熊本でお昼ご飯を食べてきた!熊本に遊びに行こう!
大型連休も間もなく終わり。記者は取材で大分に行き、福岡への里帰りを兼ねて遅めの連休を取った。
九州内の高速バスを含めた路線バスが乗り放題となるSUNQパスの北部九州版を購入していたので、そのうちの1日を使って熊本に行こうと決めていた。
熊本地震の影響で、北九州から熊本に行く高速バスが1日1便に減便されていたために、まずは福岡まで行って熊本入りすることにした。
もともと取材活動をする気はなく、どちらかというと自分の目で見ておきたいという感情が大きかった。阪神淡路大震災を西宮市で被災した記者は震度7を経験していたので、そのすさまじさはよく理解しているつもりだ。そして、遠く離れた東京から全国に発信されるニュースと、地元の人の思いにかい離があるのではないかと思っていたので、もし機会があれば話を聞いて記者として発信できることがあればその時に初めて記事を書こうと考えていた。
熊本県に入るとブルーシートや道路の補修が目立ってきた。高速バスの運転士も、道路状況が悪い場所があるので揺れに注意するようにわざわざアナウンスしていたくらいだ。
九州自動車道は通行は可能だが熊本インターチェンジより南側は1車線が規制されていて、混雑が激しくなる。
益城インターチェンジから国道に入り、熊本交通センターに到着した。
記者が乗車した高速バスひのくに号は西鉄高速バス担当便だったが、10名足らずの乗車で通常では考えられない低乗車率だった。この路線は福岡-北九州線に次ぐ九州第2位の輸送実績がある大幹線だ。
街中の飲食店はもちろん、銀行や普通のオフィスに至るまで、くまモンのイラストや、力強い文字で「頑張る」メッセージや「負けない」メッセージが掲げられていた。
熊本の人に頑張ろうとエールを送るメッセージとともに目についたのは、応援してくれる全国へのありがとうメッセージだった。
そして、自らに言い聞かせるように「負けない」というメッセージも多く、様々な想いが込められていることがよくわかる。
多く報道されている熊本城の城壁はその上部が倒れていた。
遠景で石垣を見ると土砂崩れのように壊れていた。
別の角度から見るともっとよくわかった。
主だった観光資源は壊滅状態なのはご存じのとおりである。
ところで、熊本に何をしに来たのかというと、お昼ご飯を食べに来たと言っても過言ではない。
目的はどうであれ、被災地で何らかの消費をすることによって、域内の名目GDPともいえる域内総生産(GRP)が積みあがる。これも一つの支援の在り方だと記者は考えている。水1本を熊本で買うだけでもGRPを引き上げるのに貢献する。
記者は写真のようなポップを掲げているお店で昼食をとることにした。
お店の人に記者であることを告げて、忙しくないのであれば話が聞きたいと申し出たところ、快く応じてくれたので熊本の方がどのように考えているのかをお伝えする。
同店に置いてあるメッセージノートも見せてくれた。
「報道でもありましたように、ボランティアの方がゴールデンウィークには多く来ていただきまして、ありがたいことに定員オーバーの状態でした。うちは元々は夜だけ営業する居酒屋でしたが、ボランティアの方が多くお越しいただいてましたのでお昼の営業を始めました」
「ただ、今はご覧いただければわかるように、あまり人通りは多くありません。ただ地元の人は普通に動き回っていますので、県外の方がやはり少ないのかなと思います」
「うまくは言えませんが、観光でも興味本位でも物見遊山でも構いませんから、少しでも多くの方に熊本に来ていただきたいです」
「もちろん、観光地はだめなところも多いですし、安全ですからお越しくださいとも今は言えません。でも、お越しいただいて”なんだ結構元気にやってるじゃん”くらいのことを思っていただける方が私たちとしてはうれしいのです」
「今でも家に帰れずに避難生活をされている方や、亡くなった方も多くいますので、そんなことを軽々しく言うのもどうかと思いましたけれども、観光にいらして避難所を見学する方はいないでしょうし、遊びに来て時間と体力に余裕があればボランティアに参加していただくのもいいのではないでしょうか」
「でも、復興もしていかなければならないので、いつまでも沈んでいるわけにもいかないのです。だからボランティアはもちろん助かりますし皆さん感謝していますが、それ以外でもいいので来ていただいて熊本の味を楽しんでいただいたり、名産品をお買いいただいたり、コンビニやスーパーで買い物をしていただくだけでも元気になりますし、支援になっていると思います。とにかく、自粛モードだけはやめていただけたらと思います」
ノートには、県外から来た人が居住地のゆるキャラを書いたり、くまモンを書いたりしてエールを送っているのがよく分かった。
商店街の中には、外観からはわからないが危険なため開店できない店舗もあるようだった。
それでも、現状で営業できる店舗の案内を張り紙で示していた。
熊本交通センターがある辛島公園内にはボランティアセンターが設置されている。
使用停止になっているエレベーターには、誰が掲げたのか定かでないが感謝のポップがあった。
遠い県外から熊本にボランティアに来て頂きありがとう
私達が今出来る事はあなた達に対する感謝の気持です
ありがとうございます!!
肥後もっこすよりあなたの愛を受とりました
大型連休が終わった平日の昼下がりということもあるだろうが人はまばらだった。
気温も高く、ボランティアの体調そのものも気がかりになるだけに、注意喚起がなされていた。
募金をするのもボランティアに出向くのも、アンテナショップで熊本の物産を買うのも立派な支援。
しかし、熊本に行ってご飯を食べてお土産を買って帰るという消費活動だけでも支援になる。
機会があれば熊本にあえて遊びに行き、元気と勇気を共有することで支援につなげることもできることを知っていただければ幸いである。
※写真はすべて記者撮影
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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