舛添都知事の第三者による調査は、なぜ弁護士である必要があるのでしょうか?
逆切れで反感を買った元検事の弁護士
舛添氏が正月の家族旅行の際に開催したと主張する「会議」について、それが本当に開催されたかどうかを解明するためには、常識的に考えて会議に出席した「出版会社の社長」の聴取が不可欠です。
ところが、記者会見の場で、記者が「そのような聴取を行ったのですか?」と質問したところ、この弁護士は、「聴取は行っていない。あなたは事実認定を知らない。」と逆切れ気味に答弁しました。
元検事の弁護士の出版会社の社長の聴取が、法手続き的にどのような意味を持つかは判りませんが、真実を知りたいと思っている国民に対して、「第三者による徹底的な調査をする。」と約束した舛添氏の説明責任を果たすようなものではなかったことは確かです。
そのようなことから、舛添氏とこの弁護士の間に、何か特別な依頼があったのではないかという憶測がネット上で飛び交っているようです。
違法性がなければ辞任に値しないのでしょうか?
舛添氏は、逆切れ弁護士の「違法ではない。」というお墨付きを得たので、公用車で行き来していたことが問題視された湯河原の別荘を売却し、宿泊費や飲食費で不適切と指摘されたものは返金し、今後の給与も50%減額すること都議会に打診しているようです。
これが彼流のけじめのつけ方であり、国民の理解が得られると考えているようです。
しかし、都議会で辞任はしない意向であることを表明している舛添氏に対して、野党のみならず与党からも厳しい批判の声が上がっています。
弁護士の「違法ではない。」というコメントが辞任の免罪符になると誰がきめたのでしょうか。
なぜこの弁護士を選任したのか?
国民は、現在ある法律に対して適法であるとか違法であるという法学者の意見を聞きたいのではなく、例えば、舛添氏の会議を開催したという説明が真実なのかどうか、また、政治資金から支出しているものが本当に個人的な経費ではないのかいう点をすべて明らかにして欲しいのです。
領収書と本人からのヒアリングだけで終わってしまうような調査では、国民は納得できません。
舛添氏はなぜ、今回この弁護士に今回の調査を依頼したのでしょうか。
実はこの弁護士は、過去、小渕優子元経済産業大臣の政治資金規制法違反事件の第三者委員会において、小渕氏の法的責任はないとするコメントを発表したり、猪瀬直樹前東京都知事の徳洲会からの現金受取事件で猪瀬氏を弁護したりしたと報道されています。
舛添氏は依頼者側に有利なコメントをしてくれる可能性が高い弁護を選任したと疑われてもしかたがない状況です。
第三者の調査のあるべき姿と枡添氏の責務
第三者の調査は民意を反映するものでなければなりません。
裁判であっても裁判員制度が導入されて民間人の意見が尊重されています。
法律的な判断は弁護士に委ねればよいと思いますが、「事実認定」については様々な人生経験を持つ民間人の判断も反映されるべきではないでしょうか。
今回の舛添氏の第三者調査の人選を本人が行っていることがそもそも間違っていると思います。
調査人は中立であることが必要です。
弁護士と民間人の混成チームを編成し、そのメンバーを事前公開して人選に関する恣意性を排除する必要があったと思います。
舛添氏の弁護士の選任方法についても、厳しく責任を追及されるべきではないでしょうか。
(田村 敏明/ThinkBuzanマインドマップ公認インストラクター)
関連記事リンク(外部サイト)
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。