枝野経産相、電力会社の原発手順書「国との共有、ルール化を検討」法改正も視野

枝野幸男経済産業相

 枝野幸男経済産業相は2011年10月25日の記者会見で、東京電力が書面のほとんどを黒塗りにして国会に提出していた福島第1原発1号機の事故時運転操作手順書の一部がほぼ全面的に公開された件について、「私自身も(東電から再提出された手順書を)チェックしたが、なぜこれが非公表であったのか全く理解できない」と語った。また、現在「原子力安全対策の抜本的な見直しを行っているプロセスにある」と述べ、原子炉等規制法などの法改正について「法改正までいくかどうか検討している」段階にあることを明らかにした。

 事故時の手順書をめぐっては9月、東京電力が知的財産の保護などを理由に大半を黒塗りにして、衆議院の科学技術・イノベーション推進特別委員会に提出したことを受け、経済産業省の原子力安全・保安院が原子炉等規制法に基づき手順書の再提出を命じていた。

 原発に常駐する原発保安検査官などは、手順書の閲覧や複製をとることも可能だが、今回のように保安院が手順書を入手し、公開したのは初めて。今後の全国各地の原発の手順書の入手や公開について枝野大臣は、「まずは(電力会社は手順書を)自主的に公表して、さまざまな叡智や意見を集めるという努力がなされるのが当然だ」と述べた。

 また現在、「原子力安全対策の抜本的な見直しを行っているプロセスにある」中で、「(手順書を)国が共有する、あるいは国としてのルールとして公表するというようなことについては検討したい」と語り、原子炉等規制法等の見直しについては「最終的に法改正までいくかどうかはまさに検討しているところ」であることを明らかにした。

■枝野幸男経産相とニコニコ動画記者(七尾功)の一問一答

七尾記者: 昨日、原発の手順書が氏名を除いて初めて全面公開されたわけですが、この点と、その一方で原発の手順書を入手して初めて事故時の東電の対応がわかった部分もあるわけです。これを考えるとむしろ、今後の安全規制を図る意味で、すべての原発の一連の手順書を、政府がこれまで持っていなかったことがむしろ不自然に思うのですが、この点いかがでしょうか。

枝野経産相: 昨日、国会の委員会を通じて公開していただきましたが、そこに提出するにあたって私自身も、いわゆる東電が当初黒塗りにしていた部分について、法に基づき提出をさせた上で最終的に私自身もチェックしましたが、なぜこれが非公表であったのか全く理解ができません。そうした意味では、こうしたことを制度としてどうするか以前の問題として、自主的積極的に国民の皆さんに公表、公開をして、もし問題点があるようであれば、そうした広く皆さんの衆智を集めて改善を図るということが、まず求められる対応だというふうに思っております。その上で、原子力安全対策の抜本的な見直しを行っているプロセスにありますので、そうしたことの中でそもそもこうしたものは国が共有をして、あるいは一定のルールのもとで国としてのルールとして公表するというようなことについては、検討したいと思いますが、繰り返しますが、まずは自主的に公表してさまざまな叡智、意見を集めるという努力をされるのが、私は当然だと思っています。

七尾記者: 「抜本的な見直し」というのは、原子炉等規制法の改正も視野にいれるということでしょうか。

枝野経産相: 最終的に法改正までいくかどうかというのは、まさに検討しているところでございますので、なんらの予断を持たず今回の事故を踏まえた抜本的な安全対策の見直しを進めているということであります。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 七尾記者の質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68475026?po=news&ref=news#21:45

(七尾功)

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