武田教授の「東北の野菜は健康を害す」発言に一関市長が抗議のメール
原子力専門家で中部大学の武田邦彦教授は、2011年9月4日に放送された読売テレビ系列の番組「たかじんのそこまで言って委員会」で、「(東北の野菜は)健康を害す」などと発言。岩手県一関市の勝部修市長は9月7日、武田氏に抗議のメールを送った。
「たかじんのそこまで言って委員会」は政治・経済などを扱う討論番組。司会のやしきたかじん氏を始めとする出演者たちが、歯に衣着せぬ発言をすることでインターネット上でも注目されている。4日に放送の「教育スペシャル」では、子どもたちからの質問に対し出演者たちが答えるというコーナーがあった。この中で、小学4年生の男の子の「東北の野菜とか牛肉を食べたら僕らはどうなるの?」という質問に対して、武田教授は
「もちろん健康を害すから、できるだけ捨ててもらいたい」
と即答。この武田教授物言いに番組のスタジオでは笑いが起こった。武田教授はさらに、
「今(東北で野菜や牛肉などを)生産するのが間違っている。(土壌が)キレイになってから生産しないと」
と持論を展開した。これを受けて、司会の辛坊治郎氏が「大雑把な。東北と言っても、北は青森から南は福島。福島も浜通りから会津若松まであるのだから」と指摘すると、武田教授は、岩手県一関市では「放射性物質が(毎時)0.5マイクロシーベルトになった」とした上で、
「大変に悲しい現実なのだが、東北の人とか福島の人を助けるには牛肉を食べるのではなくて、別の方法を断固として政府は取らないといけない。まず国土をキレイにして、除染をしてから、取り組むという固い決意がないといけない」
「私は、農家の方とかを全力で救う必要があると思う。我々の同胞だから。救うのは僕らが被曝することじゃない。農家の方が一年休業しても大丈夫なようにちゃんとやる。これは日本国のプライドとしてやりたい」
と強調した。辛坊氏が「もう一度聞く。『東北の野菜とか牛肉を食べたら僕らはどうなるの?』」と重ねてたずねると、武田教授は「健康を壊す。我々の宝の日本の子どもの健康を壊すことは絶対にやってはいけない」と語り、会場をどよめかせた。
一関市の担当者は取材に対し、
「(武田教授は)一関の名前を挙げた上で『東北の野菜を食べたら健康を壊す。東北の野菜は捨てろ』という内容をテレビで言った。勝部市長は2011年9月6日、武田教授に対して抗議のメールを送ったが、誤ったアドレスだったので届かず、改めて7日に抗議のメールを送った」
と答えている。
◇関連サイト
・武田邦彦 (中部大学) – 武田氏のブログ
http://takedanet.com/
(山下真史)
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ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
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