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今週の永田町(2015.10.21~27)

【野党5党、臨時国会召集を要求】

 先週21日、民主党・維新の党・共産党・社民党・生活の党の代表者が衆参両院の議長と会い、「衆議院か参議院のいずれかの4分の1以上の議員が要求した場合、内閣は召集を決定しなければならない」と規定する憲法第53条にもとづき、野党・無所属議員(衆議院125人、参議院84人)が連名した安倍総理宛ての臨時国会召集要求書を提出のうえ、政府が臨時国会を召集するように申し入れた。

要求書では、「新閣僚に所信をただしていく必要がある」として内閣改造に伴う新閣僚からの所信聴取と質疑の実施や、日米など交渉参加12カ国で大筋合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の経緯説明とその質疑を臨時国会で行うべきとしている。また、安倍内閣との対決姿勢を鮮明にしたい野党側は、マイナンバー制度に絡む厚生労働省の汚職事件の真相解明と再発防止策、安全保障法制、米軍普天間飛行場移設、原発再稼働なども審議が必要と主張する。

 

 大島衆議院議長は、野党要求が憲法規定の要件を満たしているとして「立法府の使命もある。しっかり受け止めて政府にお伝えしたい」と応じた。その後、大島議長は、菅官房長官や与党国会対策委員長に対応の検討を要請した。

ただ、憲法第53条には召集期限が規定されておらず、開会するか否かは内閣の最終判断に委ねられている。政府側は「与党ともよく相談して決定したい」(安倍総理)としつつも、「安倍総理の外交日程を優先せざるを得ない事情や、年末の予算編成も考慮しなければならない」(21日菅官房長官会見)と、臨時国会の召集に慎重姿勢を示した。政府・与党は、今月下旬から来月末まで安倍総理の外交日程が立て込んでおり、来年度予算案の編成作業が本格化する12月中旬までの間に十分な審議時間も確保できないことから、野党が要求したTPPなどに関する閉会中審査を11月10日に衆議院予算委員会で、11日に参議院予算委員会で行うことにより、臨時国会の召集を見送りたい考えだ。

 

これに対し、民主党は「(憲法第53条に)日付が書いてないから2カ月間、開かなくていいとはならない。先延ばしは憲法違反」(岡田代表)、「逃げていると言わざるを得ない。1カ月以内に召集しないなら、憲法無視の違憲内閣だ」(枝野幹事長)、「議論すべき多くの課題にふたをして逃げることはあってはならない」(高木国対委員長)などと非難している。政府・与党を「逃げ腰」「憲法軽視」などと批判して世論に訴えることで、安倍内閣のイメージダウンにつなげたいようだ。

野党側は、農産物の重要5項目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)のうち加工品などを約3割(174品目)が関税撤廃となっていることから、重要5項目の保護と国民への十分な情報提供などを求めた2013年国会決議に違反していると非難している。特に、牛・豚肉などは関税が大幅に引き下げられ、輸入急増時に関税を引き上げる緊急輸入制限(セーフガード)の発動がないまま一定期間を過ぎれば関税が撤廃される。民主党は「経済連携調査会」を党内に設置して、TPP交渉の結果が国益や国会決議に反していないかなどの問題点検証を進めている。また、政治とカネ疑惑が浮上した森山農林水産大臣や馳文部科学大臣、公職選挙法違反(寄付行為)にあたる可能性が指摘されている島尻沖縄及び北方担当大臣ら新閣僚の資質問題も徹底追及する構えもみせている。こうした問題を閉会中審査で追及するとともに、世論をテコに臨時国会の召集を実現していきたい考えだ。

 

 政府・与党は、閉会中審査での議論や世論の動向などを見極めたうえで、臨時国会を召集するか否かの最終判断をする。ただ、臨時国会の召集を見送る方針で、その代わりに通常国会の召集を例年の1月後半から前倒しする方向で調整に入っている。

通常国会では、TPPの大筋合意を受けた国内対策や1億総活躍社会の実現に向けた緊急対策などを盛り込んだ今年度補正予算と、来年度予算を早期に成立・執行するとともに、TPPの国会承認や重要法案の成立などに万全を期したい考えだ。ただ、来年7月25日に任期満了を迎える参議院選挙が控えており、通常国会の会期を大幅延長することが難しい。このことから、臨時国会の召集を1月4日にする案が浮上している。選挙戦の準備にも余裕を持って対応できることや、野党の「逃げ腰」批判をかわす狙いもあるようだ。

 もっとも、民主党など野党側は、通常国会の前倒しよりも臨時国会を召集すべきと主張している。衆参両院の予算委員会での閉会中審査後も、与党側に審議要求を行う可能性が高い。与党は、野党側がさらなる要求を行えば、農林水産委員会・経済産業委員会などの連合審査で閉会中審査に応じることも含め柔軟に対応するようだ。

 

 

【1億総活躍国民会議、29日にも初会合】

23日、政府は、安倍総理が新たな看板政策として打ち出した1億総活躍社会を実現するための具体策を検討する「1億総活躍国民会議」の構成メンバーについて閣議決定した。国民会議の議長には安倍総理が、議長代理には加藤勝信・1億総活躍担当大臣がそれぞれ務め、閣僚11人と民間議員15人が参加する。

 

 このうち民間議員は、経済政策・財政分野から高橋進・日本総合研究所理事長や、土居丈朗・慶應義塾大学教授を、雇用・労働分野から樋口美雄・慶應義塾大学教授や、菊池桃子・戸板女子短大客員教授(仕事と子育ての両立、女性のキャリア形成)を起用した。経済界と連携して働き方改革などを進めるねらいから、榊原定征・日本経団連会長や三村明夫・日本商工会議所会頭を加えた。また、地方創生関連では、有識者団体「日本創成会議」の座長として人口減少問題の提言を行っている増田寛也・元総務大臣が入った。

 このほか、結婚・子育て・教育分野では、少子化ジャーナリストの白河桃子氏や、松本理寿輝・まちの保育園代表、宮本みち子・放送大副学長が、若者の就労支援では工藤啓・NPO法人育て上げネット理事長が参加する。高齢者・介護分野として飯島勝矢・東京大高齢社会総合研究機構准教授と対馬徳昭・社会福祉法人ノテ福祉会理事長、障害者支援分野として大日方邦子・日本パラリンピアンズ協会副会長と、松為信雄・文京学院大教授が加わる。

 

加藤大臣は、民間議員のメンバー構成について、1億総活躍関連分野に精通する各専門家や実務者らを幅ひろく起用するとともに、可能な限り年代や男女のバランスを取った点を強調したうえで、「それぞれ違う切り口で、新たな視点に立った議論が進むと期待している」と説明した。政府内での議論重複を避ける観点から、経済財政諮問会議など政府の有識者会議メンバーを務める7人が兼務での起用となった。

 経済再生や地方創生、雇用・労働、社会保障など1億総活躍社会の実現に係る政策課題が広範囲に渡っており、他の所管とも重複する部分も多い。そのうえ、他の有識者会議と兼務ではないメンバー8人のうち6人も省庁の審議会などに関わったことのある経験者で、国民会議での議論が従来の焼き直しにとどまるのではないかといった懸念の声も出ている。加藤大臣は「これまでやってきた政策、やろうとする政策を横串でみながら議論する」と、省庁横断さらにそれを超越して多角的に政策課題を検討し、実現に向けて着実に取り組んでいくことが重要だと強調した。

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霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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