あなたも当てはまってない? “天職難民”に共通する7つの特徴

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働く人なら誰しも自分にぴったりと合う職業、“天職”と出会いたいもの。しかし世の中にはそんな天職を見つけられる人がいる一方で、ずっと自分の天職を探り続けながら年を重ねてしまう“天職難民”も多くいます。

そこで今回は、「天職とは、得意なやり方でできて、かつ、心が喜ぶ仕事のこと」と語る天職コンサルタントの梅田幸子さんに、天職難民に共通する特徴と、天職を見つけるための方法について伺います。

天職がなかなか見つからない人に共通する7つの特徴

梅田さんによれば、天職難民には主に7つの共通する特徴があるそうです。

1. 「消費者としての好き」と「仕事としての好き」を混同している

テレビが好きだからテレビ局や制作会社、スポーツが好きだからスポーツメーカー、珈琲が好きだからカフェオーナーなど、よく好きなこと・ものと仕事を直接的に結びつけて天職と考えがちですが、好きなことに関わる仕事が必ずしも天職になるとは限らないと梅田さんは言います。

「テレビを見るのが好きであることと、企画・構成・リサーチ・キャスティング・シナリオ作成・備品やお弁当の手配・取材撮影交渉・撮影・編集といったテレビ番組制作の業務は、まったくの別物。消費者としての好きと、仕事としての天職は異なるので、そこを混同すると仕事が務まらないのです」

2.「知識」は多いが、「体験」が少ない

「天職がなかなか見つからない人には、『真面目で勉強熱心』という特徴がある」と梅田さん。しかし、頭で学ぶこととそれを実際に行動に移すことの間には、大きな違いがあるのだそうです。

「本を読んだり、ネット情報を収集したり、スクールやセミナーに通ったりと学びに対して真剣に取り組みますが、行動に移さないため、『わかった』と『できる』の溝を埋めることができません。また、体験量が少ないということは、好きか・嫌いかを判断する材料が少ないということです。そのため、『したいことがわからない』状態に陥るのです」

3.損か得かを判断基準にしている

「有利な資格」「ニーズが高まる業界」のように、目先の損得で学びや仕事を選ぶことは、「天職難民まっしぐら」だと梅田さんは言います。

「いくら有利な資格を持っていても、業界のニーズが高まっていても、適性がなければ天職にはなりません。 また、最近は就職先を『成長できそう』という理由で選んだり、『成長できない』という理由で勤め先を退職したりする人が増えています。上司やお客様から頼まれた業務を『成長できそうにない』と断る人の話もよく聞くようになりました。

そのような基準で仕事を選んでいると、表面的な知識やスキルしか身につきません。実際に取り組みながら、自分らしさを活かした仕事のやり方を磨いていないと、天職だと思える仕事と巡り合ったときに、力不足を感じる原因となってしまいます」

4.苦手の克服に時間を費やしすぎている

「苦手なことは、いくら頑張っても『それなり』にしかなりません。しかも、それが好きでなおかつ得意な人と比べると、スキルを習得するまでに何倍もの時間がかかります。苦手克服に時間を費やしていると、好きなことに取り組む時間がなくなってしまうので、なかなか才能を磨いて、得意な状態にまで伸ばすことができないのです」

また、梅田さんによると、嫌いなことを我慢しながら頑張っていると、自ずとストレスを最小限にしようと防御機能が働き、感情にフィルターがかかってしまうのだそうです。

ストレスや嫌だという気持ち、辛さを感じにくくなる代わりに、喜びや楽しさ、好きな気持ち、幸福感も感じにくくなってしまっては、自分のしたいことがわからなくなるのも当然ですね。

5.「もったいないから」と無理に過去を活かそうとする

仕事を選ぶときに「大学院まで行って建築の勉強をしたのに、他の仕事をするのはもったいない」「大企業を辞めるなんてもったいない」「成果を上げて周囲に認められているのに、この立場を捨てるのはもったいない」「勉強したんだから、知識を活かさないともったいない」と考えてしまってはいないでしょうか。

しかし、このように “過去のリソースを活かす”ことを軸に未来を描くのは、天職難民の特徴なのだそうです。

「過去のリソースを無理に活かそうとするのは、嫌いなデザインの洋服やサイズの合わない洋服を無理やり着たりするのと同じことです。

天職だと思う仕事に、これまでの知識や経験が役に立たないと思っても、巡り巡って必ず生きる時がくるものなので、無理やり活かそうとする必要はありません。逆に、したいことをするためにリソースが足りなければ、今から身につければいいのです」

6.常識にとらわれすぎる

「世間の常識」だと思っていることも、実は、人によって大きな違いがあるのだそうです。

「天職難民は、人よりも『常識』の縛りがきついため、身動きが取れず、可能性を限りなく小さくしてしまっています。 多くの方とお会いしていると、『常識はずれだから』と自分を律していることが、他人にとっては常識の範囲内だったというケースにしょっちゅう出会います。このように『常識』とは、あるようでない、あやふやなものなのです」

アインシュタインは、「常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことを言う」という言葉を残しているのだとか。天職を見つけるには、自分が「常識」だと思っていることを疑ってみる必要がありそうです。

7.「これは、天職ではない」というサインに気づかない

天職に気づくきっかけ、天職に近づいていくヒントは、さまざまな形で現れます。それは、「苦しみ」という形でやってくることもあるそうです。

「ひとつ課題をクリアしたら、通常は、次の課題がきます。しかし、中には、何度乗り越えても同じような課題に直面することがあります。そんなときは、要注意。それは、『ここは、あなたがいる場所ではありませんよ』というサインかもしれません。天職難民は、このサインに気づかず、ずっとその場にとどまっています。

もちろん、目の前に立ちはだかる壁を乗り越えるチャレンジも素晴らしいです。しかし、その壁に背を向けて後ろを向いたら、そこに求めていた景色が広がっていることもあるということも、知っておいてください」

天職は「心が喜ぶ」かつ「得意」なことのなかにある

「天職とは、得意な“やり方”でできて、かつ、心が喜ぶ仕事のこと」と梅田さんは言います。

下のマトリクスでは、右上の「心が喜ぶ」×「得意」ゾーンの仕事です。

図:天職のマトリクス

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(「天職のマトリクス」『あなたの天職がわかる最強の自己分析』梅田幸子著、中経出版、15頁 を元に作成)

「右上の『心が喜ぶ』×『得意』のゾーンは、自分らしく得意な“やり方”なので無理がなく、結果が出やすいです。大きな喜びが得られるので、多少大変なことがあっても、がんばることができます。また、得意な上に楽しいので、成長も早く、まわりの人から感謝されることが増え、ますます仕事がおもしろくなります。

さらに、『心が喜ぶ』×『得意』ゾーンのことをしていると、不思議と応援してくれる人が集まってきますし、経済的にも安定するのです」

天職を見つけるための4つの方法

では、どうしたら「心が喜ぶ」×「得意」ゾーンの仕事を見つけられるのでしょうか。梅田さんによれば、4つの方法を実践することが大切だと言います。

◎好きな「理由」を考える

心が喜ぶ仕事を見つけるには、好きなこと、夢中になって取り組んでしまうこと、心穏やかでいられることの「理由」を考えるのが、コツなのだそうです。

「例えば『サッカーが好き』という人たちに、その理由を聞いてみると、『一瞬、一瞬の自分の判断が試合をつくること』『メンバーの実力や個性にあわせて、練習メニューや作戦を立てること』『新しい技術を繰り返し練習して覚えること』『チームメイトと真剣に話しあって、チームがひとつになること』など、人によってさまざまであることがわかります。

“好きなことの理由”こそが、喜びの源泉。それを満たすことが、天職の条件です。 つまり、サッカーとは関係ない仕事でも、『自分で判断できる仕事』『メンバーの実力や個性にあわせてマネジメントする仕事』など、サッカーを好む理由と同じ満足感を得られる仕事なら、サッカーと同じように心が喜び、夢中になれるのです」

◎目の前のことに全力で取り組む

「今仕事をしている人は、まずは目の前の仕事に精一杯取り組みましょう。成長は、夢中になって何かに取り組んだときや、『なんとか達成したい・実現したい』と創意工夫したときに、自然とするものです」

また、「効率化したい」「ミスを減らし正確性を高めたい」「どうしたら感じよくできるだろう」「美しく完成させたい」など、目の前の仕事に対して自然にしてしまう工夫は、その人の“得意なやり方”のひとつだそうです。

目の前のことに全力で取り組むことで、成長するだけでなく、天職の片鱗を見つけることができると、梅田さんは言います。

◎苦手なことを手放す勇気を持つ

一方で、一度は全力で取り組んでみて、それでも苦手であったりするのであれば、無理に固執せずに手放す覚悟も必要なのだそうです。

「したくないことや、苦手なことは、他人の出番。世の中にはあなたがしたくないことを『したい!』と思う人もいます。あなたが苦手なことが得意で、サクッとこなす人がいます。したくないこと、苦手なことは、人に任せましょう。

そうやって、あなたがその仕事を手放すことで、他人の天職をひとつ実現することができます。苦手なことを手放すことで空いた時間や心の余裕をつかって、『心が喜ぶ×得意』なことに取り組みましょう」

◎失敗することを恐れない

「小さな失敗をたくさん経験しましょう。例えば、いくら才能があっても、本を読んだだけではスキーが滑れるようにはなりません。何度も転んではじめて上達します。いろんなコースに出て、うまくいかない経験をするから、自分にとってどんなコースが快適か、どんな雪が合うかが見えてきます。

このように、『次どうしたら良いか』という実践的なアイデアは、失敗を経験することで生まれるのです」

失敗するからこそ、向いていないこと、嫌いなこと、自分にとってのストレスが何かに気づき、方向修正ができるというもの。早いうちにたくさんの失敗の経験を積むことが、天職への近道なのだと梅田さんは言います。

まとめ

ストレスや苦手を手放し、「心が喜ぶ×得意」を見つけることで巡り合える天職。まずは自分の「好き」と向き合って、それを好きである理由を考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

取材協力:梅田幸子

2005年からキャリアコンサルタント/採用育成コンサルタントとして活動中。東証第一部上場企業からベンチャー企業まで3社にて、採用・研修を中心に人事業務を経験。現在は、就職・転職コンサルティングやキャリア講座の講師をしながら、複数の企業で、面接や研修をおこなっている。応募者、企業双方の視点を踏まえたコンサルティングに定評がある。『だから内定をのがす! もったいないカン違い45』(日本経済新聞出版社)、『あなたの天職がわかる 最強の自己分析』(中経出版)など著書多数。

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