『シリーズ 記者が見たヲタ的台湾旅行記』~第3回 宿泊・観光~

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一流キャリアはもちろんのこと、LCCも就航する台湾。
気軽に行ける旅行先で大人気なのはすでにご存じだろう。
3泊4日の台北取材旅行で記者が見たヲタ的旅行記を、時系列ではなくカテゴリーに分けて紹介する「シリーズ 記者が見たヲタ的台湾旅行記」全3回。
シリーズは「乗り物」、「食べ物」、「宿泊・観光」というカテゴリーで紹介する。

なお、今回は現地取材でお世話になった『Dr.データ復旧』東京オフィスの渡辺さんが通訳と案内をしてくれた。

(参考記事)
 東京で対応できない場合は台北で! “HDDの病院”『Dr.データ復旧』台湾本社に行ってみた
 https://getnews.jp/archives/1189262

最終回は宿泊・観光編。仕事で行っても街角見物くらいはするだろう。そんな、がっつり観光ではない街歩きを、宿泊したホテルを紹介しながらレポートする。

合理的と言えばあまりにも合理的

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台湾のモバイル環境はすこぶる良い。
最近は日本のキャリアも海外でパケット定額が主流になっているが、あんなものを使っていたらいくらお金があっても足りない。海外ではキャリア提供のローミング通信はすべて切ってモバイルルーターをレンタルするのが賢い。
しかし、台北ではフリーWi-Fiスポットが充実していて、しかも速度がすこぶる速い。
桃園空港の到着ロビーで旅券を示して登録すればすぐに使用できる市内のWi-FiスポットIDを発行してくれる。使える場所は限られるが、登録しておいて損はない。
その使い方はパンフレットでもくれるのかと思ったら、そんなものはないと、ラミネートされた1枚のシートを見せてくれた。
これを覚えておかなければならないのかと思ったら、写真に撮れという。これは日本人にはない発想で、合理的と言えばあまりにも合理的なやり方だろう。最近のスマホは解像度が高いので、写メでも十分に読めるから、これはこれでいいアイデアだと思う。

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両替は空港で済ませた。基軸通貨である日本円は米ドル、ユーロの次にレートが表示される。到着が夜だったので、とりあえず1万円札を1枚出して両替してみる。
手数料の30元を引かれて、2604元が手元に来た。なんだかお金が減ったような感じで寂しい。
台湾の通貨は、英語表記でニュー台湾ドル、紙幣の表記は圓(円)、しかし値段の表記は元。なんだかややこしい。

こだわり過ぎの新築ホテル

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記者が宿泊したホテルは、新驛旅店・復興北路店という、ホテルチェーンだ。
9月にオープンしたての新築ホテルで英語表記はCityinn Hotel Plus。

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カードロック式だが、磁気式の差し込むタイプではなく、ドアノブにかざすだけの非接触式の最新型。

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湯船はないシャワールームはガラス張り。

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洗面台はシンプルにして機能的。

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部屋はダブルベッドサイズで、日本のビジネスホテルよりも断然広い。

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暗証番号式の電磁ロック金庫や、タッチパネルの集中照明スイッチを装備。

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ベッドメイク済みの札にはチョコレートが添えられていた。

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壁掛けの超大型テレビモニターはパナソニック製。
テレビだけではなくビデオオンデマンドも無料。NHKワールド受信可能。

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便器はウォシュレット完備のTOTO製。

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中国語のドアは「押」は推しメンの「推」と表記する。

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反対に「引」は拉致の「拉」と表記する。

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ボディソープとシャンプーはプッシュ式の容器が付けられている。

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2階ラウンジは、宿泊客専用の共用スペース。
食器が完備されていて、自由に使用できる。

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共用PCは3台。1階ロビーにも2台あるが、日本語非対応。
しかし、googleの日本のサイトにアクセスしてローマ字で打ち込むと、たいていのものは検索できるので閲覧だけならさほど問題はない。
全室で高速Wi-Fi完備なので、ノートPCやスマホが快適に使用できる。

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コインランドリーがあると聞いていたのだが、コインすら不要の無料のランドリールーム。洗剤も無料で備え付けられている。
全自動洗濯機と乾燥機もパナソニック製と、このホテルの備品は日本製にこだわっている。

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電子レンジはもちろん、コーヒーメーカー、紅茶や緑茶、チョコレートドリンクまですべて無料。

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1階ロビーの共用PCコーナー。
このホテルには供食施設がないので、食事はすべて外でとることになるが、電話以外に料金がかかるものはない。

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新聞コーナーには読売新聞国際版がある。衛星版なので、台北には当日のお昼頃配達されるとのことだった。
同ホテルには日本語ができるスタッフがいるが、記者が宿泊している期間は日本人の宿泊客がいなかったのか、スタッフが日本語の新聞を取り置いてくれて、ホテルに戻るとロビーでわざわざ手渡してくれた。この心配りはありがたかった。
なお、日本との時差は1時間で、UTC+8時間。

街中は微妙に日本と違い面白い

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歩行者用LED信号機は青の場合、アニメーション信号となり、人が歩く動画となる。

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ショッピングセンターの模型店。TAMIYA製のプラモデルが圧倒的に多いが、旧日本海軍の空母がディスプレイしてあるのには驚いた。イージス護衛艦でも置いておけばよいものを、なにゆえ航空母艦なのか。親日台湾の一面を見たような気がした。

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ガチャコーナーは大盛況。コーナーとはいっても全部で100台くらいあるだろうか。圧巻だ。

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街中にはコンビニは多い。日本の見慣れたチェーンが多い。

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「全家」とはファミリーマートのこと。上には大戸屋が。日本では定食屋だが、台湾では吉野家さえも日本食レストランとして営業しているという。

行天宮・寺院か神社かモスクか

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外国人観光客はあまり来ない行天宮。
関帝廟(びょう)の一つとして台湾では信仰者も多いと聞く。
雰囲気は寺院だが、神社にも近いものがある。

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神社で言うところの手水場。手を洗い、口を清める。

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しかし、日本の神社では水をひしゃくですくって口に含んですすぐだけだが、ここでは冷水器から水を注いで飲んでしまうところが違うところ。

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とにかく人が多いので、どこで何をしてるのか、よくわからない。

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お堂の中で経典を読んでいる声がスピーカーら聞こえてくるので、それに合わせてお祈りをしているように見えた。
この場面は、イスラム教のモスクに似ていないでもない。

台北の原宿

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台北市内で日本の原宿的存在だと説明された地域にやってきた。

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なんだか趣のある建物を見た時にピンと来た。これは日本人による建造物だと。
もらった日本人・韓国人用パンフレットには日本語とハングルで説明書きがあった。

1908年に西門紅楼が建てられてから今まで、すでに百年が経ちました。もともと台湾で初めての政府が建設した公営市場で、今全国で最も古く、完全な三級古跡市場建築物でもあります。当時台湾総督府建築科を担当し、西洋建築が得意だった日本籍建築家近藤十郎が設計しました。若くて大胆なアイデアで、「八卦造型」をとりいれ、八方から集まってくるイメージを市場の入り口にして、「十字架造形」を市場の主体の特色にしました。これは空前絶後であり、東西建築史上初めてです。現在いわゆる八角楼と十字楼に、隣の南北広場を加えて、「西門紅楼」と呼ばれます。

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2007年11月台北市役所文化局は、台北市文化基金会に運営管理を委託して、文化的な活動内容で新しく作り直しました。八角楼内の二楼劇場、中央展示区、百寶格、西門紅楼茶坊、西門紅楼精品区と十字楼縦段の16工房、文創孵夢基地と十字楼横段の河岸留言西門紅楼展示館および北広場の市場、月光映画館、南広場の露天カフェ区など多元的な地区を設け、西門紅楼全体のサービスを向上し、新しい創意空間を作り、新しいグループを引きつけ、新旧台北文芸の交流の場所を拡大し、台北市の新しい文化創意産業発展の中心に変身することに成功しました。並びに2008年第七期【台北市都市景観大賞】歴史空間活性化賞を獲得しました。

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2009年は1年を通して芸術・文化イベントを多数開催し、計400万以上の入場者を呼び込んであり、西区文化創意発展の重要な拠点となっています。2010年も引き続き創意ブランドの育成に努め、十字楼に展示・販売の場として文化創意夢発信基地を設置し、新しい空間と100年の歴史を有する八角楼を組み合わせ、古跡に新しい風貌を与えています。

仮に同じ内容がハングルで書かれているとすると、日帝残滓(ざんし)だとか文句が来そうだが、事実なのだから仕方がない。
しかし、台湾の人々が、こんなに日本人が建てた建造物を大切にしてくれているのを見ると、感謝でいっぱいな気持ちになった。

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いよいよ原宿チックな街中に移動する。
写真の車に突き刺さった剣は、ゲームのオブジェだとか。

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かつて西門町は日本人の移住区だったという。当時は非常に繁栄し、娯楽の中心となり、日本人は大東亜共栄圏アジア娯楽の重鎮だとみなしていたと説明されていた。
街の名称もそのままに、原宿チックな若者の集まる流行の発信地として現在もにぎわっているということなのだ。

台湾旅行の際には、時間があまりなくても、こうした街角散策で意外な発見や、日本との類似点、相違点を探して歩くのも面白い。
食べ物編で紹介したかき氷屋で、案内して同行してくれたお礼に、台湾の20代の若者に日本について何でも聞いてくださいと促してみた。てっきり、秋葉原やゲーム、アイドルやファッション等の日本の文化面について聞かれるのだろうと思っていた。
しかし、彼らの口からついて出たのは、意外な質問だった。

「日本は安倍首相が戦争をできるように法律を変えて(安保法案のこと)、また日本がアジアを占領しようとしているともっぱらの”うわさ”になっていますが、実際はどうなのでしょうか?」

これは驚いた。まさか安全保障の話が出てくるとは思わなかった。政治記者でも解説委員でも論説委員でもないので、あくまでも私見と断ったうえで、要旨次のような回答をした。

日本政府が様々な文書や見解で公式に脅威だと表明しているのは中国と北朝鮮であって、この場合の政府の役目は国民の生命と財産を守ることの一点に尽きる。その意味で、質問の安全保障とはなにも軍事的な脅威の排除だけではなく、自然災害の多い国土を強じんにして地理的にも経済的にも国や国民を守ることにある。TPPもいわば経済的な安全保障の枠組みの一つと考えることもでき、軍事面については外国に対して何かをする理由も意味もない。日本の自衛隊は領土領海を守るだけではなく、資源の乏しい日本の生命線であるシーレーンを守ることも一つの役目であり、外国の領土を侵す目的で設置されているのではない。現在の国際社会の中で貢献できるところは貢献し、協力できる国とは協力するのがグローバルスタンダードだと考える。個人的には台湾の人々とは今以上に協力したいし、国交がないにもかかわらず今までの様々な助けに対して感謝するところであるので、願わくば今後の日本の動向についてありのままを見てほしい。

これで納得してくれたかどうかは記者にはわからなかったが、少なくとも台湾での報道は事実だけのものなので”うわさ”という表現で質問され、日本のメディアのような無責任な勝手な論争はされていないことだけは理解できた。

この短い時間のやり取りで、記者は台湾の若者がどのように日本をとらえているのかを垣間見ることになった。
もし旅行中に台湾の人々と話をする機会があれば、思想信条は別として積極的に議論して外国から見た日本を再発見していただければ幸いである。
(「シリーズ 記者が見たヲタ的台湾旅行記」全3回・了)

※写真はすべて記者撮影

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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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