「沖縄に任せるのは望ましくない」 普天間基地移設について元・米国務省日本部長

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元・米国務省日本部長のケビン・メア氏

 「沖縄はゆすりの名人」などと発言したと報道され、今年3月に米国務省日本部長を更迭されたケビン・メア氏が2011年9月24日、ニコニコ生放送の特別番組に出演。日本の安全保障政策に関わる沖縄県普天間の米軍基地移設問題などについて、「政府が安全保障政策を(沖縄)県に任せること自体が望ましくない」と述べた。

 米国務省は、日本の外務省に相当し、アメリカの外交政策を担う行政機関である。メア氏は1981年に国務省に入省し、駐日大使館公使、沖縄総領事などを歴任。2009年に国務省日本部長に就任したが、「沖縄はゆすりの名人」発言の報道がきっかけで解任され、今年4月に国務省を退職。問題になった発言については、著作「決断できない日本」(文春新書)などで、「私ははめられた」と否定している。

 番組では、沖縄県宜野湾市にある米海兵隊普天間飛行場の移設問題が取り上げられた。長年にわたって沖縄問題を含め日米外交に携わったメア氏は、「”中国の東シナ海進出”に対する抑止力」と「機動力」などの観点から海兵隊の重要性を強調。その上でメア氏は「普天間の移設先を考えると国内政治、県内政治など難しい問題があるが、(訓練などの統合性のある基地の)能力を普天間で維持するか、(地元の)負担軽減のために移設するかどちらかの選択肢を選ばなければならない」と述べた。

 これを受けて、同席した元防衛大学教授の孫崎享氏は、在日米軍基地の重要性を認めつつも、敵地への上陸作戦を任務とする海兵隊が沖縄にある必要性については疑問を提示。さらに、孫崎氏は「一番重要なことは沖縄県民が(普天間飛行場を名護市の)辺野古(へ移設すること)に合意しないことだ」とした上で、

「(沖縄県民が合意しないことを)日米(政府)が強力にやるということは、日米関係全体にとって悪い」

と主張した。

 普天間飛行場については、日米合意に基づいて在日米軍基地のキャンプ・シュワブのある辺野古へ移設する計画がある。しかし、地元住民の根強い反発により、進展がない。メア氏は孫崎氏の発言を受けて、長年の日米間の交渉の末に、海兵隊が沖縄に必要だという結果になったということを繰り返した上で、さらに

「政府が安全保障政策を(沖縄)県に任せること自体が望ましくない」

と語り、「安全保障は国の責任だから、知事に任せるわけ(にはいか)ない」と反論した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]ケビン・メア氏の発言部分から視聴-会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv64027201?po=news&ref=news#57:36

(山下真史)

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