女性が5年後も輝くための、キャリア&ライフの描き方~Woman’s Career Partyより~
女性がイキイキ活躍できる環境や働き方を考えるキャリアイベント「Woman’s Career Party」が2月17日(水)夜、開催された。定員80名に対して300名超からの応募があり、「活躍する女性のキャリア観」に対する注目度の高さが感じられたこのイベント、アクセンチュア、GE、リクルートキャリアの3社で活躍する女性社員6名が登壇し、それぞれのキャリアの歩み方、プライベートなどを語った。
「出産・育児をきっかけに、キャリアの幅が広がった」
第一部のテーマは、「3人の活躍女性が語る、私のキャリア&ライフ」。3社で活躍する30代女性が1人ずつ登壇し、自身が歩んできたキャリアと、プライベートとのバランスについて語った。
1人目は、アクセンチュアに勤める植野さん。2001年に自動車メーカーに新卒入社し、人事部で海外人事支援や研修開発に携わっていたが、夫のNY赴任を機に退職。そして帰国後の2006年、アクセンチュアに中途入社した。現在は、シニア・マネジャーとして活躍中。6歳と3歳になる男の子の母親でもある。
▲アクセンチュア・植野さん
「夫の海外赴任をきっかけに、それまでのキャリアを一旦切り上げることになりました。この経験から、女性のキャリアはライフイベントの影響を受けやすいと実感。次もいつ辞めることになるかわからないので、短期間でも最高のスキルを身につけられる可能性があり、かつ転職市場においても自分の価値を高められる環境がいいと考え、コンサルティング会社を志望したんです」
入社後は、アナリストとして通信業界のコンサルティングに従事。その頃、マレーシアでの海外トレーニングに参加した。
「前職もグローバルカンパニーと言われていましたが、本当のグローバルカンパニーとはこういうことか!と実感しました。世界のオフィスから社員が集まり、グループにわかれて擬似プロジェクトを行うトレーニングでしたが、さまざまな国の社員と協働し、意見を交換しながらプロジェクトを進めるという経験は非常に刺激的でしたね」
その後、コンサルタントとして活躍するさなかに第一子の妊娠が発覚。今の仕事を続けられるだろうか…と悩む中で、思いがけずマネージャーに昇格する。そして、マネージャーとして1つのプロジェクトを手掛けた後に産休入り。
「1人目の時は1年半、2人目は11カ月ほど、しっかり休みました。2人合わせて2年半ぐらい、子育てに専念する時間をいただいています。2人目の育児休暇からの復帰後は、さすがに両立は無理か…と思うこともありました。しかし、尊敬する先輩からの『僕は植野さんに仕事を続けてほしいし活躍してほしい』との言葉に支えられ、何とか続けてこられました」
時短勤務中はクライアント先への常駐は叶わず、その代わりに「コーポレート・シチズンシップ活動」という、コンサルタントのスキルを活かして社会貢献をするCSR活動に従事。「出産・育児をきっかけに、キャリアの幅が広がった」という。
その後、スライドで植野さんの「1週間のスケジュール」が映し出された。仕事に、子育てに…と寸分のスキもないスケジュール表に、会場が少しざわつく。
「早起きして、子どもが起きる前に資料作成やメールチェックなどの作業を済ませます。7時に子どもが起きたら準備をさせて送り出し、自分も出社。その後はほとんど部下とのミーティングで終わってしまいますね。18時半までには子どものお迎えに行かねばならないので、自分の作業に充てられる時間は朝と隙間時間のみといったところ。でも、週に2回はお迎えをお願いして、夜を自分の時間に充てています。残業をしたりクライアントの会食に行ったり、英語の勉強に使ったりしていますね」
「悩みながらも自ら行動することでキャリアを切り開いてきた」
2人目の登壇者は、GE ヘルスケア・ジャパンの鈴木さん。医用画像診断装置の開発・製造・販売等を手掛けている同社で、鈴木さんはエンジニアとして活躍している。現在は、MRI製品の基板の一部の設計や、日本で開発したMRI「SIGNA pioneer」の品質チームリードなどを担当。
▲GE ヘルスケア・ジャパンの鈴木さん
「日本に進出している外資系医療機器メーカーはたくさんありますが、国内で開発も製造も行っているのはGEだけ。『我々は、患者さんのために最善を尽くすことに誇りを持つ』という企業理念を持っていますが、日々の仕事の中でもよくこの言葉が使われており、社員のやりがいにつながっていると感じます。また、使い古された言葉かもしれませんが、風通しの良さはすごく感じますね。どのポジションの人に対しても自由に意見が言いやすいし、認められやすい。会社も、社員の意見を取り入れていこうという方針なので、とても働きやすいです」
今はやりがいを持って働いている鈴木さんだが、入社当初はキャリアに悩むこともあったという。
「大学院で医療機器の勉強をしていたので、GEへの入社は念願でした。しかし、入社した年に内部監査が入り、その対応に1年間追われてしまった。2年目に入って、ようやく技術系の仕事ができるかなと思っていたら、所属するグループのマネジメント部門に吸収されてしまい…自分が今後、どんなキャリアを歩めばいいのか、完全に見失ってしまったんです。どうやって現状打破したかというと…上司に素直に『もっと技術よりの仕事がしたい。何とかアサインしてもらえないか』とお願いしました。ちょうど、現在所属するMR技術部が拡大するタイミングだったので、運よく異動が叶ったんです」
しかし、異動してからも試練が続いた。周りは長く技術畑にいた人ばかり。自身はMRIの知識が浅く、実力不足を痛感したという。
この時も、「今後のキャリアについて上司に素直に相談した」ことから、道が開けた。
「当時、製品の品質向上について注目が集まっていた時期で、品質部門をリードする人材を育てようという方針のもと、アメリカでトレーニングが行われていました。それに私が選ばれ、参加することになったんです。これを機に、自信を持って臨める分野が1つできたことが大きかったですね。仕事に自信が付いたことで、徐々に他の仕事も任されるようになりました」
「結婚、出産という女性ならではのライフイベントはこれから」という鈴木さんは、比較的自由にできる時間も多い。この日は、「ある金曜日のスケジュール」をスライドで共有してもらった。
「朝は9時半から10時の間に出社。午前中は、担当製品『SIGNA pioneer』に関する各拠点のリーダーとのグローバルレビューを行います。その後、昼食を取りますが、月1回ペースで社内のエンジニア女子によるランチ会を行っています。午後は、コーディングやデバックなどデジタル関連の業務を行い、夕方には勉強会。現在、社内でイノベーションコンペを行っているため、勉強会の場が増えましたね。そして、早く帰れる時は19時半には退社。社内テニス部の練習や、飲みに行くなどして金曜日の夜を過ごしています」
「16人のマネジメントと3人の育児…悩んでいる暇もないから続けられる」
3人目は、リクルートキャリアの藤原さん。営業部門に所属し、16名のメンバーをまとめるチームリーダーとして活躍しながら、3人の子どもの子育ても行っている。
▲リクルートキャリア・藤原さん
「手掛けているのは人材紹介サービス。登録者の中からクライアント企業の希望に合った方をご紹介するという、営業部隊のリーダーを務めています。16名によるユニットの業績目標を持ちながら、メンバー育成、マネジメントも担当。よく『3人も子どもがいて、どうやって仕事と家庭を両立しているの?』と聞かれますが、私は時短ではなくフルタイムで働いていて、子どものお迎えや食事などは原則主人に任せています。私が帰ると、全員すでに寝てしまっていることもしばしば。静岡に住んでいる母に来てもらうことも多く、言葉は悪いですが『使えるものは使い倒す』ことで何とか毎日を過ごせています。そして、月に1回は平日にお休みをいただき、子どもとのイベントに充てるようにしています。ちなみに今日は、午前中に授業参観に行ってから、午後に出社しました。こういうフレキシブルな働き方ができるので、助かっています」
日々のスケジュールは当然ながら、過密傾向にある。アクセンチュアの植野さん同様、「子どもが起きてくる前に自分のことをやっておかないと、何もできなくなる」ことから、毎朝5時には起床しているという。
「自分の身支度を全て整えてから、朝食を作り、子どもを起こして準備をさせ、保育園に送ります。出社したら16人いるメンバーとのミーティングやアポイント同行などに追われ、自分の仕事はほとんどできませんね。早朝や、隙間の時間を最大限活用して、対応しています。…3人目が生まれた時は、さすがに仕事との両立は無理じゃないかと思ったのですが、悩む時間すら持てないのが現状(笑)。朝起きたらずっとバタバタしているので、両立方法などについて考える暇もないから続けていられるんじゃないかと思っています」
女性社員6名による、仕事やキャリア、プライベートに関するリアルボイス
第2部は、「キャリア女性のWork・Life・Future」とのテーマによるパネルディスカッション。第1部で登壇した3名に各社の20代女性社員が加わり、6名で行われた。
<プロフィール>
■アクセンチュア・michieさん
「昨年の9月に日本の貿易会社からアクセンチュアに入社しました。現在は通信・メディア・ハイテク本部でコンサルタントとして働いています。休日は2人の息子と一緒に過ごしています」
■GE・大貫さん
「アプリケーションエンジニアとして、主に発電所のお客様と仕事をしています。昨年5月まではアメリカのGEで働いており、その後日本に来ました」
■リクルートキャリア・服部さん
「今年で29歳、3年半前に中途入社しました。現在は7人のメンバーがいるチームのリーダーとして、マネジメントにも関わっています」
仕事とプライベート、多忙でもバランスよく両立するには?
「事前に計画を立てることが大事。毎日、翌日の仕事のスケジュールを主人に共有して、帰宅時間などを話し合っています。上司の理解があって仕事の融通が効きやすく、例えば水・金はお迎えに行くので早く帰る、この日は打ち合わせがなくなったので早めに帰るなど臨機応変に対応できるのが嬉しいですね。子どもが寝た後に自宅でPCを開くこともありますが、基本的には6時までに帰れることに感謝しています」(michieさん)
「子どもができるまでは、自分の中にある答えに部下がどれだけ近付けるかを見るような、どちらかというと『マイクロマネジメント』タイプでした。でも、そのやり方だと子育てと両立ができない。そこで最初に心がけたのは『部下に任せる』ことでした。任せてみると、自分が思い描いていた答え以外にもいい答えがいっぱいあって、このやり方はいいんじゃないかと思ったのですが、当たり前ですが部下にどんどんしわ寄せが行くんですね。私だけワークライフバランスが取れていてもダメで、チーム全体が楽しくいい仕事ができないと意味がないと気付きました。いろいろ考えた末にたどり着いたのが、自分がやるべきこと、成果を出さなければならないことを明確にすること。その上で、その成果への最短距離をとれるような進め方やワークプランを作り込むこと。マネジャーとして、自分のチームのミッションや出すべき成果をクリアにして、そこにフォーカスすることで無駄な作業を極力なくそうと考えたんです。チーム全体で、なすべきことをクリアにする。でも、そこに至るまでの方法は何でもいい。こう割り切ることで徐々にマネジメントが安定してきました」(植野さん)
20~30代の働く女性にとっての「将来のなりたい姿」とは?
「専門性の高いエンジニアへの成長、そして結婚・出産です。私は、自信を持って『これが私の場所だ』と言えるものを作りたいと常に思っています。それを目指すにあたっては、勉強と実務経験の両方が大切。勉強は自分の努力でできるので、進みたい方向に向けての勉強を継続していきたいと思っています」(鈴木さん)
「いろいろな国を回って、ダイバースな考えを持って最終的に日本かアメリカに戻ってこられればと思っています。その中で、一番必要なのは家族の存在。今回の、日本に戻ってくるという決断も、家族のサポートがなかったら実現できなかった。今後、どの国に行くにしても、家族を第一に考えたいですね。できれば夫や子どもだけじゃなくて、親も連れて行きたいと思っています」(大貫さん)
「前職で人事部に所属していたこともあり、人材や組織に関するコンサルティングに強みを持っています。できればこの領域の何らかのテーマで、『これは植野に聞こう』と思ってもらえるような、オピニオンリーダー的な存在になりたいと思っています。育児をするようになって感じているのですが、専門性を高めれば高めるほど、時間的な制約からは自由になれるはず。時間は短くても、自分のスキルや得意領域が差別化できていれば価値は出せる。こういう働き方で戦っていきたいと考えています」(植野さん)
「『どこでも働ける、キラキラしたお母さん』です。社内にいるたくさんの女性を思い浮かべた時に、この言葉が出てきました。私がなりたいというよりは、こういう女性があふれる社会になればと思っています。『どこでも働ける』というのは、ノマドやリモートワークを示していて、会社にとらわれずに働ける環境が今よりもっと増えればいい。そしてキラキラというのは決して見た目ではなく、中身のこと。私のような突出した専門性がない一般の人でもキラキラ輝ける社会になるといいなと。今の仕事を通して、その一助が担えればと思っています」(服部さん)
「Woman’s Career Party」を終えて
この後、6名の登壇者を囲んでの座談会が行われ、イベントは終了。座談会では、キャリアやプライベートに関する質問がどんどん飛び、積極的な意見交換がなされていた。お酒も交えての会だったためか、和気あいあいとした雰囲気が印象的だった。
▲座談会のもよう
参加者からは、「仕事・結婚・子育て・キャリア全てを両立できているように見える方でも、悩みながら進んで来られたこと、そして常にベストを尽くすことで結果的に良い方向へつなげることができるのだということを、話を伺いながら実感しました」(26歳)、「メンターとしたい女性がたくさんいらっしゃって目標になりました」(35歳)との声が寄せられたほか、「自分自身がどうなりたいのか、何をしたいのか悩んでいたので、他業種の方とお話することで少しヒントが見えた気がします」(30歳)、「他業界で働く同世代の女性と知り合えてよかった」(30歳)など、参加者同士の出会いが刺激になったとの声も。このイベントへの参加や、ここで得た出会いが、これからのキャリアを真剣に考えるきっかけになったという人も少なくないようだ。
仕事とプライベートを両立しながらキャリアを目指したい、しかし手本にしたいロールモデルがいない…と悩む女性の声をよく耳にする。自分一人で悩み、試行錯誤しても、答えは見つかりにくいもの。このようなイベントに参加して目標となる女性に出会ったり、同じ悩みを抱える参加者と意見交換をしたりすることが、現状を変えるためのヒントになるのではと感じた。
EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山 諭
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