。
市区町村役場に死亡届が提出されたら口座が凍結するわけではありませんから、金融機関が死亡事実を知らなければ、ずっと口座は使える状態のままです。
この預貯金口座が凍結されてまったときには、相続人全員で手続きを行わなければなりません。
遺産分割協議書(話合いで決めた遺産の分け方を記したもの)や、金融機関所定の用紙(払い戻し請求書等)に、相続人全員の署名や印鑑証明書の添付をするなどして行います。
もし遺産の分け方でもめてしまうと、手続きに時間がかかってしまいます。
なお、金融機関によっては、葬儀の請求書や寺院等から発行してもらったお布施の領収書で、凍結後でも引き出しが認められる場合があります。
もしものために事前に考えておきたいこと
死亡後に必ずかかるお金が一体どの程度になるのか、その費用をどうするのかを考えておくことが大切です。
例えば葬儀なら、葬儀社に行って見積書を作成してもらえば大まかな費用がわかりますし、菩提寺があるなら、お布施について聞いたり調べたりしてみることもできます。
また、お墓がない、遠くのお墓を近くに移転するなどの場合にもお金がかかります。
1周忌法要や新盆などもすぐに行うできごとですし、遺品整理業者に物の処分を依頼するならその費用も考えておかなければなりません。
大まかな金額がわかれば、死亡保険金や遺言書などで、ある程度渡すことも可能です。
事前に家族間で話し合えれば、不本意な思いをせずに済むかもしれません。
まずは、費用がどの程度かかりそうなのか、誰が負担するのか、どこから支出するのかについて考え、準備しておきたいものです。
(明石 久美/ファイナンシャルプランナー)
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