太陽光発電、冬は発電量が減る?

太陽光発電、冬は発電量が減る?

「冬って寒かったり雪が降ったりするけど、発電量は減るの?」。太陽光発電を自宅の屋根に載せてみたい……と思っている人にとって、これはとっても気になるテーマです。実際、自然を相手にする発電だけに、やはり季節によって発電量が大きく変わってくるのも事実です。そこで、実際に筆者の自宅の屋根の発電状況を例に紹介してみたいと思います。
発電量の基本は日照量との関係

太陽光発電は太陽からの光をソーラーパネル=太陽電池が受け、それを元に発電する仕組みとなっています。そのため、日中に発電し、夜はまったく発電しないわけですが、その状況は時間ごとの発電量のグラフを見ると一目瞭然。

【図1】緑の棒グラフが発電量を表す(エコめがねスクリーンショット)

【図1】緑の棒グラフが発電量を表す(エコめがねスクリーンショット)

【図2】図1と同じ日を「売った電気代」「買った電気代」でみたグラフ(エコめがねスクリーンショット)

【図2】図1と同じ日を「売った電気代」「買った電気代」でみたグラフ(エコめがねスクリーンショット)

図1は今年の5月のよく晴れた日の発電量の推移を示したものです。エコめがねというモニターシステムを用いて測定しているのですが、発電量を表すのが緑、オレンジと赤を合計したのが使用した電力量です。朝からだんだん発電量が増えていき、11時にピークを迎えて16時に発電を終えているのが分かると思います。

kWhという単位で示していると分かりにくいので、同じ日のデータを売った電気代と買った電気代という形で見せたのが図2です。この日売った電気代は640円、買った電気代は166円、差額はプラス474円でした。これは晴れた日のパターンですが、翌日は天気が崩れたので、緑の棒グラフの動きがだいぶ違います。

【図3】図2の翌日、雨の日のグラフ。緑の棒の動きが異なります(エコめがねスクリーンショット)

【図3】図2の翌日、雨の日のグラフ。緑の棒の動きが異なります(エコめがねスクリーンショット)

そもそも、曇りのち雨だったため、ピークは朝8時で、そのピーク時の発電量も前日より大きく減っていますから、収支も落ち込み、売った電気代140円、買った電気代173円で、差額はマイナス33円でした。日照量だけでなく温度も関係する

では、この電気代収支を月別に見るとどうなるでしょうか? 2013年と2014年のデータを示したのが図4と図5です。年によって、気候は結構違うので、グラフにも違いが出ていますが、傾向としては春夏にいっぱい発電し、冬は少なくなることが分かります。

【図4】2013年の月別グラフ。5月が一番多く発電し、10月が一番少ない(エコめがねスクリーンショット)

【図4】2013年の月別グラフ。5月が一番多く発電し、10月が一番少ない(エコめがねスクリーンショット)

【図5】2014年の月別グラフ。こちらも5月が一番多く発電しているが、この年一番少ないのは雪が降った2月(エコめがねスクリーンショット)

【図5】2014年の月別グラフ。こちらも5月が一番多く発電しているが、この年一番少ないのは雪が降った2月(エコめがねスクリーンショット)

日の出時間と日の入り時間だけで考えれば夏至がある6月が最大で、冬至がある12月が最小となるはずですが、そうでもありません。これは天気(日照量)との関係であって、夏至のある6月は梅雨にあたるため日照時間が少なくなり、筆者の住んでいる横浜では12月や1月は晴れの日が多いので、比較的日照時間としては増えるからです。

さらにもう一つの意外な要因が温度です。住宅の屋根に設置する太陽電池の多くはシリコン太陽電池と呼ばれる種類なのですが、シリコンは高温に弱く、低温に強いという特性があるのです。そのため、屋根の温度が60度、70度となる夏の晴れた日は思ったほど発電せず、真冬の晴れた日なら効率よく発電してくれるため、比較的、年間を通じてバランスが取れるようになっているのです。それでも、日照時間の方が影響力が高いため、一番多い月と少ない月で2倍ほどの差が出ます。雪は太陽光発電にとっての大敵

さて、この気候と太陽光発電の関係において、もうひとつ重要なポイントがあります。それは雪が太陽光発電にとって大きな問題になる、という点です。先ほどの【図3】の雨の日のグラフを見ても分かる通り、晴れていない日でも、少ないながら発電はしてくれます。ところが、ソーラーパネルの上に雪が積もってしまうと、まったく光が入ってこなくなってしまうため、発電量はまったくなくなってしまうのです。しかも、翌日晴れたとしても、雪が積もったままでは、その晴れの日すら無駄になってしまうのです。

2014年2月に横浜では4日、10日、14日、15日と雪が降ったのですが、その月の状況を表したのが図6です。雪の日は見事に売電量がゼロになっているのがハッキリと分かると思います。

【図6】2014年2月のグラフ。雪が降った日は全く発電していない(エコめがねスクリーンショット)

【図6】2014年2月のグラフ。雪が降った日は全く発電していない(エコめがねスクリーンショット)

では、雪の多い地方と比較すると、どのくらいの違いがあるものなのでしょうか? シャープが地域ごとの発電シミュレーションができるWebサイトを公開しているので、それで横浜と新潟県長岡市で比較してみました。その結果、やはり冬場の発電量に違いが出て、年間では16%程度の差が出ました。この差をどう捉えるかが導入の指針の一つになるかもしれませんね。

【図7】上が神奈川県横浜市、下が新潟県長岡市の年間発電量のシミュレーション。雪が降る冬場の発電量に大きく差がでます(SHARP/発電量シミュレーション スクリーンショット)

【図7】上が神奈川県横浜市、下が新潟県長岡市の年間発電量のシミュレーション。雪が降る冬場の発電量に大きく差がでます(SHARP/発電量シミュレーション スクリーンショット)

このように、時間・日・月によって発電量に差がある太陽光発電。やはり冬の発電量は下がりますが、そのことを分かって付き合えばいいのです。その発電量によって一喜一憂するのではなく、トータルでとらえることでエコで楽しいソーラー生活が送れると思います。●参考
・SHARP/発電量シミュレーション
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/12/25/103402/

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