シャープの3Dスマートフォンが完成形に 『AQUOS PHONE SH-12C』製品レビュー
NTTドコモのAndroidスマートフォン『AQUOS PHONE SH-12C』製品レビューをお届けします。auでは『AQUOS PHONE IS11SH』、ソフトバンクからは『AQUOS PHONE Softbank 006SH』として発売されている同製品。シャープが取り組んできた“3Dスマートフォン”の完成形と言える製品に仕上がっています。
シャープ製スマートフォンの歴史を振り返る
『SH-12C』は、OSにAndroid 2.3を採用し、ツインカメラと3D液晶を搭載したスマートフォン。裸眼で立体視できる4.2インチのディスプレーを見ながら静止画や動画を撮影できます。
この製品の特徴を説明するには、シャープがこれまでに開発してきたスマートフォンの歴史をひもといてみるのがよいでしょう。同社が最初に発表したAndroidスマートフォンは、クラムシェル型でフルキーボードを搭載する『IS01』『LYNX SH-10B』という意表を突いた製品でしたが、その後au向けに『IS03』『IS05』とベーシックなタッチパネル式スマートフォンを提供し、ドコモ向けの『LYNX 3D SH-03C』、ソフトバンク向けの『GALAPAGOS 003SH』で3Dディスプレーを搭載した端末を提供します。
ここでシャープは充実したスペックや最新OSを搭載したグローバルモデルのスマートフォンに対して、『おサイフケータイ』、ワンセグ、赤外線というガラパゴス機能に加え3D機能をフィーチャーして勝負していくという戦略を打ち出しました。スライド式キーボードを搭載したソフトバンク向け『GALAPAGOS 005SH』、au向け『IS11SH』にもこの戦略は引き継がれ、いずれも3Dディスプレーを搭載しています。
ただし、これら3Dディスプレーを搭載したスマートフォンは3Dコンテンツを裸眼で楽しめるものの、撮影の機能ではカメラをスライドさせて擬似的に3D写真を撮影する機能にとどまりました。2011年夏モデルで登場した『AQUOS PHONE SH-12C』、『AQUOS PHONE IS12SH』、『AQUOS PHONE 006SH』では、ツインカメラの搭載により3Dの静止画と動画を撮影可能になり、シャープの3Dスマートフォンの完成形といえる端末になっています。
あらゆる面で3Dをフィーチャー
本体で目を引くのは、やはり3D機能の要であるツインカメラ。ゴロっとした本体にふたつの目が飛び出し、迫力ある印象を持たせています。
スマートフォン全般に言えることですが、撮影時には指がレンズにかからないように注意が必要です。ツインカメラの場合、指がかかっていてももう一方のレンズからの映像が写っているので、気づかないで撮影してしまう場合もあるかもしれません。
3Dディスプレーは写真で伝えづらいのが残念ですが、ふたつのカメラで撮影した映像を重ねて表示していることはお分かりいただけると思います。特に動画を撮影してみると、目の前の被写体がディスプレーの中で浮き上がって見えるという現象がそのまま記録され、新しいユーザー体験をスマートフォンにもたらしていることを実感。
3D体験は、カメラだけのものではありません。ホーム画面で「3D」のボタンをタップすると、アイコンが手前に浮き上がる3Dホーム画面に切り替えることができます。
3Dホーム画面に切り替えていなくても、本体を横持ちにすると3D効果のある映像に、カメラ、ビデオカメラ、3D画像のピクチャービューワー、『YouTube』、ワンセグなどのメニューアイコンが飛び出す3Dメニュー画面に自動で切り替わります。『YouTube』の3D映像にも対応しているので、3Dを楽しむためのメニューをピックアップしている構成。ワンセグは3Dとは無関係ですが……。
自分で撮影する3Dコンテンツだけでなく、3D映像や3Dゲームなど、3Dならではのコンテンツも楽しみたいところ。『SH-12C』ではバンダイナムコゲームスの『塊魂モバイル』を無料でダウンロードできるほか、シャープ製スマートフォン向け情報サイト『GALAPAGOS SQUARE』で、3Dゲームアプリを紹介しています。3Dコンテンツのコンテストも開催するなど、3Dコンテンツの充実を図っている同社ですが、今後コンテンツを継続的に拡充できるかどうかが、3Dスマートフォン普及のカギを握っていると言ってよいでしょう。
国産では最高水準のスペック
CPUは1.4GHzの『Snapdraon』のMSM8255T(『IS11SH』はMSM8655T)を搭載し、4.2インチディスプレーは960×540ドットのQHD、インカメラも搭載し、テザリングにも対応など、国産端末では最高水準のハードウェアスペック。液晶テレビ『AQUOS』と連携して、フリック操作で画像や動画、音楽をテレビに転送する機能も利用できます。3D機能に魅力を感じる方、ガラパゴス機能が必要で、ハードウェアスペックを重視する方にはオススメの端末といえるでしょう。
あくまでウワサですが、秋以降のドコモ向けスマートフォンは1280×720ドットのHDディスプレー、LTE対応などの方向で進化した端末になりそう。シャープの3Dスマートフォンも、HDディスプレー搭載モデルの投入がウワサされています。ディスプレー解像度にこだわりがなければ、現時点で『SH-12C』を選んでも十分に満足できるのではないでしょうか。
『AQUOS PHONE SH-12C』主な仕様
サイズ:約W64×D127×H11.9(再厚部約13.8)mm
重量:約138g
連続待ち受け時間:約430時間(3G)/約300時間(GSM)
連続通話時間:約280分(3G)/約310分(GSM)
ディスプレー:約4.2インチ クォーターHD(540×960) NEWモバイルASV液晶 26万2144色
カメラ:CMOS 有効画素数 約800万画素
インカメラ:CMOS 有効画素数 約32万画素
外部メモリー:microSD(2GB)、microSDHC(32GB)
Bluetooth:対応
FOMAハイスピード(HSDPA/HSUPA)14Mbps/5.7Mbps
無線LAN:対応
おサイフケータイ:対応
赤外線通信:対応
ワンセグ:対応
防水:非対応
テザリング:対応
カラー:WHITE、BLACK
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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