昔は何が建ってた?「土地の歴史」をさかのぼってみた
一人ひとりに人生のヒストリーがあるように、全ての土地にも歴史があります。いま自分が住んでいる家の土地にも、かつては全く別の用途で使われていた過去があるわけです。家を買うとき、借りるときにも「昔そこに何があったか」が気になる人は少なくないかもしれません。そこで、実際に土地の履歴(以下、地歴)を調べる方法をご紹介します。
ネットで簡単に調べられる「地歴」
ということで、さっそく筆者宅の地歴をリサーチしよう…と思ったのですが、それだと自宅の場所がばれてしまうわけで(まあ、ばれたところで誰もこないと思いますが)。このご時世、我が家をネットにさらすのは何かとやばそうなので、今回は筆者が働く「やじろべえ」という会社の地歴を調べるということでご勘弁ください(あ、会社にもこないでくださいね)。
さて、地歴を調べるにあたり、最も手っ取り早いのは国土地理院のウェブサイト「地理空間情報ライブラリー」を使う方法。なんと、国土地理院が所有する年代別の古地図や空中写真を無料で閲覧できてしまうのです。素晴らしい!【画像1】国土地理院ウェブサイト・地理空間情報ライブラリーPCサイト画面キャプチャ
さっそく、調べたい地歴の住所を検索してみましょう。すると、年代・縮尺別に20の地図と23の航空写真がヒット。なお、当該エリア「東京都千代田区三崎町3丁目」の地図は明治中期、空中写真は昭和11年(1936年)のものが同ライブラリーにアーカイブされている最も古い資料のようです。
では本題。件(くだん)の土地には、かつて何があったのか?【画像2】現在のJR水道橋駅南側一帯に設けられた、だだっぴろい「練兵場」。すなわち兵隊さんの訓練施設。その隅っこが、現在の弊社がある場所でした(出典:国土地理院ウェブサイト・地理空間情報ライブラリー)
明治の地図には「練兵場」との記載が。なるほど、陸軍所管の軍用地だったわけか。なお、それ以前は「講武所」という幕府の施設で、旗本や御家人に剣術・砲術などを学ばせる場所だったようで、なんとも意外すぎる土地のヒストリーでした。まあ、軍用地といってもそれほど物騒な施設ではなく、いわゆる「事故物件」にあたるような事案ではなさそうで正直ひと安心です。
【地図】赤く囲まれたところが現在の三崎町3丁目周辺
地元の図書館にある地図資料を探そう
さて、時間があれば、地域の図書館に収蔵されている資料を紐解いてみるのもいいでしょう。国土地理院のデータベースにはない、さらに詳細な地図資料が見つかったりします。
実際、会社近所の図書館で見つけた昭和初期のものと思しき当該エリア(千代田区三崎町2・3丁目近辺)の地図には、細かい区画や一つひとつの建物、そこに入る会社や店舗名まで細かく記載され、地歴のみならず当時の周辺環境もよーく分かりました。「ミルクホール」や「カフェー」などの表記が時代を感じさせます。ちなみにこの地図は、どうやら個人のお手製のものだったらしく、「トンボをよくとった」「ここで盆踊りをした」「この川で泳いだ」といった思い出がところどころ記されていてほほ笑ましかったです。
ともあれ、土地の利用履歴自体は法務局でも調べられますが、古地図をさかのぼるほうがロマンを感じられておすすめです。ブラタモリ的なレジャー要素もあって、けっこう楽しいですよ。●参考
・国土地理院 地理空間情報ライブラリー
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