「日本で売れるとは思えない」の声も ネットにつながる”スマートテレビ”の行方

中村伊知哉教授「メディアは定着して使われるまでラグがある」

 「視聴者の友達に変化する」というスマートテレビの波は、日本に来るのか。2011年10月17日、慶応大学三田キャンパスでパネルディスカッションが開かれ、ニコニコ生放送で中継された。スマートテレビに対し「日本で売れるとは思えない」と懐疑的な意見が視聴者から挙がる中、今後の展望が語られた。

スマートテレビは「友達に変化する」と山崎氏

 「スマートテレビ」とは、明確な定義はないようだが、一般的にはインターネットとテレビが融合したものを指す。パネリストの一人で『スマートテレビで何が変わるか』の著者・山崎秀夫氏によると、スマートテレビとは「”スピリッツ”を持ち、視聴者の友達に変化する」テレビだという。ソーシャル・ネットワーキング・サービスと連携したり、テレビやその周辺機器にアプリケーションを追加して機能を拡張できたりするのが特徴である。

 アメリカでCNNとFacebookがタイアップしてオバマ大統領の就任式をインターネット中継したほか、イギリスBBCが「無料見逃し放送」を実施したことで、欧米ではタイムシフト視聴などの機能を備えたスマートテレビが普及しているという。一方日本では、インターネット選挙が実現していないことや地上デジタル放送への移行時、政府やテレビ業界がスマートテレビ構想に消極的だったことからあまり普及していないのが実状だ。こうした現状について、ニコニコ生放送の視聴者からも、

「日本ではかなり前からチューナー搭載PCが発売されていることもあり、(スマートテレビが)日本で売れるとは思えない」

という意見が寄せられた。

 これに対し、「これからどういう形で(スマートテレビ関連の)サービスを変えていくのかというところが決め手になってくる」と答えたのは、慶応義塾大・中村伊知哉教授。

「ワンセグ(チューナー)みたいな、手元の小さなデバイスでテレビを見ることに日本の人は慣れてきた。メディアは技術があってサービスに転化して、定着をして使われるところまでタイムラグがあるものなんですが、”慣れる”というところまで、日本はやっときたんじゃないか」

と語り、「環境は少しずつ変わってきたのでは」とスマートテレビの今後に期待する様子をうかがわせた。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 視聴者の「日本で売れるとは思えない」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64646799?po=news&ref=rews#1:05:31

(境田明子)

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