両目を失った一匹の犬と、彼女に寄り添う「盲導犬」

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デイリー・メール紙(オンライン版)

 「犬は人間の最良の友である」という言葉がある。実際犬たちは、盲導犬や災害救助犬として活躍していたり、あるいはアニマル・セラピーに代表されるように、人間に精神的な安らぎや幸福感まで与えてくれたり、ペットとして飼われる以外にもさまざまな場面で私たちに貢献してくれている。たしかに彼らは「人間の最良の友」だろう。しかしと言うか、もちろんと言うべきか、彼らは「犬の最良の友」でもあるのだ。病気によって両目を失った一匹の犬と、いつもそんな彼女に寄り添う「盲導犬」の姿を見れば、そのことがよくわかる。

 イギリスのデイリー・メール紙(オンライン版、2011年10月21日付)によると、心温まるきずなを育んでいるのは、リリィとマディソンという2匹のグレート・デーンだ。リリィは子犬の頃、まつげが眼球に向かって伸びていったことがきっかけで、両目を取り除くほかに治療の方法がないほどに目を患った。手術を受けて盲目になったリリィは幼いながらに大きな不自由を強いられることになったわけだが、そこに手を差し伸べたのが当時7歳のマディソンだった。マディソンはみずから、リリィの「盲導犬」になることを引き受けたのだ。

 最近になって飼い主が手放すことを決めたため、現在2匹はイギリス・シュルーズベリーにある、行き場のない犬たちが新たな家を探すためのセンターに預けられている。同センターで2匹を見守っているルイーズ・キャンベルさんは言う。

「マディソンはリリィの盲導犬よ。外にいるときは、ほとんどいつも、マディソンがリリィを導いて、リリィはほとんどマディソンにくっつくような近さで歩いていくの。そうしたらどこに行けばいいかわかるでしょ。見ているととても心が温まるわ。マディソンはいつもリリィを気にかけてるの」

 視力を失ったことでほかの感覚が研ぎ澄まされたようで、リリィはたとえ目が見えなくとも、マディソンが傍にいるかどうかわかっているという。夜も一緒に寝て、お互いに気兼ねなく過ごしている2匹。キャンベルさんは「彼女たちは人生を楽しんでるわ」と話す。2匹が大型犬でしかもペアだということ、さらにすでにある程度老いていることから、キャンベルさんは2匹を引き取ることを検討している人たちは、「2匹の生き方を理解した上で、責任を持ってほしい」と考えている。

 2匹の友情に心動かされたのか、同記事のコメント欄にはイギリス人からの声が多く届いた。「涙が出た。誰かが2匹に、素敵で安全な家を与えてあげますように」「なんて美しい話なの。私が飼えたらよかったのに。でもロンドンじゃ無理ね・・・」と、2匹の幸せを願うコメントがいくつも書き込まれた。なかには、「うちで飼うわ。3匹スプリンガー・スパニエルがいてね、1匹は同じようにガンで目を失ったけれど。いい庭があるし、周りに野原があって、散歩もできる」と、さっそく新たな飼い主として声を挙げる者もいた。幸福な2匹は、まもなく一生を過ごせる家を見つけ、ますます温かな日々を送るようになるだろう。

◇関連サイト
・Meet the blind Great Dane in need of a home (but you’ll need to make space for HER huge guide dog) – デイリー・メール紙(オンライン版、2011年10月21日)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2051780/Blind-Great-Dane-Lily-needs-home-space-HER-guide-dog-Maddison.html

(古川仁美)

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