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KANDYTOWN 『Kruise』インタビュー

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KANDYTOWN。世田谷出身の面子を中心に構成されるヒップホップ・クルーである。まず話の本筋に入る前に、総勢15人で構成されるメンバーひとりひとりを紹介しよう。

B.S.C:ラッパー
DIAN:ラッパー
DONY JOINT:ラッパー
GOTTZ:ラッパー
HOLLY Q:ラッパー
IO:ラッパー / フィルム・ディレクター
菊丸:ラッパー
DJ MASATO:DJ
MIKI:ビートメイカー
MUD:ラッパー / ビートメイカー
NEETZ:ラッパー / ビートメイカー / エンジニア
呂布:ラッパー / ビートメイカー
DJ WEELOW:DJ
YOUNG JUJU:ラッパー
YUSHI:ラッパー / ビートメイカー

上記のような彼らの横断的な担当分野からも分かって頂けるであろうが、ラッパー/ビートメイカー/DJ/エンジニア、そしてフィルム・ディレクターと、様々な才能を持ったアーティスト集団である。

 

B.S.C「もともとはストリートで出会いつつ、学校が一緒だったり、連れが繋がっていったり。みんな殆どフッドが世田谷だったんですよね。そういう連中がどんどん増えていって、今の体制になった感じですね。だから、古いヤツは保育園からの付き合いだったり、13~4の時にはグループになってたり」
YOUNG JUJU「基本的には、YaBastaとBANKROLLっていう、二つのクルー/グループがあって、そこを中心に組み合っていった感じですね。それで2~3年前にKANDYTOWNっていう集合体になっていって」
IO「ステージの上に立ってる時だけがKANDYTOWNっていう訳じゃなく、ヒップホップである以上、自分たちのフッドを愛して、地元をレペゼンして、シスターやブラザー、それに自分達の音楽に誇り持ってフッドを大切にしたい」
その意味では、一つの旗印ではなく、それぞれのメンバーが自然に引き合うようにして現在の形になったというKANDYTOWN。明確なリーダーはいないが、このクルーの精神的な支柱はYUSHIだと、メンバーは口を揃える。

IO「俺らは彼の事を『KING』って呼んでる。それぐらい、YUSHIの存在が大きいですね。YUSHIが俺らの中心だったし、みんなの判断もそうだと思う、YUSHIがNo Goodだって思うような事はやらないっていうのが、自分達の基準になってると思います。KANDYTOWNにリーダーはいないけど、強いて中心人物を上げるなら、YUSHIです」
呂布「ラップを俺らの間で一番最初に始めたのがYUSHIだったし、あいつがいなかったら、KANDYは無いですね、確実に」
そう語られるYUSHIは、ドカット(ex.ズットズレテルズ)の名でも知られるラッパーだが、ニュースなどでも既報の通り、今年2月に急逝が発表された。しかし上記の話の通り、KANDYTOWNには、彼のイズムがしっかりと息づいているだろうし、彼への思いはBANKROLLの“KING”や、KANDYTOWNが制作したPV:YUSHI“42st”などからも、感じ取ることが出来る。

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これまで、KANDYTOWNとしてはフリー・ダウンロード「KOLD TAPE」や、フィジカルとして「BLAKK MOTEL」、そしてYouTubeへの楽曲発表があるが、クルーでの作品と平行してソロとしてのリリースなど、散発的/突発的な形ではあるが、リリース量は少なくない。
YOUNG JUJU「NEETZのスタジオで録音してますね。KANDYの作品は全部NEETZが録ってて」
NEETZ「エンジニアリングだったりマスタリングだったり、録音周りの事は全部やってます。」
KANDYTOWN名義の作品に収録されているのは、メンバーのソロ曲であったり、何人かで組み合った作品が中心で、全員が一つの曲に纏まるといった、いわゆるバンド的なグループ・アプローチではない。それはヒップホップのクルー・アルバムとしては全く珍しくない構成なのだが、ロックやポップスの文法からすると、やや驚きを感じるかもしれない。
呂布「それぞれの面子が作っていったモノを集めた感じですね。勿論、そこからのセレクトはするけど、基本的にはフラットに作ったモノが中心ですね」
YOUNG JUJU「全員でやろうと思えば出来るけど、誰も言う事聞かないと思う。仲間でもあるけどライバルでもあるから、あえて誰かがイニシアチブを取ることもなくて」
そのイメージからは、もしかしたら内容的にバラバラで、分散的なイメージを持たれるかも知れないが、メンバーごとのカラーを重視したカラフルな内容でありながら、一本芯の通った作品になっている事に驚かされる。USで言えば、PRO ERA周辺のようなサンプリングや90′s的なアプローチを中心にしながら、決して懐古主義ではなく、現在進行形のサウンドを鳴らしているのが非常に興味深い。(このインタビューはカラオケ・ボックスで行ったのだが、彼らが途中歌ったのが、オリジナル・ラヴ“接吻”、山下達郎“蒼氓”の二曲。そこからは「メロウ」で「ドラマティック」なサウンド性を、彼らが求めていることも感じさせられたし、その空気感はアルバムから感じさせられる)

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MIKI「10代からずっと一緒にいるからフィーリングは似てるし、好きな音楽、方向性は自然と似てるのかなって思いますね」
IO「恵比寿『ソウルシスターズ』っていうソウル・バーで遊んでたり、渋谷のGrow Aroundにクローズをゲットしに行ったり、バーバーでチルしたり。そうやって一緒にいることが多いし、そのシチュエーションの中から曲づくりが始まっていったり」
決して彼らの音楽は綺麗なものではないし、彼ら自身、全く品行方正な感じではなく、ストリート育ちを感じさせる所作がある。しかし、不思議な事に、タフではあるがダーティではなく、粗野な部分はあるが卑ではない、どこか品の良さを感じる部分を彼らが持っているのは、大きな特徴だと思わされた。立ち位置はアンダーグラウンドでありながら、「いかにも」なアンダーグラウンドな雰囲気を彼らからは感じない部分に、それは通じるかもしれない。
彼らの新作となる「Kruise’」は、彼らと同じく次世代を担うであろうトラックメイカー、noshとダッグを組んだ一作。今作も限定500枚という絞った枚数のリリースとなっている。
B.S.C「特に意味があって500って訳ではないんですけど、感度が高くて、音楽が好きな奴に届けばいいかなっていう枚数がそれぐらいかなって」
YOUNG JUJU「やたらに広げるんじゃなくて、リアルな奴らが知ってくれればいいかなって思いますね」
呂布「捌ける枚数が重要な訳じゃないから。進化はしたいけど、自分たちでありたいから、ひとまずはこれぐらいの枚数に抑えておこうかなって」
MIKI「早い者勝ちって感じですね」

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