空き家に補助金や助成金!事業者には朗報でも個人所有者は…?
東京都が空き家活用に補助金を支給すると発表
仕事で都内から神奈川地域を実際に歩き回ることが多々あり、実際に各地の空き家事情が深刻である現実を目の当たりにしています。家は人が住まなくなると一気に老朽化してしまいます。この事態を受け、東京都は空き家を職員宿舎として活用する介護事業者や、児童養護施設を出た子どもに空き家を貸す所有者らに補助金を支給すると発表しました。
実際に空き家を活用するには、リフォーム・改築を行いますが、補助金を受けるには一級建築による建物診断を行った上で予算を決め、どこまでリフォーム・改築すれば補助金が受けられるのかを判断する必要があります。これには、建築士・工務店の協力が不可欠です。さらに、建築士や工務店に依頼しても、必ず受理されて補助金などが受けられるかは確実とは言えません。この費用・手間を省くためには、無料または安価で建物診断や方向性を支援してくれる、自治体・役所の活用をお勧めします。
事前に自治体や役所への確認が必要
無事に補助金などが使える程度の増改築をした場合、これに伴って各税制(例えば、固定資産税の減税が受けられる等)に関しても同様に手続きが必要です。国税か地方税かによって問い合わせ場所は異なりますが、情報要件を調べて確認した上で申告したものだけが恩恵を受けることができます。この一連の流れを正式に行うことが、助成金・補助金・優遇措置・減税等を受けるということを意味します。
これらの補助金の予算は年度毎に決められ、予算を使い切ったら終了となる場合や、要件を満たせば予算関係なく使えるものもあるので、自治体・役所で確認しておきましょう。
空き家の実態
空き家に関する補助金、助成金は今後も増えてくるかもしれませんが、国の思惑が奏功するかはまた別問題です。筆者の個人的な経験談になりますが、所有者が亡くなり、空き家となってしまった東京都内の戸建について相談を受けたことがあります。子どもは独立して各地で家庭を築いていたため、売却にあたり査定の依頼をされました。物件概要は下記の通りです。
・都内で人口が集中する大規模な駅から徒歩15分
・次世代が居住するには、かなりのリフォーム修繕が必須
・商業地域ではあるが、戸建が多い
・隣地角地にある店舗への売却は困難
・建替えには制限があり、再建築には狭小住宅となり住宅ローンの審査も厳しい。
・敷地権である
以上の条件から、任意売却しても思うほどの値が付かず、また両親の思い出がある家を安値で売却するには気が重いとの意向もありました。リフォームして賃貸に出すには費用負担が大きく、居住用としてリフォームし、各助成金を受けるにはさらに改修費用がかかると予想されました。このため、諸事情や財産分与を勘案して固定資産税を兄弟で負担し、価格が高騰した際に売却という、現状維持という結果を出しました。このように、空き家には個人の諸事情があり、国の政策と結びつけることは難しいでしょう。
空き家問題の大きな要因はほかにもある
現在、住宅ローン金利が低くなったとしても会社員の年収が下降傾向の中、中古戸建・マンションが欲しくても手が出る価格ではありません。そして、住宅の活性化を目的として金利を下げたとしても、所有者には当時の購入価格よりも売却額を下げたくないという心理が働きます。このことも、空き家問題の大きな要因となっている現実があります。
事業者が活用する場合、国の助成金を受けて運用していきます。助成金を受けない場合は、よほどの需要が見込めない限り開発は起こり得ません。また、開発には一定の土地の広さが必要です。不動産には地域事情・個別事情・土地の広さによって活用方法が存在しますが、何よりも所有者がどのように活用していきたいのか。ここから、さまざまな解決策を見出すことができることでしょう。
(二階堂 敬子/ファイナンシャルプランナー)
関連記事リンク(外部サイト)
憧れの「田舎暮らし」で後悔しないために
女性限定は逆に危ない?女性の部屋探しの10か条
結論は圧勝!「賃貸VS持ち家」論争の終着点
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。