大嫌いな通勤が、好きになる!大儀見浩介に訊く最新のメンタルコントロール術
皆さん、通勤は好きですか?ボクはキライです!
こんにちは、今回からリクナビNEXTジャーナルさんで執筆させていただきますサワヤマ(写真右)と申します。普段はスポーツ関係の仕事をやっております。今回、中の人のご厚意で執筆のチャンスを頂戴しました。今流行りのフレーズに載せて、次回から「安心してください。もう要りませんよ」って言われないよう頑張らせていただきます。
さて。ボクは実は、通勤が大の苦手……身長184センチあるんで人との接触は嫌いじゃないんですけど、決まった時間に決まった電車にすし詰めになって決まった場所に行く、という行為がどうにも苦手……ほとんど「通勤したくないから」フリーランスやってるようなダメ人間なんです。
が。世の中の大多数の方々は通勤をしておられると思います。そういう方々がしっかり稼いで会社を回しているから、ボクのようなダメ人間にお仕事が回ってきます。
ぜひ、そのまま通勤してください。
でも。せっかくなら、通勤を楽しめたほうがいいと思いません?ボクはしませんけど。で、世の中にはいうても「通勤が苦痛だ」という人はいる気がします。それも、結構な数で。
仮に、仮にですよ。ボクのような通勤ヘイターが、心の持ちよう、メンタルコントロール次第で「うっわwwwwやべえwwww 通勤楽しいwwww デュフwww」みたいなテンションになったなら??これは大げさな話でもなんでもなく、
日本のGDPが上がってしまう
…かもしれません。通勤が嫌いで朝からイマイチやる気が起きない人が起きるようになり、ボクのような通勤ヘイターでも「あっ……ちょっと、いいかも」程度の淡い通勤ラヴを抱いたなら、きっと日本経済は上向くはずです。
つまり、きょうのインタビューには日本経済の将来がかかっています。ただ、残念ながらボクにはその重責を背負う能力も責任感もございません。
そこで今回は、(株)メンタリスタ代表取締役、メンタルトレーニングコーチの大儀見浩介さん(写真左)にお話を伺いました。数多くの講演をこなす傍ら、帝京平成大学講師、ブラインドサッカー日本代表メンタルトレーニングコーチを務める大儀見さん、見てのとおり一分のスキもないイケメンです。今回は、「通勤を好きになる方法」について、イケメンの大儀見さんにインタビューしてます。ぜひご一読ください。
誰でも通勤を好きになれる
――大儀見さん!ボク、通勤が苦手なんですよぉ。。。どうやったら通勤を好きになれますかね?
大儀見浩介:大丈夫です。基本的に、心は誰でもトレーニングすることで強くできます。心をコントロールする技術さえ身につけば、通勤だって楽しくなります。そういう方向に持っていくことは可能なんです。
やる気というのは、大きく分けて2つ挙げられます。1つは、『内発的なやる気』。好きだから、面白いから、楽しいから、より良くなりたい、うまくなりたい、ワクワク感……そういう内面から湧き出てくるものを『内発的なやる気』といいます。
それに対して、『外発的なやる気」があります。これは、自分で決められない状態です。外からの刺激によってやらされている、言われたからやっている、そういうやる気です。過去数十年間、この2つのやる気は別々のものと考えられてきましたが、最近の理論によって必ずしもそうではない、初めは外発的でも構わないと言われるようになりました。
――そうなんですか?「やらされる」のではダメだと思ってました……
大儀見:誰しも最初は「仕方ないけどやろう」といった気持ちがあるものです。しかし、「一応やろうか」「行こうか」「どんどん行こうか」「やってやろう!」という感じに、ポジティブに育てていくことができる。これを『自己決定理論』と言い、自ら進んでやる気持ちを起こすことを『内在化』と呼びます。この、内在化を起こしていき、自分の決定や選択、気づきや発見を増やすことで、内発的なやる気は高まっていきます。
例えば、サワヤマさんが学校の教室を掃除するとします。最初は、先生に言われて渋々やるかもしれない。だけど、やっていくうちに「ホウキはこう使えばうまく掃けるな」「キミはあっちの端から掃いて、ボクはこっちからやる」と、徐々に工夫していく。選択したり気づいたり決定したりすることが増えることで、徐々に内在化が起きていくんです。
――なるほど!そういや、確かに掃除は嫌いなんですけど、散らかってるのはもっと嫌いなんで、イヤイヤながら工夫してたら楽しくなった覚えがあります。
大儀見:通勤なら「行きたくない、めんどくさい」と思っているときは、自分で決められないことが多すぎる状態です。決まった時間、決まった電車、立たなきゃいけない場所……自由がきかないことが多すぎ、「めんどくさい」と思ってしまう。
だから、例えば人の観察をしてみましょう。「あれ、この車両にいるいつもの人がいないな」とか。あるいは「中吊り広告はこんなのだったのか」「ニュースを見る時間にしようか」「昨日ダウンロードした映画を見よう」「音楽を聴こう」……何でもいいんです。とにかく、自分が決定できることを増やす。これが大切です。
――なるほど、決められないことが多いからストレスを感じる。だから、決める要素を増やしていくってことですね!
大儀見:そうです。『セルフコントロール』という言葉がありますよね?まさに自分の心をコントロールする行為です。その古典的概念は、実は「我慢すること」なんですよ。ストレスに対して、どのように対処していくのか。一番シンプルなのは、気を逸らすこと。15分間満員電車にすしづめで、窮屈だな、蒸し暑いな、圧迫されるなというネガティブな感情を選択するのではなく、「こんなニュースあったのか」「この本面白いな」「昨日はこんな楽しいことがあったな」というポジティブな情報を拾っていく。
よく、私は「メンタルの強い人ってどういう人なんですか?」という質問を受けます。私は「『心理的柔軟性』を持っている人が、メンタルの強い人」という言葉を使います。闘争心や高いモチベーションだけでなく、置かれた状況や境遇を寛容に受け止め、できることを行動していく。それが、メンタルの強さです。
――ボクはめったに満員電車には乗りませんが、どうしても乗らなきゃいけないときはガタイを活かして身体をねじ込みます。で、当たり前ですが、負けちゃいます。踏ん張っちゃダメなんですね。
大儀見:戦わないことです。周りに流されていいんですよ。柳が風に揺れるように、柔軟に、受け入れ、リラックスすること。『気逸らし』から始めて、柔軟に受け止めていくことです。
『カクテルパーティ効果』という言葉があります。パーティでガヤガヤ音が鳴ってても、自分の興味がある情報が耳に入ると、ピンと反応したりする。人がたくさんいても、自分の名前が呼ばれたら「え、なに?」って思った経験はありませんか?これが『カクテルパーティ効果』です。
例えば本屋さんでも、この効果が起こっています。何千冊の中から、自分の興味のある、ピンとくる情報だけを取捨選択して絞り込んでいる。逆にいえば、興味のない分野には集中力、注意力は高まりません。
通勤でいうなら、自分の興味のある情報を集める時間を作れば、『気逸らし』には最適でしょう。例えばボクは釣りやお笑いの動画をよく観ていまして、最近では『IPPONグランプリ』なんかをイヤホンしながら観て、ニヤニヤしています。で、ニヤニヤしてると周りに変に思われるのでマスクをするわけです。風邪の予防にもなって一石二鳥ですね!
――なるほど~!ボクは『進●の巨人』や『東京喰●re:』は発売日にKindleで落として電車内で読んでますが、確実にニヤニヤしてますし、周りのことなんて何も考えてません!集中力は上がってますが、気持ち悪がられる前にマスクします><
大儀見:あとは、出社してすぐ「おはようございます!」って大きな声を出すことも有効です。あいさつは、小さなことのように思えますが、セルフコントロールのテクニックとしてすごく重要なんです。
心の窓を開く、心構えをつくるスイッチなんです。例えば、広い原っぱでいきなり「よーい!」って言われたらどう思いますか?思わず、走る準備をしてしまうでしょう。これを『キューワード』といって、そのワードを口にすることで心理的な準備を促すものです。他には『最初はグー』と言ったらじゃんけんの準備をしたり、『あぶなーい!』って言われたら思わず身をかがめてしまったり、というものもありますね。
――なるほど、あいさつを心のスイッチにするんですね。でもボク、あいさつするのも苦手で……。
大儀見:実は、あいさつが苦手な人のほとんどが、「無視されたら」「返してもらえないかも」というんですよ。
でも、こう考えてはどうでしょう、「自分は発信するより受信する能力が高いんだ」と。実は、口数が少なかったり人見知りしたりするのは、それだけ相手の言葉や表情やしぐさを見て敏感になってるわけです。受信するチカラは強いけど、発信するのが苦手なだけ。そこで、自分の発信するスイッチを入れるキューワードとして「おはようございます!」と言ってみてはどうでしょう。
――いいですねえ、なんだかだんだん通勤してみたくなってきました!
大儀見:大事なのは、メンタルトレーニングは決して「性格を変える」ことではないんです。ただ、考え方を変えるだけ。同じ状況をこれまでネガティブに捉えてきたことを、ポジティブに捉え直す。そういう技術がメンタルトレーニングなんです。
――ありがとうございました、早速あすから試してみますね。ちょうど『エ●ァ』全巻がKindleでまとめ売りされてたので、全部ダウンロードしてから通勤のときに読んでみます……って……ボク、フリーランスだった!!! まずは勤め先を探さなきゃ……(呆然
まとめ
『内発的なやる気』『自己決定理論』『心理的柔軟性』『カクテルパーティ効果』『キューワード』……耳慣れないフレーズが幾つか出てきたと思いますが、どれも決して難しいものではなかったかなと思います。大儀見さんも語っておられますが、性格を変える必要はないんですよ!考え方、物事の見方を少し変えるだけで、毎日は劇的に楽しくなったりします。この記事をきっかけに、皆さんの通勤が楽しくなれば幸いです。通勤先のないサワヤマは、がんばって就活します……。
取材・文
サワヤマ・ダイスケ(澤山大輔)1978年12月生まれ、編集者。フロムワン(サッカーキング運営会社)、スポーツナビ、livedoorなどを経て独立。現在、スポーツマーケティングナレッジ編集長。空手有段者、中学はバスケ。15歳の時、三浦知良のセリエA挑戦をきっかけにサッカーに鞍替え、未経験者にもかかわらず書籍十数冊に関わったり、編集・プロデュースした記事がヤフートップを何回か飾ったりした。「必死より必殺」をテーマにコンテンツ展開を行なう。
Twitter:@diceK_sawayama
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