汚染がれきの焼却灰等の処理 枝野氏「一方的に国から方針を出せる性格のものではない」

枝野幸男官房長官

 環境省は2011年6月19日、福島第1原発の事故の影響で放射性物質に汚染された福島県内のがれきの処理について、汚染物質を取り除く装置等を備えた施設で焼却等を認めるなどの処理方針を固めた。対象自治体は県内27市町村。放射性セシウムが1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰については埋め立て処分を認めるとし、8000ベクレルを超える焼却灰等については一時保管扱いとなり、その後の処理方針の決定は先送りとなった。

 環境省の推計によると、14日現在の福島県内のがれきは288万トンにおよび、関係自治体からは国の対応の遅さに不満が相次いでいる。

 枝野幸男官房長官は2011年6月20日午前の会見で、がれきの処理方針の提示まで時間がかかったことについて、「国民の安全に関わる問題であるので、一定の慎重な検討が必要だった」と語った。決定が先送りとなった高濃度汚染の焼却灰等の処分方針については、「受け入れ自治体および周辺住民の理解、かつ安全性の確保」が十分なされないまま「一方的に国から方針を出せる性格のものではない」と語り、「これについては一定の時間をかけざるを得ない」と述べ、最終決定まで時間を要するとの見解を示した。

 枝野幸男官房長官とニコニコ動画記者(七尾功)との一問一答は以下のとおり。

七尾記者: 放射性物質に汚染された、がれきの処理方針が正式に決まりましたが、高濃度の焼却灰等については先送りとなっています。この環境省の対応の遅さについてのご見解をお願いいたします。

枝野官房長官: 高濃度になる焼却灰等については、政府だけで一方的にどこに最終処理します、などということを決められる性質のものではない。つまり、受け入れていただく地域、その周辺の皆さんのご理解、なおかつその場合の安全性の確保といったことが十分になされずに、一方的に国から方針を出せる性格のものではない。したがってこれについては一定の時間をかけざるを得ないということだと思っております。それ以外の段階のものについては、しっかりと方針を示して関係自治体の皆さんにはある程度お待ちいただきましたけれども安全性、周辺住民の皆さんに対する安全性も含めた見地から方針を示して、これに基づいて対応していただくということです。

七尾記者: そうしますとこれくらい時間がかかってしまったというのは仕方がないということでしょうか。

枝野官房長官: もちろん、より早く出来ればそれが望ましかったというふうに思っておりますが、まさに国民の皆さんの安全とも関わる問題でございますので、方針を決めたけれども、その方針では安全性が確保されないということになってはいけませんので、そういった点からの一定の慎重な検討は必要だったということです。

(七尾功)

◇関連サイト
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http://live.nicovideo.jp/watch/lv53601397?po=news&ref=news#8:03

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