警告について(Go!Go!5)
今回はhiroko0619さんのブログ『Go!Go!5』からご寄稿いただきました。
※この記事は2015年10月9日に書かれたものです。
※すべての画像が表示されない場合は、https://getnews.jp/archives/1222660をごらんください。
警告について(Go!Go!5)
私はこのたび化粧品や洋服のブランドであるフランスの企業「PAUL&JOE」さんに「警告」をいたしました。
PAUL&JOEさんが販売している今年の秋冬ものの商品に
私の刺繍画像が使われていると思われるものがあります。
これは無断に行われたものであり また私は同社とコラボなども一切しておりません。
私自身はファッションブランドには明るくないのでお名前程度しか存じ上げなかったのですが
PAUL&JOEさんでは人気のアイテムとして猫のイラストをあしらったケースの
お化粧品やお洋服・雑貨なども作られています。
そちらの「PAUL&JOE SISTER」という可愛らし系のラインの この2015年秋冬物のなかに
「hirokoの刺繍と酷似したものがあると指摘されたが偶然の一致に驚いている」というメールを
7月初めに頂きました。
企業の社長の名前で英文、
ライセンスマネージャーを名乗る日本人の名前でその英文を日本語に訳したものがありました。
同じメールに「来年(SISTERが)10周年なのでコラボしましょうか」と言う事も書いてありました。
そして指摘のあった商品その他のカタログのファイルが添付されていました。
そこに載っていたもので 指摘されたというものはこれかな、と私が感じたものは
これ*1 と これ*2
*1:「PAUL & JOE SISTER AUTUMN/WINTER 2015 | 19」 『PAUL & JOE』
http://www.paulandjoe.jp/lookbook/pjs-collection/19
*2:「PAUL & JOE SISTER AUTUMN/WINTER 2015 | 21」 『PAUL & JOE』
http://www.paulandjoe.jp/lookbook/pjs-collection/21
そのほかにネット上には画像が無いのですが同じモチーフつながりの靴下とタイツ、
ポーチとハンカチがありました。
ただカタログの画像はどれも小さく この刺繍のような部分がミシン刺繍なのか
あるいは刺繍風プリントなのかイラストのプリントなのかは はっきり分かりませんでした。
…皆さんが私の立場であればどのように感じるでしょう。
何か思う所があってもコラボするの光栄、ってありがたく受けたらよいかしら?
ちょっとは私も考えました。…しかし画像を見れば見るほど疑問は深くなります。
「偶然の一致」と言われて 私はつまりこの企業のデザイナーさんかどなたかが
「偶然同じ猫画像を見つけて それを元にイラストだか刺繍を製作し、
それを製品にミシン刺繍かプリントかしている」
そう言う事なのだと考えました。
ご存知の通り私の次男シャツはネットにあった知らない方の猫画像を見ながら
私が勝手に刺繍化したものです。
これと同じことをどなたかがした結果、酷似したものになったということだと解釈いたしました。
※次男シャツと同じもののご注文をたくさんいただきましたがすべてお断りしております。
(念のためこのものと猫画像の撮り主さんのこともGoogleやTinEye Reverse の画像検索を使って調べ
色々な方にメール差し上げたりして探したのですが 見つけることはできませんでした。)
*****
さて、問題の商品の刺繍部分(プリント?)は そのもとになった猫の画像より
どうも私の刺繍画像に より似ている気がしてならない・・・見れば見るほど私はそう感じました。
次男シャツは 初めてのねこ刺繍でしたので どう刺すべきか迷ってばかりで かなり試行錯誤しました。
色使いは濃い目になってしまい
そして全体・部分の形が結構元の猫とは違ってしまっています。
ハンカチのプリントはこれによく似ています。
同じものを見て別の人間が別の場所で刺した刺繍が、(描いたイラストが)
元の画像でなく お互いにすごく似た・・・というよりは
私の刺繍画像を見て 同じように刺繍したかイラスト化したもののように思えてなりませんでした。
その後数度PAUL&JOEさん側と画像についてのやり取りがあるのですが
私の「この商品の販売に問題は無い」という言葉を求められました。
私が「これは私の刺繍を模倣したものだと感じる。商品の販売には問題無いと言えない。
コラボはしません。」と正直に伝えると
最終的に
「画像の撮り主に商品化の許可をいただいてあります。
Once again, Sophie and you having the same universe (love of cats), it would be interesting that you will meet for an eventual collaboration.
This will only work if we would agree on the good principles and that you will confirm us that you agree with our usage of it.」
というお返事が。
・・・・・ハァ?(コラボしたいとか一度も言ってないぞ?侮辱という文字がよぎります。)
更に自分としては結局中国韓国の時と同じような目に合っているとの疑いを抱いているのに
「これは偶然ですとあなたの口で言え」と迫られているようなものだと感じました。コラボを人質に。
(え?繰り返しますがコラボ提案したこと無いですよ!?)
・・・私の英語翻訳能力がかけているのかもです、あちら様は全くそんな気なかったかもですが
怒りと悔しさで震えました。
なぜ私が問題ないと認めなければならないのでしょうか。
「法的にどうかなんて知らないし、ただの偶然だとしても 嫌なものは嫌だ」と感じることを
勝手にされるのと わざわざ認めてしまって堂々とされるのでは
後者の方がずっとずっと嫌じゃないですか。
これってただ単に私が頑ななだけ?
その時専門家の方から
「別にあなたが問題ないと認める必要はありませんよ。嫌ならお返事しなくても問題は無いです。」
という助け舟が。
なんだそうなのか・・・。あったりまえですが。
この時はこういう風に考えることもできないくらい悩んでいたのです。
それで精神衛生上しばらくこの問題から離れていると
今度はPAUL&JOE代理の日本人弁護士、という人からメールが来ました。
弁護士さんからメール来るとかびびります。
社長(とライセンスマネージャー)から来たメールは
もしかしてフランスでは全く普通のビジネスメールだったのだとしても
素人の私にとって恐ろしく不快極まりない内容に感じられたわけですが
代理弁護士さんは「大変失礼な対応をしていたと思います」と代理で詫びておりました。
弁護士さんて依頼人の非や不利益になることは絶対に言わないのだそうですが
それが「失礼な対応をして」って言ってるんだから
相当失礼だったってこと?どこがどう失礼だったのか聞いておけばよかったですかね。
申し訳ありませんが代理で詫びられても私の気持ちは晴れておりません。
失礼を詫びる言葉で始まるメールも しかし言っている内容は同じだったので
私もまた同じ返事をしました。そして8月になりました。
この間私は弁理士さんに相談したり弁護士さんに相談したり色々勉強したのですが
(奈良の田舎だから大阪まで出かけなきゃならないし出不精には大変でした)
結構さまざまに自分の知識不足に打ちのめされています。経済的にも大変困難を伴います。
(この辺のことはどなたかの役に立てることもあるかと思いますので
追い追い書いていきたいと思います。)
仕事に集中しているときは良いのですが
料理中にこのことを考えて料理を焦がしたり
自転車に乗っているときに考えに没頭して事故に遭いそうになったり
相談に行くと人生相談みたいに泣いてしまったり
精神の穏やかになる時が全くなく疲れきってしまっていました。
認めない・・・と言ってこのことをどうすることもまたできません。
せめてあのシャツが売られているのを見つけたらやはり確認したい、
確認したところでどうにもならないかもしれないけれど・・・。
そう悩みながらお盆が過ぎ秋物が並ぶ季節になりました。
日本だけでなく海外のネットストアもチェックしていました。
シャツの画像自体は様々な所で紹介されていますが
販売されているのを見つけることはできませんでした。
「もしかして売るのをやめたのかな」などとも思いました。
それはそれで私の望むことなのですが・・・正直すっきりしません。
一度投げつけられた泥のようなものがそれできれいに消えるわけではないです。
営業妨害だとか名誉棄損で訴えられる場合もある?などと考えると
ブログに何か書くこともできません。
本当に不条理に悲しい夏でありました。
そして9月のはじめ、思いがけない出来事が。
このことについても色々と相談させていただいた私の本の編集者さんが
不思議な偶然から雑貨屋さんでPAUL&JOEさんのハンカチを見つけました。
あのカタログに載っていたものです。(刺繍ではなくプリントでした。)
編集者さんは「ホントによく似てますよ!」と怒って画像を送ってくださいました。
見てみるとやっぱりよく似ています。すごく…。
パソコンのディスプレイに 元の猫画像とハンカチ画像、
そして私の刺繍画像を並べて見ました。
んん?ハンカチのプリント…これは粗い画像ではありますが
刺繍の画像です。(だから顎部分が無いのですね)
そして・・・耳のとがりが修正してあるものの
耳の中の毛のながれ、目の周りの白い部分のかたち、ひげの根元の点々の位置や顔の模様・・・
細部にわたって元の猫の画像とは何の干渉もなく
これは私の刺繍画像そのものではないですか!
大雑把な柄やクロスステッチならともかく
こんな細かい糸の渡り方が偶然一致するはずなどありえません。
猫写真家のお友達ばんさんにこのことを知らせると
もっとわかりやすい画像を作って下さいました。
シャツ画像にハンカチ画像を透明度40%で重ねたもの
60%で重ねたもの
80%で重ねたもの
…何でぴったり重なってるわけ??
これでも私の「同じ画像だ!」という感覚は間違っているでしょうか?
ここまで判明してからもなお紆余曲折は続きます。
だからって、どうする? 法的に訴えてどうにかなる?何を求めるの?
私に大きな損害があったとでもいうのでしょうか・・・だがしかし。
このことに関して私に何も言う権利が無いとするならば
私の刺繍画像すべてについて 「勝手にプリントして売られても文句言えない」
ということになってしまいます。そんなのおかしい!
あんなに腹が立った中国や韓国の真似っこシャツ屋だって刺繍は自分らでしてますよ?
私が何日もかけて製作した刺繍の画像をそのままプリント(ちょっと編集してあるけど)しておいて
それで「偶然一致してるけどあなたには権利無い」だなんて一体どういうことなのでしょうか。
似たような状況に陥った人たちはどうやって解決したのだろう、とネットで検索すると
様々にうまく解決した例も出てきましたが
どうもやはり個人の小さな声はかき消されることが多変多いようです。
なかでも無許可で画像を商用に使用される例は大変多く
抗議ののち使用料をもらえればそれは大変マシなほうで ほとんどが泣き寝入りだそうです。
裁判だ―!などと思ってもそう気軽に起こせる価格ではありません。
(みんながここで諦めているのです・・・)
私は本当にただのおばさんなので 泣き寝入りコースが妥当だったかもしれません。
そもそも次男のシャツは高額な費用をかけてまで守るほどのものか?などさんざん悩みました。
・・・しかし私のシャツはほとんどすべて1点ものであり
「この世に一つしかないオリジナルであるから作って」と思って下さる方もおられるのです。
いつもお客様一人一人に対してその方が気に入って下さることを一番に考えて作っています。
次男のシャツにもちっぽけではありますがそれと同じだけの意味を込めて作りました。
PAUL&JOEさんもそのブランドのファンに向けて 世界中のたくさんの女の子に向けて
その人たちが楽しんでくれるようなデザインの服や雑貨を作っているのだと思います。
だからといって そのために私と私の次男の気持ちを踏みにじってもよい、というものではないでしょう。
今回のことで 同様の気持ちの人がたくさんおられることも知りました。
企業のコンプライアンス遵守だとか社会の潮流から見れば
「フツーのおばさんが、黙ってろよ」みたいな立ち位置かもしれませんが
ハンカチ1枚でも個人のクリエイターとして声を上げねばいけない・・・そう思いました。
そしてこのたび「警告」と言う事を行う運びになりました。
(でも送られた書面には「ご連絡」って書いてあるのですね!なんだか牧歌的。)
これで、どうなっていくのかは全然わかりません。
反論されたり何か訴えられたりするのかもしれませんし
無視されて終わりかもしれません。
動きがあればまた報告します。
*****
フツーのおばさんが事故だとか離婚だとかではなく
こんな事案で弁護士さんに相談しても
あんまり大事に取りあっていただけない、ということも体験しました。
そりゃね、弁護士さんも大変忙しいですし 事案や依頼人を選びたいですよね。
でもそれなら「個人の小さなお困りごとなどにも迅速に対応します」とか
「クリエイターの方に起こりがちな問題を一緒に解決していきます」とか
案内に書かなければいいのになあ、と思います。
私「後日連絡いたします」って言われて1か月放置されてますよ2カ所から。
ますます気がめいりました。
そんな私の小さな声を救い上げて様々なアドバイスも下さり
最終的に警告書までまとめてくださった担当の弁護士さん並びに弁護士事務所さんには
本当に本当に感謝いたしております。
普段の仕事に戻ります。
編集部より追記
今回、hiroko0619さんに寄稿の依頼をした際に下記の申し添えがございました。
今回の記事「警告について」以降、『Go!Go!5』(hiroko0619さんのブログ)には、元の画像の関連のことも書いております。
「私もまた責められるべきことをしてしまっている」
そのことを踏まえたうえでの今回の行動(警告)であります。
執筆: この記事はhiroko0619さんのブログ『Go!Go!5』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2015年10月30日時点のものです。
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