ステレオタイプな“ハッカー像”はもう古い! リアルなプログラミングが見れる名作映画たち
106分間、あなたが目にしたものは、果たして真実か? ドイツで大ヒットを飛ばし、ハリウッドがリメイクに飛びついた、
驚愕の“マインドファック・ムービー”『ピエロがお前を嘲笑う』が9月12日より公開となります。
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クライマックスに訪れる、映画全てをひっくり返すほどのトリックに「見破れない」「絶対騙される」という声が続出。“見るものの心を混乱させ、絶対騙される”かつての『メメント』『シックスセンス』、近年では『インセプション』などの映画を欧米の映画ファンは〈マインドファック・ムービー>と呼びますが、本作もマインドファック・ムービーの決定版として評価が高いこの映画。
天才ハッカーである主人公・ベンヤミンが、プログラミング技術を駆使してハッキングを行う様子がリアルに描かれているのも注目です。
かつて、映画に出てくるハッカーといえば、いつも何か食ってるデブ、又は瓶底メガネのガリが、変な形のキーボードを連打してる、WINだかMACだかLinuxだかわからない変なパソコンをつかってる、デタラメなコードを打ち込んでいる、ハッキング中に「よーし、いい子だ……」とかPCに話しかけちゃう……などなど、ステレオタイプな描写がほとんどでしたが、近年生まれたハッカーが活躍する映画はそうではありません。
本作ではマシン語(コンピュータに直接指示を与える2進数の羅列)という、高度なプログラミング技術を自由にあやつるハッカー、ベンヤミンが主人公で、実在するハッカー集団「アノニマス」の行動に似た、様々なハッキングで世間を騒がせます。今回は本作以外にも、近年生まれた、ハッカーが大活躍、リアルなプログラミングの描写もみれる映画をまとめました。
『ピエロがお前を嘲笑う』ベンヤミン
(比喩ではなく物理的に)コンピューターと会話できる天才ハッカー
得意なプログラミング言語:マシン語
『ピエロがお前を嘲笑う』の主人公・ベンヤミンは、パソコンのCPUに直接命令を下す「マシン語」(普通の人間が見てもただの2進数の羅列であり、ごく一握りの専門的な知識を持っている人間でなければ理解できない)を自由に操るスーパーハッカー。マシン語を理解できるスキルを持っていることがきっかけで仲間ができ、ハッカー集団「CLAY」を結成、2010年ごろから話題になっている実在のハッカー集団「アノニマス」の行動(犯行)によく似たハッキング事件を繰り返し世間を騒がします。
あまり知られていないハッカーの世界を描くにあたり、監督のバラン・ボー・オダーは「コンピューターを使うニキビ面のハッカーというステレオタイプなイメージを打ち崩すことが必要だった」と語っており、従来のハッカーが出てくる作品のように、「キーボードを無茶叩きする」「実際何やっているかわからない」という描写ではなく、深く思索しながらコンピューターに向かうベンヤミンらの姿は非常にリアル。
『ソーシャル・ネットワーク』(2011)マーク・ザッカーバーグ
ボロいパソコンとスクリプト言語で世の中をひっくり返した男
得意なプログラミング言語:Perlほか
プログラミングの天才だが、全く社会性が無い主人公マーク(・ザッカーバーグ)、コンパで女の子に冷たくされた腹いせに、寮にこもって後にfacebookの元となるイタズラHPを一夜にしてつくり上げるシーンはあまりに有名。Apacheで大学のデータベースにアクセスし、Perlでガンガンコードを書く様がリアルに描かれ、プログラミング経験者が見れば、何を作っているのかハッキリわかるほど。その他にも、テキーラを煽りながらのハッカソン、曇りガラスにアルゴリズムを書きなぐる、爆音のクラブでミーティングをするなど、ハッカーたちのカッコいいエピソードが詰まった青春映画。
『ドラゴン・タトゥーの女』リスペット
映画史上最も美しいハッカー
得意な言語:SQL
上の『ソーシャル・ネットワーク』でマークをフッた女の子を演じたルーニー・マーラが、全身タトゥー&ピアスといういでたちのハッカー・リスペットを演じた『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)も尋常ではないかっこよさ。
リスペットが犯罪者データベースを検索するシーンでは、リスペットがデータ操作言語であるSQLの正確なコードを打つ様が画面に現れる。昔の映画のようになぜかキーボードを強く叩いたりせず、静かにコンソールに向かう様は、国内外のプログラマー/PC好きたちが「正しいPCの使い方をしている映画が誕生した!」と喜んだとか喜ばなかったとか。ダニエル・クレイグ演じる主人公・ミカエルがPCをトロ臭く(ショートカットを覚えていない)使っているのを呆れ顔で見るなど、凡人にハッカーがイラつくという細かい演出も。
『サマー・ウォーズ』(2011) ケンジ&侘助
仮想世界・OZは日本製
得意なプログラミング言語:Ruby
天才的な計算力を持つ主人公・ケンジはコンピュータ部所属。夏休みは特に予定もなく、世界中の人々が使っている仮想世界OZのメンテナンスのアルバイトをして無為に過ごしていた。そこに現れたあこがれの先輩・ナツキに、恋人のふりをして故郷に帰省してほしいという依頼を受けるが、とある出来事がきっかけでOZの暴走を食い止めることに。
劇中、ナツキの叔父・侘助が暴走したOZを解体するために用意したプログラミングコードが何であるか、劇場公開時及びTV放映時にネット掲示板やSNSで特定作業が行われ、現在は日本生まれのコンピューター言語Rubyであるとされている。これに関して細田監督ら制作陣の言及は見つからないが、国産のコンピューター言語を劇中に使うところにこだわりを感じる人は多い。
ちなみに物語のクライマックス、ケンジが2056桁!もの暗号をメモ紙で暗算、鼻血を流しながら「お願いしまあああああす!」と叫びながらエンターキーを叩く名シーンは、金曜ロードショー放映時、twitterが「お願いしまああああす!」で埋めつくされる。
『ジュラシック・パーク』(1993)レックス
UNIXだ!これなら知ってる!
得意なプログラミング言語:不明 みんなが嫌いなデブはPascal
実在するUNIXファイルシステムの3Dインターフェース「FSN」を、小さな女の子・レックスが「UNIXだ!これなら知ってる!」と言いながらスイスイと操作、ジュラシック・パークのセキュリティを復旧させる姿にワクワクを覚えた人間も多いはず。
GUIがやっと標準になりはじめた20年以上前に3Dインターフェースを実現していた「FSN」だが、当時のコンピューターファンの想像を超えていたのか、「映画による非現実的なコンピュータの描き方」という扱いをされてしまい、誤解が解けたのはだいぶ後のこと。レックスの使用した言語は不明だが、ジュラシック・パークのセキュリティ担当で、みんなを裏切って恐竜のDNAを横流ししようとして恐竜にやられたデブ・ネドリ―はPascalを使用していたことがわかっている。
※トップ画像は『ピエロがお前を嘲笑う』
http://pierrot-movie.com
(C)Wiedemann & Berg Film GmbH & Co. KG, SevenPictures Film GmbH 2014; Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH
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