元検事の郷原氏、小沢氏初公判に「どこかが狂っている」
資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反で強制起訴された小沢一郎元民主党代表の初公判が、2011年10月6日に行われた。
この件に関し、元検事で弁護士の郷原信郎氏が、7日のニコニコ生放送「小沢一郎初公判をどう見るか」に出演。江川紹子氏、落合洋司氏との座談会の中で、「虚偽記入にあたらないことを弁護側が明確に主張しており、今後(検察官役の)指定弁護士側がくずせるのか疑問だ」とした上で、「小沢さんを政治家として評価しているわけではないが、刑事手続としての判断は別の問題。こんな事実や証拠関係でこういう目に遭わされているのはひどい。どこかが狂っている」と述べた。
■「どこかが狂っているとしか言いようがない」
小沢氏は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反罪で今年1月に強制起訴されたが、今月6日には東京地裁で初公判に臨み、改めて無罪を主張した。またこれに先立ち、すでに元秘書の石川知裕衆院議員ら3人に対しては、先月東京地裁で、有罪判決が言い渡されている。
小沢氏の初公判を受け、7日のニコニコ生放送では、ジャーナリストの江川紹子氏と、いずれも元検事で弁護士の落合洋司氏、郷原信郎氏が緊急座談会「小沢一郎初公判をどう見るか」に出演した。この中で郷原氏は、
「収支報告書への記載は虚偽記入でなく、政治資金規正法違反にあたらないことを、弁護側は明確に主張した。今後、(検察官役の)指定弁護士側が、それをくずせるか疑問だ」
との見解を示した。
また、元秘書との共謀については、「指定弁護士側の冒頭陳述は、元秘書の公判で却下された調書をそのまま引用するものだ。調書が採用されなかった場合、冒頭陳述で書かれてある事実は、ほとんど立証不能になることは明白だ」と、今後の裁判の見通しについて指摘。その上で、
「小沢さんを政治家として評価しているわけではない。しかし、そのことと刑事手続として判断が正しいのかは別の問題。こんな事実や証拠関係でこういう目に遭わされているのはひどい。ひいきするわけではないが、率直にどうしてこんなことになったのかと思う。どこかが狂っているとしか言いようがない」
と感想を述べた。
■なぜマスコミは小沢氏をたたくのか
さらに、視聴者から、「なぜメディアは検察と追従して小沢氏をたたくのか」等の質問が寄せられると、郷原氏は「国民的関心が高く、悪役的。取り上げれば取り上げるだけ、視聴率が上がり新聞が売れる。それと同時に、既存のメディア体制にとって小沢氏の目指すものは脅威であり、さらに陸山会事件はメディアが火をつけたからではないか」と、マスコミのあり方に疑問を呈した。
また落合氏は、共謀の認定について、「(例えば)殺人事件における犯人性の場面で状況証拠で認める例はあるが、知能犯についてもそれを当てはめてよいかという問題意識はもつべきだ」とした上で、
「政治責任を問われるべき人は、刑事責任も問われるべきだという報道があるが、両者は切り分けられるべき問題だ。あくまで刑事裁判なのだから、証拠によってどこまで立証できるかという観点から、冷静に見るべきだ」
と述べた。
一方、江川氏は、今回の初公判が強制起訴による裁判として初であったことに触れ、「検察審査会は調書を元にして議決する。その調書がどのような状況でつくられたか情報が入らなかった。取り調べの可視化の問題も含めて、制度を考えるきっかけにするべきではないか」と指摘した。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「小沢氏の初公判をどう見たか」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66358641?po=news&ref=news#4:33
・[ニコニコ生放送] 郷原氏の「どこかが狂っている」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66358641?po=news&ref=news#1:07:50
(藤崎桂太郎)
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