これぞ自転車操業!? 客が自転車をこいで作る米LAのエコ・アイスクリームショップ
自転車操業という言葉をご存知でしょうか? 操業をやめてしまえば倒産するしかない会社が、それを防ぐために借金を次々に転化させて操業を続けていく……。つまりは、自転車は回転しているあいだは倒れないが、その回転を止めてしまえば倒れてしまうという意味です。
米ロサンゼルスには、お客さん自らが自転車をこいでアイスクリームを作るユニークなお店があるんです。本来の意味とは違う「健全な自転車操業」というべきこのお店、いったいどんなところなんでしょうか。
LAのサイクリストたちが集まるアイスクリームショップ
米ロサンゼルス市内。その名も「PEDDLER’S CREAMERY(ペダラーズ・クリーマリー)」は、ダウンタウンの一角に店舗を構えています。外からながめると、よく街にある普通のアイスクリームショップとなんら変わりません。
お店の中に入ると、こちらも何も変わったところのない、アメリカらしいオシャレな雰囲気です。が、店内をよく見渡してみると……。
お店の隅に、何やら無造作に置かれた自転車が1台。その上にはたくさんの車輪が飾られ、一見自転車のモニュメントのようにも見えます。
その横にある案内板に注目。
Want to make ice cream? Ask us how to become a peddeler. (And earn sweet rewards!)
日本語に直訳すると「アイスクリームを作りたい?私たちにペダラーになる方法を聞いて下さい。(甘い報酬を稼げますよ!)」とのこと。
いったいどういうことなのでしょうか?
案内板に書かれてある通り、お店の方にペダラーとやらになる方法を聞いてみました。
私「アイ・ウォント・トゥー・ビカム・ア・ペダラー。クージュー・テルミー・ハウツー・ビカム?」(直訳:私はペダラーになりたい。ペダラーになる方法を教えて頂けますか?)
お姉さん「Yes, of course! You have to peddle the bicycle to become a peddler. Then you can make ice cream.」(直訳:はい、もちろん!ペダラーになるためには、あなたはその自転車をこがなければなりません。そうすれば、あなたはアイスクリームを作ることができますよ)
こんな会話があったような、なかったような……。
“甘い報酬”を得るため、実際に自転車をこいでみた
ものは試しと、とにかく言われた通りに自転車をこいでみることに。
これで自分もペダラーとやらになれるのかと、こぎ始めてみたのですが……。
お気づきでしょうか? まさかの足がペダルに届かない!!!! (笑)
これではひとこぎもままなりません。苦笑いの店員さんに高さ調節をしてもらいました。どうやらサドルの高さがアメリカ人仕様になっていたようです。そういうことにして下さい。
ペダルの高さも整ったところで、実際にこいでみた様子がこちらです。自転車のモニュメントだと思っていた自転車の車輪は、まるでオルゴールでもあるかのように複雑に動き出しました。
どうやらこうして自転車をこぐことで発電して、その電力を使ってアイスクリームを作るようです。確かに、これぞまさしく自転車操業のエコ・アイスクリームショップじゃないですか!
ところで、いったいどのぐらい自転車をこげば、私はその”甘い報酬”とやらを稼ぐことができるのでしょうか?
私「ハウ・ロング・タイム・ドゥー・アイ・ハフ・トゥー・ペダル?」(直訳:どのぐらいこがなければならないのですか?)
お姉さん「It’s 20 minutes.」(直訳:20分ですよ)
どうやら20分間こぎ続けないと、”甘い報酬”を稼ぐことはできないようです。甘い報酬……それはいったいなんだったのだろうか?とお姉さんを見る私(どう考えてもアイスクリームだが)。
正確には、約15マイル(約24キロ)のペースで20分間こぎ続けて、1ガロン(3.8リットル)のアイスクリームが作れるのだそうですよ。
オーガニックにとことんこだわったアイスクリーム
さて、簡単に自転車操業への協力を断念した私は、お金でアイスクリームを買うことにしたわけです。こちらでは、アイスクリームをスプーンでひとつ試食をさせてくれますので、気になったものを頼んでみましょう。
今回注文したのは、シングル(4.5ドル)とダブル(6.5ドル)。左がシナモン、右がラズベリーとラベンダーです。どれも濃厚かつスッキリとしたミルクをベースに、決して香料の風味だけではない、素材本来の風味がしっかりと効いています。
アイスクリームの種類は、その日によって違うメニューと定番メニューがあり、オーガニックにとことんこだわり、フェアトレードで手に入れた素材を使用しています。
アメリカにいると、どうしても食生活の中心がハンバーガーやホットドッグなどのファストフードに偏りがちです。また、車中心の社会のため、自分の足で歩くことがほとんどなくなります。サイクリングとオーガニックなアイスクリームを組み合わせたこのお店は、近年世界的に高まりつつある健康志向にマッチしているのかもしれませんね。
ロサンゼルスで噂の自転車操業のお店の正体は、お客さん自らが自転車をこいで作る、エコ・アイスクリームショップでした。ロサンゼルスへ訪れたら、是非立ち寄ってみて下さいね。
お店情報
PEDDLER’S CREAMERY
住所:458 S Main St, Los Angeles, CA 90013
営業時間:12:00〜22:00
ウェブサイト:http://www.peddlerscreamery.com/
書いた人:
矢口優太
1985年、山形県最上町生まれ。桜美林大学卒業後、家業であるタクシー会社に勤務。新規に旅行代理店・カフェ事業を立ち上げる。東京で大手旅行会社勤務を経て、2013年より念願の音楽業界へ転身。ライブ制作・マネジメントの傍ら、経験を活かしてフリーライターとしても活動。最上ロックフェス主宰も務める。 Twitter:@yuta69nroll
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