信頼感がグッと増す!上手な「返信メール」の書き方

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平凡な返信メールがもたらす非効率とは?

メールでのコミュニケーションを得意にしている人でも、つい無頓着になりがちなのが「返信メール」です。仮に、上司からあなたに、次のようなメールが送られて来たとします。

鈴木くん、お疲れさまです。

再来週の22日(金)あたりに、

工藤部長の送別会を開きたいと考えています。

鈴木くんに幹事をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

水野より

あなたなら、このメールに対して、どのような返信文を書きますか?

【返信例1】

水野課長、お疲れさまです。

歓迎会の幹事の件、喜んでお受け致します。

よろしくお願い致します。

幹事快諾の旨を伝えたこの返信に落ち度はありません。しかし、理想の返信かといえば、そうともいえません。ちょっぴり惜しい返信文です。この後、この送別会の段取りはどう進んでいくのでしょうか?

鈴木さんと水野課長のあいだで、「場所は?」「時間は?」「費用は?」「工藤部長への贈り物は?」など、何往復ものメールが行き来する様子が目に浮かびます。「質問→回答」をくり返すのは、お互いにとって、時間と労力のムダを言わざるを得ません。

では、鈴木さんは、どのような書き方をすれば“ちょっぴり惜しい返信文”から抜け出せるでしょうか。

【返信例2】

水野課長、お疲れさまです。

歓迎会の幹事の件、喜んでお受け致します。

工藤部長に喜んでいただけるよう、精一杯やらせていただきます。

会場のご希望などございますか。

駅前にあるイタリアン「Be-Pasta」に問い合わせたところ、

19日(金)19〜21時であれば、40人まで入る個室が押さえられます。

食事8品+飲み放題で、1人4000円でいけるそうです。

工藤部長にお花やプレゼントを贈ることも考えると、

参加費を1人5000円徴収して、プレゼント代を捻出できればと考えております。

何かご意見、ご要望等あれば、お申し付けください。

鈴木さんは、ささっとリサーチを済ませたうえで、返信メールで「仮プラン」を提案しました。「返信例1」と比べて、「返信例2」では、物事が一歩も二歩も先に進んでいます。何よりも、幹事を引き受けた鈴木さんのやる気が伝わってきます。

この「仮プラン」に対して、水野課長が「いいね」と言えば、あっという間に送別会の大枠が決まります。水野課長としてもひと安心ではないでしょうか。

万が一、「仮プラン」が水野課長の思惑と違っていたとしても、「仮プラン」を提案した意義は薄まりません。なぜなら、「開始時間は19時ではなく、18時半にしよう」「参加費をもう1000円上げて、その分で食事の品数を増やせないか?」という具合に、水野課長が指示を出しやすくなるからです。

デキる人ほど返信メールで、相手の期待を上回る!

返信メールを書くときのポイントは、「相手の期待を上回ること」です。

メールを受け取るときは、相手から何かしらの依頼や要望、指示を受けるケースが少なくありません。そのときに、いかに相手のニーズ(求めているもの)を汲みとって、相手の期待を上回る返信をできるか。これによって、物事の推進スピードが大きく変化します。

先ほどのメールでいうなら、「どんな返信をすれば、水野課長が喜んでくれるだろうか?」「水野課長の負担が減るだろうか?」と相手の気持ちを想像することが肝心です。期待を上回るためには、水野部長が「えっ、もう、そこまで考えてくれたの?」と喜ぶような(あるいは、感動するような)返信をする必要があるのです。

相手の期待を上回る返信をする恩恵は、返信者自身(鈴木さん)にも跳ね返ってきます。返信メールを読んだ水野課長が「さすが鈴木くんは、仕事が的確で速い。彼に幹事を任せておけば安心だ」と感じてくれれば、水野課長のなかで鈴木さんの株(信頼や評価)が上がります。

信頼をいうのは、大きな仕事を成し遂げたときだけに得られるものではありません。ちょっとした気遣いや機転をコツコツと積み上げながら獲得していくものでもあるのです。

もちろん、期待を上回るつもりが、相手から「拙速」「出すぎたマネ」「言っていることがトンチンカン」と思われては本末転倒です。相手の立場に立ち、相手の気持ちを想像したうえで、「どのような返信文を書けば、相手を喜ばすことができるだろうか?」と絶妙な“落とし所”を見つけることが大事です。

アポのメールが送られてきた。果たして、どう返信する?

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相手の期待を上回る返信は、あらゆるメールに活用できます。

たとえば、初めて仕事で関わる会社の担当者から「いちど、お打ち合わせの時間をいただけませんでしょうか」という主旨のメールを受けた場合、どのような返信文を書けばいいでしょうか?

「承知しました。お打ち合わせをお願い致します」という書き方の返信文では、相手から「いつがよろしいでしょうか?」とメールが来るのを待つことになります。この手の先延ばしほどバカバカしいものはありません。はっきり言ってムダです。このムダをなくすために、最初の返信メールで、話を一歩先に進めておくのです。

ぜひ、お打ち合わせをお願い致します。

ちなみに、直近では、下記の日時に空きがございます。

3月2日(水)13時〜15時

3月3日(木)15時〜18時

3月4日(金)14時〜16時

3月7日(月)15時〜18時

木村様のご都合はいかがでしょうか。

もしもご都合がつかないようなら、

8日以降で希望の候補日をいただければ幸いです。

お打ち合わせの場所ですが、

ご迷惑でなければ、貴社にうかがいます。

ご検討いただけますよう、よろしくお願い致します。

このような返信であれば、ムダなやり取りを減らすことができます。

上記の返信メールで、相手の期待を上回ったポイントは以下の3点です。

①日時の候補を提示した

②都合がつかないときは、候補日をいただきたい旨を伝えた

③貴社にうかがう旨を伝えた

もしも、提示した日時で都合が合えば、「では、2日の13時でお願い致します」というメールが来るはずです。スムーズにやり取り完了です。

万が一、都合が合わない場合も、「8日以降で希望の候補日をいただければ幸いです(②)」と先手を打ってあるので、次のメールで具体的な日時候補が送られてくるはずです。

この②を書き忘れると、人によっては、「残念ながら、ご提示いただいた日時で都合がつきません。ほかの日時をいただけますでしょうか?」といったメールが送られてきかねません。「日時を再提示する→相手の都合が合わない→また再提示する→また都合が合わない」では、時間と労力がかかって仕方ありません。

「貴社にうかがう旨(③)」は、相手との関係性にもよりますが、こちらに時間的な余裕がある場合は、盛り込んでもいい言葉ではないでしょうか。「こちらからお誘いしたのに、わざわざ来てくれるなんて、ありがたい(申し訳ない)」と思ってくれたら、それもまた「信頼」や「好意」という形で、返信者自身に跳ね返ってきます。くり返しになりますが、「相手の期待を上回ること」が返信メールのポイントです。

返信メールは大きなチャンス!

返信メールというのは、相手との信頼を築くチャンスにほかなりません。なぜなら、多くの人が「返信メール」に、さほど期待していないからです。「(こちらの依頼や要望、指示が)断られなければOK」という程度の心理状態です。期待値が低いゆえに、インパクトを残しやすいのです。

メールを受信したら、意気揚々と腕まくりをして「さて、今回はどんな返信メールを書いて、相手の期待を上回ろうかな?」と考えてみてはいかがでしょうか? それが、筆者からの提案です。

相手から信頼を寄せられて、なおかつ、自分自身の仕事の効率化も図れる(ムダなやり取りが減る)。返信メールにひと手間かける効果効能は“一石二鳥”どころではありません。

著者:山口拓朗

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『だから、読み手に伝わらない!(もう失敗しない文章コミュニケーションの技術)』著者。伝える力【話す・書く】研究所主宰。「伝わる文章の書き方」や「メールコミュニケーション」「キャッチコピー作成」等の文章スキルをテーマに執筆・講演活動を行う。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。

山口拓朗公式サイト

http://yamaguchi-takuro.com/

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