ちょっとくらい水に濡れても大丈夫!? カバータオルがいなせな“本と温泉”の万城目学『城崎裁判』

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城崎温泉の外湯の一つ『柳湯』で一風呂浴びて出てきた筆者の目に止まったのが受付にある“本と温泉”という言葉。どう見ても手ぬぐいかタオル……といった形状なのですが、中身は湯船の中で読んでも大丈夫なように作られた、れっきとした本なのだとか。
しかも、著者は映画化された『鴨川ホルモー』や、『悟浄出立』など数度直木賞候補になっている万城目学さん。1700円(税込)とやや割高ですが、『城崎裁判』という明らかに志賀直哉の『城の崎にて』を意識したタイトルにも惹かれ、一冊(?)買い求めてしまいました。

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袋を開けてみると……ブックカバーが完全にタオル。そして、紙が非常に柔らかい独特の質感なことに気付かされます。なんでも、ストーンペーパーという非常に耐水性の高い紙なのだとか。ただ、完全防水ではないので「過度な条件でのご利用はご遠慮ください」という注意書きが。
実際、筆者が自宅の風呂で試しに読んでみたところ、水滴がつく程度では紙と紙がひっついてめくれなくなってしまうということはなかったので、湯船に落としでもしない限りは大丈夫なのではないでしょうか。

また、タオルのカバーは温泉をイメージしたデザイン。なんともいなせです。

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肝心の小説のストーリーは……スランプに陥った小説家が編集者に勧められるままに訪れた城崎温泉で、外湯を回るうちにイモリから『城の崎にて』の殺しの嫌疑をかけられ“裁判”をはじめられる、という奇想天外なもので“万城目ワールド”面目躍如といったところ。城崎にゆかりのある維新の志士が登場するなど、ニヤリとさせられるところが随所に織り交ぜられていました。万城目さんのファンのみならず、歴史ファンタジーが好きな本読みならば一読の価値ありです。
ちなみに、ページ数は34P。筆者はだいたい15分ほどで読み終えることができました。城崎温泉の外湯ならば『一の湯』や『鴻の湯』などでゆったりと、自宅の風呂ならば半身浴をしつつ読むというのがよさそうです。

ただ、この『城崎裁判』は限定1000部で城崎温泉街の取り扱い。そういう意味では非常にレアな“本”といえるでしょう。発行しているNPO法人本と温泉のサイトによると、第三弾として『告白』で知られる湊かなえさんの『城崎にかえる』の制作が決定しているとのこと。こちらもどのような“本”になるのか気になるところです。

本と温泉 Books and Onsen (公式サイト)
http://books-onsen.com/ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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