社会人カーストなるコンプレックスを克服するには
社会人カーストとは?
スクールカーストやママカーストといった言葉を、ここ数年、耳にすることが多くなってきました。
更には「社会人カースト」といった表現も出て来ています。
“カースト制度”が存在するわけではないのに、年収の差だけで「他人よりも下」といったコンプレックスを8割の人が抱いているという、アンケートから浮き彫りにされてもいるようです。
働き方の多様化が社会人カーストを感じる原因に
ではなぜ、このような「社会人カースト」なるものを感じるようになってきたのでしょうか。
そこには、“働き方の変化”が大きく影響していると考えます。
家業を継ぐことが普通だった時代では職業選択という概念が少なかったといえます。
そこから戦後、時代は変わり、社会情勢も高度経済成長期に入り、職業選択の自由が持てるようになり、終身雇用、年功序列といった長期に渡り、一つの企業に留まり、定年を迎えると言う、ある意味、確定的要素の高い働き方が主流となったのです。
しかし、そこからバブル期、その崩壊期と経て来た今、職業選択の自由さが、かえってどのように働いていくのか、自分自身のライフキャリアをどのように築いていくのか、といった悩みを抱えるようにも変わってきたのです。
数ある選択肢から一つを決めるには、選ぶ理由が必要です。
但し、選択の理由には絶対的な正解はなく、迷い、選んだ後でも、この選択でよかったのか?など迷う。
この働くこと自体が悩ましい問題になっているのが現代の様相といえましょう。
そんな時代だからこそ、明確に人と比較し、わかりやすく数値として挙げられる基準が欲しくなってきたのではないでしょうか。
それが数値として表れる年収であり、どうしても比べた時の差に目が行きがちになっているのが、問題点だと思います。
ただただ、わかりやすい数値だけに踊らされ、敢えて自分自身からコンプレックスを感じる必要は全くないということなのですが。
まずは、意味なく比べて落ち込むのではなく、「自分自身は他人とは違う」「年収の高さが唯一の自己実現・幸せの基準ではない」ということを、しっかりと認識してみませんか。
ご自分の人生は、他の誰のものでもありません。比較して卑下するのではなく、自分自身がどうなのか、個別具体的なあなたの人生、ライフキャリアを見つめ直すことから、始めましょう。
働き方を見つめなおすときに役に立つ理論
キャリア理論には沢山のものがあるのですが、私が自分自身もことあるごとに思い返す、キャリアの基本としているものがあります。
それは、「プランド・ハプンスタンス・セオリー」(planned happenstance theory)という、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授によって提唱されたもの。
日本語としては「計画されたかのような偶発性」等と訳されています。
キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くすことを積み重ねることで形成されていく、という内容です。
それを後から振り返ると、あたかも計画された出来事をこなした結果として、自身のキャリアにつながっているというものです。
社会に出たら、自分自身の都合や思いだけで動くわけではありませんよね。
むしろ、自己以外の他者との関わりや環境からの影響を多大に受けるワケです。
その中で、たまたま目の前に起きた偶然性をプランドハプンスタンスへと換えていくためには、以下の5つの力を磨いておくことが必要とされています。
プランドハプンスタンスでキャリアを積むために必要なこと
①好奇心(Curiosity)新しい学習機会を模索。
②持続性(Persistence)失敗に屈せず努力する。
③楽観性(Optimism)新しい機会が「可能となる」と捉える。
④柔軟性(Flexibility)態度や行動を変えること。
⑤冒険性(Risk-taking)結果が不確実でも行動を起こす。
如何でしょうか。もし、「社会人カースト」という概念なるものに、縛られてしまっていたら、是非ともまずは、この変化の激しい現代社会にて働く際の自己の持ち方を、見直して頂きたければと思います。
その際には、上記の理論なども活用し、縛られているコンプレックスから脱却して頂ければ幸いです。
(角野 裕美/キャリアカウンセラー)
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