地方議会は国会と同じ立法機関である 佐々木信夫中央大学教授

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さる平成27年統一地方選挙直前、中央大学教授佐々木信夫先生に地方議会のあり方をインタビューしました。
民主主義が崩壊する前に 佐々木信夫中央大学教授 (平成27年4月動画収録 地方議会ニュース)
佐々木先生近影

第1回 地方議会は国会と同じ立法機関である

中央大学の佐々木です。地方議会の問題についていろいろ話をしてみたいと思います。
統一地方選挙を前に地方議会のあり方がいろいろな形で問われています。政務活動費の使い方が杜撰ではないかとの指摘もあれば、地方議会の議員の活動はどうも何をやっているのかわからない、地方議会はそもそも必要なのかとの原点に立ち返ったような話もあります。

なぜ地方議会の改革が必要かという点で申し上げると、戦後70年、18回の統一地方選挙を行っていますが、この間、2000年以前と2000年以後を分けると戦後55年の間の地方議会の存在というものは地方自治体の脇役でした。各省大臣の地方の機関として知事、市町村長などを位置づけて「縦のライン」で国の委任した業務を行うのが大半の地方自治体の業務でありました。

したがって知事、市町村長に委任した事務は自治体の仕事ですが、意思決定には関わらなくて良いということでありました。実際に条例を提案することも出来ませんでしたし、知事が出した予算を減額修正するなんてことも出来ず、地方議会は執行したものをチェックする機関と言われてきました。これが戦後55年間の地方議会だったと思います。

平成15年以降も地方分権改革と言っていますが、地方分権一括法によってこれはガラっと様相が変わっております。概ね8割の仕事は地方自治体の権限によって意思決定される自治事務に変わったということです。

したがって各県各市町村の議会が国会にかわって地域の国会の役割を果たすようになってきた。そこでは予算も条例もすべてを決定するという役割がありますし、同時に執行機関をチェックすることも議会の役割です。

最近では地方議会の議員がそれぞれ政策提案、条例提案をするという役割もクローズアップされてきました。さらに「4年間おまかせ」ではありませんので、この間に意思決定をするにあたって民意を集約するということ、つまり単なる監視やチェックが仕事であった地方議会の役割は終わり、現在は立法機関として決定者であり、監視者であり、提案者であり、意見の集約者であるという、この4つの役割を果たせるかどうかの議会になっているかどうかの視点から地方議会が大きな問題になってきていると思います。
動画はこちら

中央大学経済学部教授 佐々木信夫 (行政学者)
新しい自治体のあり方や市町村合併、行政のしくみを説く。市町村合併のテレビ解説で第4回NHK地域放送文化賞を受賞。日本の「あるべき姿」を唱えて活動している。(wikipedia佐々木信夫行政学者より)
著書
自治体政策 (日本経済評論社2008) 現代地方自治 (学陽書房2009)
地方議員 (PHP新書2009) 都知事 権力と都制 (中公新書 2011) ほか多数

 

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