最適化の方法が変わっただけでSEOはまだまだ終わらない

ホームページを作る人のネタ帳

今回はYamadaさんのブログ『ホームページを作る人のネタ帳』からご寄稿いただきました。

最適化の方法が変わっただけでSEOはまだまだ終わらない
いや、全く意味がわからなくて思わず書いたんですけどね。

「SEOの終わりとソーシャルとnanapiのコンテンツの未来」 2011年06月05日 『ロケスタ社長日記』 @kensuu
http://blog.livedoor.jp/kensuu/archives/51889800.html

ソーシャルメディアが力をつけてくるとインターネットでどういう変化が起こるのかというのが、上の記事で非常に細かく分析されて、まさにその通りだなぁって思うのですが、SEOはなくならないです。そもそも現代のSEOはコンテンツファームでもなんでもありません。

<どうしてSEOが終わらないのか>

「SEO重視で行きたいのでよろしくお願いします!」
「わかりました。今の時代のSEOでいうとコンテンツ重視ということですね? リンクを集めたり、ページを量産しても今はサーチエンジンに最適化されるとはいえません」

最近私が交わした会話ですが、コレが私が言いたいことの真理です。

・SEOの企画書とかもうやめてほしい
・お客もまだSEOすればいいと思ってる

こういう声を良く聞こえてきますが、これは言葉の意味がなにか間違っています。SEOっていう言葉があまりにもうさんくさい言葉になってしまったことが原因で、誰もが次の言葉を捜しているというのはあるかもしれない。

2009年1月に上の記事と同じことを書いた覚えがあって自分で調べたらでてきた。*1

*1:「売れてるSEO業者が行っているのはSEOでもSEMではなくHIO」 2009/01/19 『ホームページを作る人のネタ帳』
http://e0166.blog89.fc2.com/blog-entry-571.html

このほか、SMO、ソーシャルメディア最適化っていう言葉も当時よく聞きました。
要するにですね
“検索エンジン最適化”がSEOなので、“より良いクオリティを保ったものを公開する”っていう行為も、結局現代の検索エンジンの上位を狙う行為なわけですから、SEOだということ。

なんにも昔から変わったところはないのです。あくまでもスパムフィルタのレベルが上がり“より人間らしい観点のもと、よりよい情報を上位表示させるようになった”だけであって、検索エンジンを使うユーザーがいなくならない限り、検索エンジン最適化の戦いはいっそう激化していくということです。

結局こういう話になってくると、割って入ってくるのが『Facebook』です。『Google』は『Facebook』に完全に敗北するという説が多くでています。実際のところどうなるでしょうか。これはSEOとは別に、時代とともに何がかわり、何が変わっていないのかを見ると、はっきりとわかります。

<人は昔から変わらず、あらゆる情報へのアクセスを3クリック以内に収めようとする習性がある>

これは既にインターネットが生まれてからずっと変わらない人間の法則です。ユーザビリティの記事 *2 にも追加しようか悩んだ部分ですが、この法則にしたがってインターネットは動いています。

*2:「ユーザビリティの原則と現場で使えるユーザビリティテストの方法」 2011/06/03 『ホームページを作る人のネタ帳』
http://e0166.blog89.fc2.com/blog-entry-889.html

『Twitter』や『Facebook』、『mixi』なども含めて、ソーシャルメディアがまだない時代、それこそ『Google』がまだないとき。日本では『Yahoo!』が圧倒的なシェアを誇っていました。

この時代から3クリックの法則は揺るぎません。まず多くのユーザーはポータルサイトと呼ばれる、『Yahoo!』、『LYCOS』、『フレッシュアイ』といったサイトを訪れます。ここにいたるまで、ほぼお気に入り機能を活用しますので、1クリックです。

ここからサイト内のコンテンツを1クリックして、さらに外部サイトへ1クリック使用します。ポータルサイトをトップページにしている場合は、この先1クリックする余裕があることでしょう。

この現象からいえることは、ポータルサイトのディレクトリや、検索結果に掲載されればOKということです。逆にいえば、ポータルサイトからアクセスする方法がない場合、そのサイトは存在しないようなものです。
もしお気に入りのサイトが見つかった場合、そのサイトを半径3クリック以内に収めるために“お気に入り”に追加するのです。

この時代は、『Yahoo!』の検索結果に掲載されるために、『Yahoo!』の許可が必要だった。そのため“ポータルサイトが認めたサイトが3クリック以内”という位置をキープする必要がありました。つまりウェブは現代から考えると、『Yahoo!』の社員フィルタリングという偏ったフィルタが存在していたため、とても狭い世界だったのです。

<『Google』によって広がった世界>

『Google検索』はこれまでの『Yahoo!』の検索とは違い、より多くの情報を“検索”として提供してくれました。これによって『Yahoo! ディレクトリ』に登録されてなくてもアクセスされるようになったのです。

しかし、3クリック以内の法則は相変わらず変わりません。『Google』へいく、検索する、サイトへいく。なければ戻るというサイクルを繰り返します。つまり検索結果の2ページ目となると一気にアクセスが低下するのはこのせいです。

また、RSS、ソーシャルブックマークが登場したのも『Google』登場後です。情報量が爆発的に増えるきっかけとなったブログツールが登場したことで、できるだけこうした情報量の多いサイトへのクリック数を減らそうと、ユーザーが使いだしたのです。

最初に述べた通り、ユーザーは3クリック以内に収めたがります。RSSリーダーを利用することで、目的の情報までのクリック数が、RSSリーダー→目的のページとなり情報の取得がすばやくなりました。ソーシャルブックマークに関しても、ユーザーの望みである「3クリック以内に納めたい」という願望をクリアしてくれるサービスなので、利用者は増えました。

しかし、実は過去のブックマークページへ戻ったり、検索したりする手間が1クリック増えてしまうため、ユーザーは過去記事などほとんど読んでないというケースも多々あるのです。ブックマークへのアクセスをアドオンなどで軽量化するのには、それほど多くの意味がないように思われますが、これはとても重要なパーツで、1クリックでも減ると、利用頻度は倍以上になるのです。

こうして、たとえ半径3クリック以内であっても、各情報への“アクセスルートが増えた”ことで、ウェブは『Yahoo!』時代に比べると、格段に広くなったのです。

<ソーシャルメディアが登場するとさらにウェブは広くなる>

例えば『Twitter』を活用することで、『Twitter』から“偶発的に流れてきたニュース”などを開いたことはないでしょうか。また、知人、友人たちが「コレ面白い!」とか「これは絶対読むべき」と言われて紹介されたリンクを読んだことはないでしょうか。

『Twitter』を開く(1クリック)→リンクを踏む(1クリック)という行為のみになったと仮定しましょう。クリック数は3クリック以内ですが、これまでの『Yahoo!』時代から比べると、恐ろしくウェブが広くなったといえます。今まで読まなかったであろう小さなブログの記事や、誰かが偶然撮った面白い写真など、多くの情報をキャッチすることができるようになったのです。

時代とともに変化しているのは、“その情報に出会うためのルート”です。『Twitter』、『Facebook』は、インターネットをより広大に感じさせてくれるでしょう。新しい情報との出会い、今必要とされる情報が大量に出回ります。もちろんこの大量に出回るという変化についていけず“デマ”に踊らされることも多くなりました。

それでも、3クリック以内にあなたのブログや記事が登場する機会を増やすことが簡単にできるようになったのです。その方法こそが“人の役に立つ、すぐに実践できる、すぐに人に伝えたい情報”といったクオリティの高い情報の生産なのです。

誰かが誰かに紹介したくなる情報なのか、というのは、個人個人の脳内のフィルタリングを突破し、「これなら知り合いに紹介したいな」と思ってもらえる情報のことです。

<結局フィルタリング方法が変わっただけでSEOは健在>

結局素直に、人間を見る必要がありますよっていうお話。

昔は『Yahoo!』の人たちがつくったフィルタリング。
『Yahoo!』のディリクトリに登録してもらうこと。
もちろん最適化は『Yahoo!』の人たちに認証してもらう行為。

ちょっと前は『Google』が考え出したアルゴリズムフィルタリング。
『Google』が提供するアルゴリズムにのっとったサイト構成、リンクの網をつくること。
もちろん最適化は『Googleボットに価値があると見せる行為。

今は知り合いが悩み、考え出した脳内フィルタリング。
もちろん最適化はその知り合いに紹介してもらえるような価値のある情報をつくること。

トップで紹介した画像は実によくできている(トップ画像参照)。この画像の『Facebook』フィルタを、昔は『Yahoo!』の人たちが、ちょっと前は『Googleランク』が、と置き換えてみるとわかりやすいかもしれない。『Facebook』がこれらの仕事を全てするようになったら、時代は『Google』を飲み込むかもしれないが、今のところ検索は『Google』のほうが使いやすい。

時代は静かに変わり、もしかすると『Google検索エンジン』そのものを使わない人が増えていくかもしれない。しかし、SEOが終わるというのは、検索エンジンを利用する人が一切いなくなった場合のみいえることです。

もし仮に、ソーシャルメディアがソーシャルな会話やデータを元に、独自のサーチシステムを開発したとしたら、そこにまた必ずサーチエンジン最適化(SEO)は誕生するのです。

今のところはまだまだ『Google』の検索上位表示の価値は高いです。より良いコンテンツをつくって上位表示を狙うSEOは、最適化する方法がかわっただけで、まだまだこれからも続いていくのです。

※でも本当はSEOっていう言葉があまりにもうさんくさい言葉として浸透してしまったので、次なる言葉があってもいいかもしれないと心の中では思ってます。

トップ画像:「Facebook stream hub」by javier.reyesgomez 『flickr』
http://www.flickr.com/photos/9625996@N02/3479101061/in/photostream

執筆: この記事はYamadaさんのブログ『ホームページを作る人のネタ帳』からご寄稿いただきました。

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