民主党はどこがダメなのか? 田原、佐々木、東、勝間氏が指摘する問題点とは
経済評論家の勝間和代氏とゲストの対談番組、BSジャパン「勝間和代#デキビジ」。第64回~65回の放送では、ジャーナリストの田原総一朗氏、佐々木俊尚氏と、作家の東浩紀氏の3人が登場し、日本を代表する文化人4人で東日本大震災を中心に日本の抱える問題を議論する。2011年7月30日のニコニコ生放送では、その収録の模様を生中継した。
番組序盤に佐々木氏は、
「(日本は)メディアをはじめ、いまだに勧善懲悪物語みたいなものがある。官僚、大企業、政治家は叩いていい。その一方に無辜(むこ)の庶民という市民幻想があって、その立ち位置にいる限りは何を叩いてもいいという構図から抜け出せていない」
と問題提起する。司会の勝間氏も賛同して、「『民(たみ)』と『主(あるじ)』の民主主義からの脱却が必要」と後を継ぐ。
「『主』がダメになったら変えればいいという発想で今までやって来たが、このままだと何も変わらないのではないか。菅さんが悪いと大合唱してもしょうがなくて、一体どうすればいいのかというビジョンがないままに皆が混乱しているという印象がある」
逆に田原氏は”あえて言う”と前置きし、「『民』はいつでも、どこでも同じようなもの。主体的に国のことを考えないといけないという人と、仕事があればいいという人は常にいる」として、「民と主」の関係からは抜け出せないのではないかという見方を示す。その上で、「菅さんに一番抜けているのは、『主』の意識だ」と述べ、
「菅さんはいまだに『民』の意識なの。民主党は誰も『主』の意識を持っていない。つまり、責任を持っていない」
と民主党政権を分析。弱者として権力を批判する市民運動の延長、市民意識から抜け出せていないことを問題視した。
■民主党は「愚民思想」を持っている?
そんな「主」の意識のない政府が、東日本大震災のときにとった対応はどう評価できるのだろうか。東氏は、
「政府は人の『安心』も含めてコントロールしないといけない。放射能にしてもいろいろな説があり、どれを信じるかはコントロールできない。だから、すごく不安に思う人たちの存在を前提にして対策を立てるべきだった」
と語る。
科学的なデータによって「安全」はある程度保証できるが、「安心」には感情が関わってくる。東氏によれば、震災当初、政府の発表するデータは比較的信頼されていたという。しかし、情報発表の遅れや隠ぺいが明らかになるにつれ、不手際の目立つ政府や原発を推し進めてきた科学者、マスコミへの不信感が増し、「安心」が得られにくくなってしまった。そのため、多くの個人がガイガーカウンターを買い求め、各々で放射線量を測定する状況が生まれている。
これを受けて、田原氏は、
「政府がまったく間違っているのは、枝野官房長官の言葉で言うと、『推測を交えて話すと国民の不安を煽る。政府は国民の不安を煽ってはいけない。だから、推測はしないんだ』と、情報開示と逆に向かっていること」
と述べた。
勝間氏はこうした政府の態度を「愚民なんですね、発想がすべて」と切り捨て、後を継いだ佐々木氏は、
「『民』を馬鹿にしている愚民思想の『エリート(主)』と、とにかくエリートを『あいつら権力者だ』と批判している『民』の、二極構造の中で日本は運営されてきた」
と、最初の問題に立ち戻るのだが、ここまでの話からすると、どうやら民主党政権は「主」の意識が足りない一方で、「愚民思想」は持っていると言えそうだ。自民党政権崩壊後の「過渡期」ともとらえられるが、このバランスの悪さにも不信の根はないだろうか。
(野吟りん)
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 佐々木氏の「勧善懲悪物語」発言から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv57908066?po=news&ref=news#18:20
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