就職人気ランキング上位が表す世相と社会へ出るまでの課題
世相を表す就職人気ランキング
毎年恒例行事となっている就職人気ランキングの2017年卒が発表されています。
その時世によってランキングには変化がみられます。
今回発表のあった大手就職サイトの調べでは、文系ではANAやJALが上位に顔を並べ、理系では食品業界が上位を独占と言っていいほどの状態です。
その他では金融業界はランキングを落し、商社は業績によってばらつきがあるようです。
いつものことですが、ランキングに上がってくる企業名は誰もが知っている企業ばかりです。
人気って何でしょう。給与?安定?規模?将来性?
人気という時点で、多くの人が知っている企業の中から選んでいます。
このことも忘れてはいけません。
受験と同じモノサシで就職を考えるのは誤り
良くも悪くも「今」を反映しているのが、就職人気ランキング。学生の就職を考えた時、「今」からみる「未来」と「未来」からみる「今」、両方の視点でランキングを作成すると面白いかもしれません。
どのような結果になるのでしょう。出ているランキングとは変わってくるように思います。
終身雇用と捉えなければ、「今」だけをみて就職するのも理にかなっているようにも感じられますが、何かが抜け落ちています。
抜け落ちていることとは、問いかけです。
「働くとは?」
働くまでに、この問いかけが必要になります。
問いかけは、経験の中から生まれことが多くあります。
学生たちは小中高大と進む途中で、社会や自然、人と関わる経験が絶対的に少なく、その代り「勉強」をして、順送りに社会に出されます。
問いかけどころではありません。問いかけることをしないので、就職するときも入試のように試験を受けて入社することが目標になり、採用されるにどうすればいいのかというモノサシで自分を図りだします。
その時、多くの学生が言うことがあります。何をしてきたか分からないと。
「働くとは」を社会に出るまでに考えることが大切
就職試験前の指導では、各自が経験したことを話してもらい、何をしてきたのかを見つけていきます。
しかし見つけていく過程をみると、深く考えていくことは年々無くなっている傾向にあります。
便利な世の中ですから、考えることがなくても生活していけます。
物が不足していた時代は、創意や工夫、知恵といったことが生きていく術でした。
そして働くことが自分のためでもあり、周りの人々のためでもあり、社会のためでもありました。
つまり、意識しなくても、働くことで何かに役立っていました。今は違うのです。
最近、マイクロソフトのAI「Tay」が暴言を吐いたとニュースで話題になっていました。
これはコンピューターにインプットする情報を誤ると、結果も期待したものと異なることを示しています。
人工知能と人間をそのまま比べるわけにはいきませんが、人間が育つ過程を重ね合わせると、環境によって育ちは左右され、環境を選ばないといけない時代に突入しているようです。
「働くとは?」何でしょう。
社会に出るまでに、この答えを探し始めることが大切な時代となりました。
(木村 文俊/大学生塾 理事長)
関連記事リンク(外部サイト)
岩波書店の応募条件、コネ採用の明示は法的にOK?
就活戦線で一歩先ゆくイメージ戦略
就職活動をリードする「文理学生」が求められるワケ
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。