『ざまあみろ。アニメは元気だ! Anisong Crazy Power Night』柿崎俊道×上山晃インタビュー
“アニソン”のチカラで世界を盛り上げるイベント『ざまあみろ。アニメは元気だ! Anisong Crazy Power Night(通称:アニクレ)』が明日6月22日(水)、渋谷のWOMBラウンジで開催される。DJがアニソンをまわし、VJがアニメをモチーフにした映像を映し出す、ロックバンドはアニソンをカバー、そしてさらにクレイジーなイベントも。世界各国のアニメファンの多い都市での開催を目指すという“アニクレ”、本格スタートとなる今回の開催を目前に控え、その仕掛け人である柿崎俊道氏と上山晃氏のお二人にお話をうかがった。
登場人物
柿崎俊道……かきざきしゅんどう。出版業、コンテンツツーリスト。
著書『聖地巡礼 アニメ・マンガ12ヶ所めぐり』『Works of ゲド戦記』『Kirari痛車コレクション』
上山晃……うえやまあきら。米国留学後、IT企業のデジタルガレージ、ソニー・ピクチャーズを経て、数社の音楽、映像製作会社を経て、現在に至る。
※写真左が柿崎俊道氏、右が上山晃氏
クラブとアニソンとの融合
記者:柿崎さんと初めてお会いした時に、このイベントの話をお聞きしたんです。そのお話がすごく壮大で夢があって、これは震災や原発事故などで沈んでいる日本を元気づけてくれるものになるのではないかと思ったんです。そこでこのような形でインタビューをさせていただくことになったのですが、お二人が仕掛ける『アニクレ』というのはどういったイベントなのか、読者の方に向けて簡単にご説明いただけますか。
柿崎:「クレイジー」をキーワードにしたアニソンのDJと歌手やロックバンドで構成されたイベントです。海外のアニメフェスの夜を『アニソンクレイジーパワーナイト』で盛り上げていきたいと思っています。国内では渋谷の『WOMB』でやります。
記者:どういった経緯でこのイベントやることになったのでしょうか。
柿崎:僕は海外のアニメフェスに参加したことがきっかけですね。昨年は『コードギアス 反逆のルルーシュ』などの原案・脚本を担当された大河内一楼さんと、台湾でトークショーを開催しました。その前は男性の声優さんふたりを北京に招いて、トークショーを開催しました。どちらもすごく盛り上がりました。熱狂的な海外ファンにとって日本からアニメ関係者が来ることは、それだけで大きな事件なんですよね。ただ、こういうことは日本と相手国のパートナーシップをしっかりと築かないと難しいし、そんなに頻繁に開催できる物ではありません。何をしたら海外ファンにグッときて、なおかつ連続して続けられるのかなと考えていたんです。
上山:ぼくはクラブで遊んでいた人間ですから、クラブとアニソンをくっつけたいと思っていました。
柿崎:クラブ自体、ぼくは行ったことがなかったんですよ。でもアニソンDJが熱いことは情報として知っていました。でも、よく分からないからモエ・ジャパンの福嶋麻衣子さん(もふくちゃん)宛に公式HPからご相談の連絡したんです。そうしたら『MOGRA』 *1 の店長さんを紹介されました。
柿崎:『MOGRA』はアニソンDJがまわすイベントなどを数多くやっていますからね。『アニクレ』でまわしてもらうのも『MOGRA』で活躍しているDJたちです。その方々といっしょに『アニクレ』の基礎を作っています。
*1:『MOGRA』ウェブサイト
http://club-mogra.jp/
上山:海外の反応も知りたくて、2人で台北に行った時に、友人がやっているクラブでこのイベントの話をしてみたら、「ぜひやってくれ」と言われて。
上山:オーナーも昔の『週刊少年ジャンプ』で育っているような人なんで、「クラブのDJがアニメをミックスしてなんて信じられない!」って、「しかもそのアニソンかけてアニメを映す、そのスタイルが驚きだ」って、すごくいい反応してくれたんです。確かにそんなことやっているやつらは海外ではいないですからね。
柿崎:それで早くやっちゃおうということになったんです。
いきなり『WOMB』で開催
記者:いきなり渋谷の『WOMB』というのがすごいですね。
上山:海外だけでやっていこうと思っていたんですよ。『WOMB』に友だちがいて、こちらも「ぜひやってほしい」と、むこうから声をかけられたんです。
記者:『WOMB』でアニソンのイベントというのは意外な感じですが、ちょっと雰囲気が変わっていいですよね
上山:そこがいいんですよ。『WOMB』では今後も毎月第4水曜に開催していく予定です。
上山:もともとHIPHOPやブレイクビーツ、ハウスやテクノなんかのDJをやっていたDJたちがアニソンをそこに合わせていって、アニソンDJのスタイルができてきたんですけど、まだまだ発展途上なんです。アニソンから始めたDJなんて、まだ誰もいない。でも、木村コウさんっていうハウスDJの大御所やDJ MUROさんっていうHIPHOPの有名な方もアニソンをかけたりしていて、だんだんと盛り上がってきているのを感じています。
記者:海外で『アニクレ』をやる場合は日本と同じスタイルになるのでしょうか。
柿崎:同じです。「渋谷発」というのもひとつのキーワードにして、渋谷でやっていることを基本にします。
柿崎:ただ、相手国にクレイジーなものがあれば、積極的に取り入れたい。逆にそれを渋谷に持ってきて、さらにクレイジーに加工して「渋谷発」として世界へ送り出します。
すでに起こった未来
上山:ぼくね、この人に最初会ったとき、未来から来たかと思ったんですよ。
柿崎:ぼくたちは海外に『アニクレ』を持っていこうとしています。その先であるアニメで盛り上がっている台北とかシンガポールの若い男の子や女の子たちが夢中になるイベントや作品は、日本のオタクならみんなすでに知っているわけですよ。
柿崎:日本の90年代半ばに『セーラームーン』『エヴァンゲリオン』あたりから盛り上がったコスプレブームやアニソンカラオケブームなど、あの波がすべて、ものすごい速さで海外の若者たちに押し寄せているんです。そんな未来を我々はすでに終わったこととして知っているんですよね。
上山:我々じゃなくあなたね。
柿崎:源流は我々全員ですよ。海外の企業が起こしている波ではないから、ちょっと予測すれば、将来、同様の盛り上がりが来ることがわかるんです。
上山:ぼくも柿崎さんと会う前はアニメ? マンガ? オタクの世界? って、偏見をもっていたんですよ。今どの業界も、映画や音楽も頭打ちなんです。彼と会って、もっと違う視点で売っていけば、新しい芽を広げられるのに、自分は何をやっているんだと。こんなマーケットは大きいですし、面白いなと思ったんです。
柿崎:偏見も中の人が作ってしまったんですよ。
上山:偏見を取り払って、サブじゃないですよ、メインカルチャーですよって打ち出していけば広がっていくんです。それを海外のネットワークと一緒にやっていけばもっと広がるっていうことを、この人だったらできると思ったんです。
記者:でもそれは支える人が必要ですね。
上山:それはぼくが支えるんです。だってこの人は『ドラえもん』だもん。いっぱい未来の世界が出てくるんですよ。すでに起こった未来 *3 なんですけどね。
柿崎:ぜんぶ起きたことですからね。
*3:すでに起こった未来―変化を読む眼 – P.F. ドラッカー 著『ダイヤモンド社』
http://www.diamond.co.jp/book/9784478371381.html
World Word War(世界言語対戦)
柿崎:ぼくはもう英語やめようと思うんですよね。第二次世界大戦ってあったじゃないですか、WW2が。今はWWWで、World Wide WebじゃなくてWorld Word War(世界言語対戦)なんです。ぼくの造語ですけど。どの国の言葉が牛耳るかの勝負なんですよ。
柿崎:結局、英語だと英国圏のビジネスパーソンが強い。中国語でやれば中国語圏が強いんですよ。当たり前ですよね。国内のアニメやマンガや出版がなぜ弱っているかといったら、日本語のビジネスラインが日本だけだからですよ。日本国内が冷えれば、アニメやマンガも冷えていく。これがロサンゼルスは日本語で仕事ができますよ、シンガポールも日本語ですよ、中近東でもアフリカでも日本語ですよ、となったら、こんな自由な話はないでしょ?
柿崎:この5年間くらい世界のアニメ関係者と知り合って、ぼくは日本語を話せる海外の方としか付き合わないと決めてました。日本語を話せるビジネスマンを見つけたら、仲間ですよ。
柿崎:それは僕の仕事がアニメ関係で、アニメは日本が本場だから通用するんですよね。海外のファンは日本語で会話が成立することがうれしいんです。だって、ポール・マッカートニーやU2が来て流暢な日本語でテレビ番組に出ていたら雰囲気ぶち壊しですよね。彼らには英語でかっこよくしゃべって欲しいですよ。つまり、アニメ関係者は日本語でビジネスをすることを向こうは歓迎しているんじゃないか、と仮定して『アニクレ』を進めているわけです。
上山:『アニクレ』を通して各国でアニメマンガ業界の人を集めて、交流して、そこで新たなものを生み出していきたいですね。いろいろなものを合作していきたい。
柿崎:コラボレーションしていきたいですよね、世界中の面白いものとね。
人がつながり形になっていく
記者:こちらのフライヤーもステキですね。
柿崎:フライヤーの写真を撮ってくれたデンマーク人は撮影の日の朝に初めて会ったんですよ。出版業界の知り合いから「デンマーク人がコスプレを見たいとかで来日しているんだけど、つないでくれないか」というメールが来て、「朝6時に集合だけどいいか」と言ったら本当に来たんです。
柿崎:その日、カメラマンを手配していたんですけど、都合がつかなくなって、ぼくが撮っていたんですよ。小さいデジカメしかなくて、どうもうまく撮れない。ふとデンマーク人を見たら、結構いいカメラ持っていたんです。プロのカメラマンとのことで、お願いして撮影してもらいました。
記者:すごいですね。
柿崎:あのフライヤーの写真はデンマークでも話題にしてくれているみたいです。こうして簡単に人と人がつながっていくことが今時だな、と思いましたね。
上山:ゲームクリエーターの飯田和敏さんも賛同してくれたんです。今度の『アニクレ』にも出演してくれます。飯田さんには4月にやったプレイベントでお会いしたんです。「君たちグラスルーツのものじゃなくて、個人で新しいものを発信していきたいんだよね」って言われて、「その通りです」って答えたんですけど、飯田さんはすぐに「俺もやる」ってね。話が早かったです。
柿崎:その他にもゆるやかに参加してくれている人はたくさんいます。そういう勢いのようなもので進んでいるところもありますね。
柿崎:アニクレは「それいいよね!」って、当事者になってくれる人と、どんどん一緒にやっていきたいと思っています。みなさんぜひ参加してください。
イベント詳細
●ざまあみろ。アニメは元気だ! Anisong Crazy Power Night(アニクレ)
・日時:6月22日(水)20:00 – 23:00
・場所:WOMB LOUNGE(コスプレ更衣室あり)
・出演アーティスト:D-YAMA / ニッチ / KITUNE (VJ) / VAZ / CREA / 飯田和敏(新ユニット) / katsumaki and more…
・料金:DOOR ¥1,500/1D
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テーマは「コスプレイヤー★カメラ小僧」 アニメソングをガンガンかけます! コスプレする人、カメラで撮る人、大歓迎です! 踊りながら撮影してください! よろし(く)くれいじー!
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主催:クレイジージャパン
●7月開催:真実なんて、もうたくさん!! Anisong Crazy Power Night(アニクレ)
・日時:7月27日(水)18:00 – 20:00 Cosplay Time 20:00 – 23:00 Anisong Time
・場所:WOMB LOUNGE
・出演アーティスト:D-YAMA / ニッチ / KITUNE (VJ) / VAZ / CREA / 飯田和敏(新ユニット) / katsumaki and more…
・料金:DOOR ¥1,500/1D
アニクレの最新情報はこちらのFacebook公開ページからご確認いただけます。
http://www.facebook.com/home.php?sk=group_108296379254928
海外では台北を皮切りにムンバイ、シンガポール、クアラルンプールなどでも開催を計画中。「ざまあみろ。アニメは元気だ!」といい放つ日本発のアニソンDJ&VJイベント『アニクレ』。世界制覇をガチで挑むこのイベント、本格スタートの瞬間を見逃すのはもったいないっ!
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