島田紳助氏の引退と“アメリカデフォルト”
今回はe.wakitaさんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。
島田紳助氏の引退と“アメリカデフォルト”
芸能人の引退が、市場に関係することはないわけだが、(関心あるなしに関わらず)どこを見ても「島田紳助引退」の文字がどうしても入ってくる。
ジャクソンホールを前にして「何言ってんの?」なんて思う方もいると思うが、ただ、今回の出来事が“アメリカ”と多少なりとも関係しているとなれば、言及せざるを得なくなる。
“YAKUZA”に対する米・金融制裁
警察当局から大手芸能事務所などに、「今秋から暴力団関係者とのつながりについて、強い姿勢で挑む」といった通達が、今回、あらかじめ行き渡っていたようだ。吉本興業としてもそれに応じた形となったのだろう。
毎年のごとく、「暴力団に対し強硬姿勢で挑む」みたいなことをうたっている警察当局だが、今回は本腰をいれる可能性がある。市場関係者であれば目にした情報だと思うが、先月25日にオバマ政権が日本の“ヤクザ”を国際的な犯罪組織として名指しし、アメリカの制裁対象として発表 *1 している。
*1:「「やくざ」に制裁=薬物取引や人身売買で−米大統領」 2011年7月26日 『時事ドットコム』
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201107/2011072600027
羽賀研二氏の裁判からことを発したという今回の事件だが、言ってしまえばアメリカの制裁措置が、日本の芸能界に“玉突き”を起こした、と見ることはできる。暴力団と関係する芸能人は、今回の事件に震え上がっていることだろう、つるし上げられた島田紳助氏は、いわば“見せしめ”だ。
“ヤクザ制裁措置”は、7月25日、アメリカ国内でホルダー司法長官が発表したものだが、大統領令に署名したオバマ大統領自身が「同盟国と協調した対応を進める」と明言している。指定組織は4団体 *2 で、旧ソ連の犯罪組織、メキシコの麻薬カルテル、イタリアのマフィアなどで、日本の“YAKUZA”がそこに列挙された形になる。理由としては、アメリカ国内での麻薬事件が社会深刻化していること、その他マネーロンダリングや武器売買、といったところになる。
*2「「ヤクザ」を制裁対象に 米大統領、国際的組織犯罪への戦略発表」 2011年7月26日 『MSN産経ニュース』
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110726/amr11072610080002-n1.htm
対応の内容としては“経済制裁”。それら4団体を国際犯罪組織と位置付け、アメリカ国内における口座等の金融資産を凍結するというもの。そして、今回の事件とこのアメリカの措置が結びつく見逃せないポイントとして、この措置では「これらの犯罪組織の活動を支援している企業や個人の資産も凍結する」(NHK)としていることが挙げられる。
7月下旬のアメリカと言えば、デフォルト問題で議会が紛糾していた。いわゆる“債務引き上げ問題”だ。何が言いたいのかというと、要するに、債務が引き上げられなかった場合、国庫と歳入しか資産が残らなくなるアメリカが、予め少しでも多くの金融資産を確保しておこうとした、という話。アメリカは、国際犯罪という大義名分の下、関係各国の犯罪組織、および関連する個人からもお金を巻き上げる、といった荒業に出ていたというわけだ。
「米国債の償還を放棄せよ」、みたいなことを菅総理に突きつけてきた、なんていう物騒な情報も目にしたが、大義名分と“マネー”がリンクすれば、アメリカはそこに簡単に付け込んでくる。アメリカがそういう国であることに、誰であっても反論することは難しい。
7月下旬のこの措置発表は、日本の警察当局にも緊張感を与えたことだろう。取り締まり強化を通達された芸能事務所とて同様で、社会的影響力の強い芸能人を抱えているとすれば尚更だ。吉本興業としても苦肉の決断だったことだろう。
以上、累積債務に苦しむアメリカの問題が、あらゆるところに波及している、といった話。イージーマネーを拡大することが許されない状況の中、アメリカの“強請(ゆすり)”は高じていくかも知れない。
執筆: この記事はe.wakitaさんのブログ『ニューノーマルの理』かからご寄稿いただきました。
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