10月FOMC前夜(ニューノーマルの理)
今回は脇田栄一さんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。
※この記事は2015年10月28日に書かれたものです。
10月FOMC前夜(ニューノーマルの理)
10月FOMCでは利上げがあるか否か、というより「12月FOMCにて利上げが実現するのか否か。また、それに向けてどのようなシグナルが発せられるのか」、といった意味で注目*1されている。
*1:「想定以上の睡魔。あくびを誘う9月据え置き」 2015年9月18日 『ニューノーマルの理』
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-12074357806.html
絶対的な背景として今年の5月に議長自身が「今年のどこかで利上げが適切と予想」といった発言があった。当時は利上げせずともバブルを防ぐ、といった手綱を締めるような口先介入の意味合いも含まれていたように感じる。
ただし繰り返し述べてきたように、米国のマクロは軟調を続けてきた。ここでいうマクロとは、企業支出と個人の可処分所得等であり、27日発表された9月耐久財受注の結果は、一定程度、予想されていた事とはいえ、想定を上回る悪い結果だったといえる。(同日のコンファレンスボードの指標は遅行指標だ)
今、米国で問題となっているのは欧州や中国、そして新興国の需要減退といった「国際情勢*2」であり、世界的緩和からの「ドル高」であり、原油安を起因としたエネルギー産業の失速だといえる。
*2:「FRB、大きくなる「世界の中銀的役割」」 2015年9月24日 『ニューノーマルの理』
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-12076919737.html
それらの問題を抱えたまま、たとえば「緩慢」とはいえ、10bpの利上げを実現したとすればそれは金融市場には大きな打撃となって返ってくるだろう。しかも10月会合の後に、米国は第3四半期GDPの発表を控えており、大方の見方、あるいはそれを上回る?ほどの下落を見せる可能性すら残されている。耐久財受注の結果は米国経済減退のサインと捉える事は可能で、それは10月会合の後に発表される事になっている。
それに加え10月ECB理事会(22日)では、「12月緩和」につき積極姿勢を示してきた*3。これは「12月引き締め」に向かって実質的に奔走してきたFRBに対して、(ECBのみならずIMF等の機関が)新たな障害を投げ掛けてきたと捉える事も可能で、どちらにしてもFRBは難題を解消していくどころか抱えていく一方のように見える。
*3:「欧米中銀、嵐の中の舵取り -「コリドー政策と為替レート」-」 2015年10月23日 『ニューノーマルの理』
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-12087442774.html
(今年中のどこかで利上げ想定、とした)5月以降、イエレン議長は8月のジャクソンホールを欠席し、9月の大学記念講演では体調不良を露呈*4した。 FRBでは不文律ともなっている「理事の口出し禁止」を反故にするかのような、(理事による)利上げ反対表明を受け、欧州中央銀行は12月緩和(姿勢)を当ててきた。 企業支出は減退し、それを表す指標は連鎖しているようにみえる。FRBは「嵐」をどう抜け出すのだろうか。
*4:「呵責の念にもだえるFRB議長」 2015年9月30日 『ニューノーマルの理』
http://ameblo.jp/eiichiro44/entry-12078898489.html
執筆: この記事は脇田栄一さんのブログ『ニューノーマルの理』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2015年10月29日時点のものです。
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