“氷上の王子様”を追って……フィギュアスケートオタクの実態とは
フィギュアスケートオタク、略して”スケオタ”と呼ばれる人々のことをご存知でしょうか? チケット代はもちろんのこと、決して安くはない宿泊費・交通費をものともせず、観戦のために国内はもとより、海外まで追いかける熱狂的なスケートファンの人々。そんな”スケオタ”の日常を描くのが、漫画家・グレゴリ青山さんのコミックエッセイ『スケオタデイズ 戦慄のフィギュア底なし沼』。
「まさか自分がこんなにフィギュアスケート観戦に夢中になり、フィギュアスケート漫画を描き、しかもそれを一冊の本にしてしまうなどとは思ってもいませんでした」(同書より)
“スケート観戦は、TV観戦で充分”と思っていたグレゴリ青山さんですが、2012年にTVで、当時17歳の羽生結弦選手の演技を目にした日を境に一変したといいます。その演技が世界選手権でのフリー「ロミオとジュリエット」。それからというもの、フィギュアスケートの魅力に開眼し、同選手の写真集『蒼い炎』も購入するなど、一気にスケオタ街道を突っ走ることになったのだとか。
初めてのナマ観戦で、”氷の底なし沼”に堕ちた日のことを、同書では以下のように描写しています。
「実生活ではありえない服と動きで 幻影を演じる彼らは氷の上にだけ存在する束の間の王子様…(中略)こんな別世界がこのアイスリンク以外にあるだろうか――?」(同書より)
また、同書では、著者が出会った愉快なスケオタ仲間の実態が描かれているのも見逃せません。応援する選手がオリンピックに出られるように断酒までして願掛けしているK子さんをはじめ、贔屓する選手の国の国旗持参で観戦するいとうさんなど、彼女達スケオタの”業の深さ”が伝わってきます。
他にも同作で紹介されているのがスケオタ茶会での出来事。お茶菓子として出された”モロゾフのチョコレート”を目にした瞬間、同名の有名コーチを想起し、全員のスケオタスイッチが入った結果、周囲をドン引きさせるほど盛り上がってしまったことなど、大爆笑間違いなしのエピソードが満載。
氷の底なし沼に堕ちた人々をユーモアたっぷりに描写した同書は、スケオタの方々はもちろんですが、フィギュアスケートビギナーでも充分楽しめるコミックエッセイといえそうです。
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