バラエティ餃子のフルコース!?【さんあい亭】
焼き・茹で・スープで全17種類!
博多の隠れた名物に「ひとくち餃子」があるっていう話は以前にもしたけれど、今回紹介するのは、いろんな種類のバラエティ豊かな餃子を出す、今年で創業21年目になる餃子の店「さんあい亭」だ。
個性的な飲食店が多い西鉄平尾駅エリアにあって、仕事帰りのサラリーマンなどで賑わう一軒である。
一般的な「博多ひとくち餃子」は、焼餃子に加えてせいぜい水餃子、スープ餃子がある程度。「さんあい亭」もベースは「焼き」「茹で」「スープ」の3種類なんだけど、そのバリエーションが豊富で、なんと全部で17種類。せっかくなので、いろんな餃子を試してみたい。
しっかりと蒸し焼きにされる「焼餃子」。片面はこんがりと焼かれ、香ばしい仕上がりに。
まずは、基本の焼餃子。この店の焼餃子2トップは「ぷんぷん餃子」と「さわやか餃子」。別に怒りん坊と青春小僧がいる訳ではない。「ぷんぷん餃子」は生ニンニク入り、「さわやか餃子」は茹でて匂いを消したニンニクを、量も控え目にして使っているそう。要はニンニクの匂いを憚る営業マンや女性にも気を使ってるということだ。実際、平日は「さわやか餃子」、週末は「ぷんぷん餃子」がよく出るという。
「やっぱりニンニクが効いてた方が旨かでしょう」と店主の八嶋重正さん。もちろん、他人の迷惑など気にしない僕は「ぷんぷん餃子」をオーダー。片面しっかり、片面しっとりと焼かれた餃子はビールとの相性もばっちりだ。
焼餃子は1人前8個390円(写真は2人前)。
家族で重ねた試行錯誤
そもそも八嶋さんが餃子屋を始めたのは、お兄さんの薦めがあったから。大阪で餃子づくりを習ったお兄さんから作り方を教わった。ところが、
「これが納得のいく味じゃなかったとですよ!」
そこから八嶋さんの試行錯誤が始まった。それまで料理の経験などなかった八嶋さんだが、いろんな店の餃子を食べ歩いたり、雑誌などで餃子の作り方を研究したり……。
粒の細かな餡はなめらかな舌触り。
そんな八嶋さんを支えてくれたのは、奥さんだった。八嶋さんが試しに作る餃子を、文句も言わずに試食し続けてくれたという。「さんあい亭」の店名は、奥さん「三幸(みゆき)」さんの“三”と愛娘の「愛」さんからとったものなのだとか。店内には愛さんが描いた絵が飾られていて、なんとも家族愛が感じられる店なのだ。
店主の八嶋重正さん。手前のメニューの表紙には愛娘の愛さんが幼い頃に描いた絵が飾られている。
白衣の胸につけられた「さんあい亭」のシンボルマーク、「ギョウザのあいちゃん」。これも愛さんが小さい頃に描いたもの。
餃子の種類が増えていったわけ
さて、ニンニクぷんぷんの焼餃子をいただいたところで、次は最も種類の多い茹で餃子。一般的には「水餃子」と呼びそうなところだが、この店では茹で汁から上げて皿に盛り付け、タレと合わせている。そのタレの種類によって、「酢醤油」「しょうが醤油」「からし醤油」「ゴマ醤油」「ぴり辛醤油」「唐辛子みそ醤油」「かぼす酢」「梅しそ」「梅肉あえ」と9種類ものバリエーションがあるのだ。
八嶋さんのオススメで「梅肉あえ」と「ゴマ醤油」をオーダー。コチジャン入りの「ぴり辛醤油」も辛いものが好きな人には人気だという。
左が「梅肉あえ」460円。右が「ゴマ醤油」420円(ともに8個入り)。
これだけ餃子の種類が増えてしまったのは、餃子以外のメニューも、と料理を勉強していくうちに、餃子に応用できそうと、結局餃子につながっていったのだとか。とはいえ、餃子オンリーという訳ではなく、鉄板焼き系など餃子以外のメニューもそこそこ揃っている。まあ、今日はせっかくなので餃子のみで最後まで押し通してみよう。
見た目は強烈だが、梅の風味がさっぱり爽やかな「梅肉あえ」。
焼餃子とは打って変わってしっとりつるんという食感が楽しい茹で餃子には、ビールよりも焼酎の方が相性がいい。梅干しの酸味が鮮烈な「梅肉あえ」、ゴマのコクがまろやかな「ゴマ醤油」、どちらも他では見たことのない餃子料理だ。
茹で餃子には焼酎(芋焼酎グラス1杯330円〜)が合う。
そして締めはラーメン感覚で頼む人も多いというスープ餃子。こちらは「餃子のみ」「ワカメ入り」「春雨入り」「野菜入り」「ピリ辛卵入り」「肉みそ入り」とスープに入れる具によって6種類。鶏ガラの中華スープがさっぱり味で、ワンタンのような感覚だ。冬は鍋がわりにグループで突っつくのも良い。
卵の黄色が華やかな「ピリ辛卵入りスープ餃子」590円
結局この日は計5人前40個の餃子をたいらげ、ニンニクの匂いをぷんぷん振りまきながら、家路についたのである。
※価格はすべて税別表記です。
お店情報
さんあい亭
住所:福岡県福岡市中央区白金2−11−24白金ハイツ1階
電話番号:092-523-8866
営業時間:18:00~翌2:00(OS翌1:00)
定休日:日曜日
HP:http://www.hotpepper.jp/strJ000555407/
書いた人:兵土 G. 剛
福岡のタウン情報誌の編集部に15年勤めた後、フリーライターに。食うの好き、飲むの好き、きれいな女の人好き。マメさなし、根性なしの偏屈じじぃ。 Twitter:G(じぃ)@taul_nakataney
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