2800人の”最期”を看取った医師が患者に行っている「セラピー」とは?

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2800人の”最期”を看取った医師が患者に行っている「セラピー」とは?

 昨年、日本では130万人の人が亡くなったと推計されています。日本の全人口は約1億2690万人(2015年10月)なので、単純計算で100人に1人よりほんの少しだけ多いということになります。1990年代の死者数は70万人前後でしたが、2003年には100万人を突破。今後高齢化が進むにつれ、この数はさらに増えると見られています。

 なんだか寂しく、暗く感じてしまう話ですが、人間は生まれた以上、必ず「死」が訪れるもの。そうであれば、できる限り悔いのないよう人生を終えたいと、多くの人が思うことでしょう。

 そんな人生の終わりを数多く目にしてきたのが、ホスピス医の小澤竹俊さん。ホスピスとは終末期にある人をケアする医療施設で、小澤さんは94年より横浜甦生病院のホスピス病棟に務め、後に病棟長に就任。06年には、在宅での終末医療の充実と後身の育成を目的に、「めぐみ在宅クリニック」を開院し、これまでに2800人にも上る患者さんの最期を看取ってきたそうです。

 そんな小澤さんの著書『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』には、健康に生きることの大切さや命の尊さがホスピス医の視点から記されていますが、一方で、小澤さんが終末期にある人に対して行っている「ディグニティセラピー」についても、触れられています。9つの質問を患者さんにすることで、人生を肯定的に振り返ってもらうことを目的としたものです。

 ここでは、その一部をご紹介したいと思います。

・あなたの人生において、特に記憶に残っていること、最も大切だと考えることは? あなたが一番生き生きしていたのは、いつ頃ですか?

・あなた自身について、大切な人に知っておいてほしいこと、覚えてもらいたいことは?

・大切な人に対するあなたの希望や夢はどんなことでしょう?

・この永久記録を作るにあたって、含めておきたいことは?

 自分の命が残り少ないことを知り投げやりになっていた患者さんも、ディグニティセラピーによって穏やかな態度を取るようになるといいます。それまでの人生が決して意味のないものではなかったと捉えることができ、また、家族には手紙という形で言葉が残されるため、安心感を得られるのがその理由です。

 終末期を迎えた親族がいるという人はもちろん、健康だけど自分自身をきちんと見つめ直したいという人は、本書に記されたディグニティセラピーを参考に、この先の人生を考えてみてはいかがでしょうか。

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