小沢元代表、改めて無罪主張 説明責任たずねた記者に「もうちょっと勉強して」
政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表の小沢一郎氏は、2011年10月6日午後の記者会見に出席した。小沢氏は同日午前に東京地裁で開かれた初公判での意見陳述を改めて読み上げ、無罪を主張。検察による捜査について「国家権力の乱用だ」とも述べた。また、質問が国会での説明責任に及ぶと、「三権分立を君はどう考えているの」と問い返し、「もうちょっと勉強してからまた質問してください」とたしなめる一幕もあった。
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小沢氏は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐって収支報告書に虚偽記載をしたとして、政治資金規正法違反の罪で今年1月に強制起訴された。この「陸山会事件」では、元秘書の石川知裕衆院議員らが一審で有罪判決を受け、控訴している。そのため、小沢氏の公判は石川氏らとの「共謀」があったかどうかが最大の争点となるとされる。
会見冒頭、小沢氏は「(自身の)主張が含まれている」として、初公判で読み上げた意見陳述を改めて読み上げた。この中で小沢氏は、
「政治資金収支報告書に間違った記載をした事実はなく、したがって政治資金規正法のいう虚偽記載にあたる事実はありません。ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてありません」
と全面的に無罪を主張。さらに小沢氏は「実質的な犯罪はないと判明した時点で捜査を終結すべきだったと思います」とし、「それなのに1昨年春の西松事件による強制捜査、昨年初めの陸山会事件による強制捜査など、延々と捜査を続けたのは明らかに常軌を逸していると思います」とした上で、
「この捜査はまさに、検察という国家権力機関が政治家小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません」
と述べ、検察による捜査を「国家権力の乱用だ」との見解を示した。
小沢氏はまた質疑応答で、国会での説明責任について質問した記者に「三権分立を君はどう考えているの」と問い返し、記者が応じられないでいると「もうちょっと勉強してからまた質問してください」と、強い語調でたしなめた。
■小沢一郎元代表と記者とのやりとり
司会: ではまず幹事社のほうからお願いします
テレビ朝日: テレビ幹事社としてまず2点おうかがいします。今日の初公判を終えて現在の心境など、感想をお聞かせください。
小沢一郎氏(以下、小沢): いま申しあげた通り、私の今回の捜査、検察審査会による強制起訴、これはまったくいま申しあげた通り不当な捜査であり、また今日の裁判も一時も止めるべきであると申し上げました。その通りであります。
テレビ朝日: 2点目なのですが、元秘書3人が1審で有罪判決を受けたことを含め、刑事責任とは別に同義的責任を問う声もありますが、ご自身は今後の政治活動をこれまで通り続けるのか。議員辞職や離党についてはどのようにお考えでしょうか。
小沢: いまの文章でもお分かりいただけたと思いますけども、私も私の秘書も有罪と認定されることは何もしていません。この間の判決についても何ら、法的な証拠についても何もない。裁判官が自分の推測と推断で事実を認定し、それに基づいて判決を下すと。前代未聞のことであり、私は司法の自殺に等しいと思っております。従いまして、私どもは何か違法なことをしたというならば、あんたがいま使った言葉のなかのいろいろなことについて考える余地はありますけれども、何も違法なことをしておりませんですから、そのようなことを考えるつもりはまったくありません。
共同通信: 国会での説明責任についておうかがいしたいのですが、野党のほうは証人喚問が必要だというふうに主張していらっしゃいます。かつて小沢元代表は政倫審への出席を表明された経緯もありますが、公判がスタートしたとは言え司法の場とは別に国会でも説明責任を果たすお考えはおありでしょうか。
小沢: 君はどう考えているの? 司法の公判が進んでいるとき他の立法権や、その他のことをいろいろと議論すべきだと思っているの、あなたは。あなたの見解は?
共同通信: 司法手続きは司法手続きで重要だと思いますが、国会での説明というのも一方では重要なことだと・・・。
小沢: そうなの。じゃ三権分立を君はどう考えているの。
共同通信: (答えず)。
小沢: だからちゃんとよく勉強して、筋道を立てた質問をしてください。司法で裁判所というのは、最終の法に基づき証拠に基づいて判断をする場でしょう。それが、いろいろな力や感情によって結果が左右されるようなことになってはいけないから、司法は司法で独立しているわけでしょう。もうちょっと勉強してからまた質問してください。
共同通信: 合わせてもう1点なんですけども、今回の虚偽記載の件に関して小沢元代表が用立てたとされる4億円の原資に関して、その原資はなんだったのかというのを改めておうかがいしたいと思います。
小沢: 原資は私のお金です。詳しく聞きたければ検察に聞いてください。強制捜査を1年以上もやって、国会で説明する、君たちに説明するどころじゃないでしょう。強制捜査をずっとやっているんですよ。私の知らないことまで全部調べておりますから、お聞きください。
司会: それでは幹事社の質問は終わりますから、その他のフリーの方も含めて質問を受けたいと思います。2問ほど受けますので挙手のうえお願いします。
TBS: 2004年に陸山会は銀行から4億円のですね融資を受けて、そこに小沢さんの署名もされているのですが、これは何のための融資だというふうお考えですか。指定弁護士さんは、これは虚偽記載の隠蔽工作ではないかと見ているのですが。これはどういう風にお考えですか。どう説明されますか。
司会: あのですね、フリーの方を優先してということなんで。
小沢: ちゃんとあなたルールを守らなくちゃダメだよ、答えるけれども。(幹事社は)代表して(質問を)やったんでしょ?
司会: フリーだと思ったら、(当てた記者が)フリーじゃないと知らなかったので。
自由報道協会・田中龍作氏(以下、田中): 小沢さんがこうまでマスコミと検察に狙われるのは、検事総長をはじめとする検察の人事、それから記者会見のオープン化、それから新聞社がテレビ局を持つという奇妙奇天烈なクロスオーナーシップ、ここら辺に踏み込むからじゃないかと見る動きもあります。小沢さん自身はこれをどう考えておりますでしょうか。
小沢: 私は検察の人事であれなんであれ官僚の人事にいろいろ干渉したり口を出したりしたことはありません。ただ、それとは別にもうひとつ言った、マスコミもいわゆる法律的にも集中排除の原則というのを法的にちゃんと規定されております。そういうことと同時に、私はやはりどういう分野であっても程度の差はあれ自由な競争というものが必要だと思っております。ですから身近なことでいえばずっと以前から私は「どなたでもどうぞ」というふうにオープンにしております。それが私の基本的考え方だからです。
田中: それが記者クラブに睨まれた理由ですか? そう思いますか。
小沢: それはわかりません。
司会: さっき私の仕切りの言葉が悪かったので誤解された方がいるかも知れません。フリーの方、あとお1人、どなたか挙手をお願いします。
ニコニコ動画・七尾功: 冒頭ございましたように、今回の裁判におきましては小沢さんへの支持・不支持ということを超えまして、これまでと大きく違い司法のあり方そのものに疑問視する声が非常に多い状況となっております。こうした現実の国民や識者の声がある一方で、ちょっと重なりますが、マスメディアのいう「世論」というものがあります。これは昔から、こうした声というものは正反対の意見が多いのですが、この点につきましてもう少しお考えをお聞かせいただけますでしょうか。あと、今後の対応です。要するに国民と称して2つの大きい意見が、正反対の意見があるということです。
小沢: 私はテレビ・新聞のやっている世論調査、国民の声というものがまったくでたらめだとは申し上げませんが、しかし必ずしも全国民の、満遍なく意見を代表しているという風にも思えません。ですから、もしその通りであるならば私自身が選挙に受かることもなかったでしょうし、こうして政治家として活動が許されることもなかったと思います。ですから賛否両論、いろいろ私に対してはあると思います。それは当然です。しかし、それが一方的なものであるとは私思っておりませんので。「頑張ってくれ」と言う大勢の方もありますし、私自身、なんら一点もやましいことはありませんので、今後も頑張っていきたいと思います。
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(山下真史)
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