震災後の首都圏生活に変化 震災1か月後の生活と消費意識アンケート結果
東日本大震災から1か月後、首都圏の生活と消費意識はどう変わったのか? リサーチ・アンド・ディベロップメントとクロスマーケティングは共同で『首都圏における震災1ヵ月後の生活と消費の意識に関するアンケート』を実施した結果を4月25日に発表しました。調査時期は4月8日~4月11日、昨年10月にインターネット調査を行った首都圏40km圏に居住する18~75歳男女個人4260名のうち3088名から回答を得ました。
調査結果によると、首都圏生活者の約6割が「私生活は震災前の元の状態に戻った」とする一方、社会全体に対しては約6割が「震災の影響が続き、元の生活に戻るには時間がかかる」と回答。今後は「景気が悪化し、不況で生活が苦しくなるのではないか(非常に感じる43.7%、やや感じる46.3%)」「電力不足で不便な生活を強いられるのではないか(非常に感じる36.6%、やや感じる53.5%)」などのほか、地震発生や物価高騰、放射能による健康被害への不安も大きいようです。
震災後1か月後までに何らかの品不足で困った経験をした人は85%、1か月後時点でも73%が「品不足だと感じる商品がある」と回答。しかし、「いつもより多めに買っている商品がある」と回答した人は13%にとどまり、震災直後に見られた“買い占め行動”は沈静化していることがうかがわれます。ちなみに、買い占めのきっかけになったのは「店頭での商品不足」と62%の人が回答。品不足による不安が買いだめを誘発したと考えられます。また、買い占めに影響を与えた情報源は「テレビ(45%)」「友人や近所の口コミ(21%)」があげられました。
震災後の生活で心がけていることとしては「節電(84.2%)」「節水(41.6%)」「非常用食品や水をストック(32.0%)」が上位に。他にも「いつでも家族と連絡がとれるようにする」「外出を控える」「生鮮食品の産地確認」などの回答が目立ちました。また、前年10月の同アンケートと比較して「買い物は計画的にする」が7.4ポイント上昇し、「買い物が好きな方で、楽しんでいる(16ポイント減)」「レジャーにはお金をかける(4.9ポイント減)」「車を使ってショッピングに出かける(9.6ポイント減)」など、消費マインドの冷え込みが顕著になっています。
消費自粛については、「ふだんは節約してもたまにはささやかな贅沢を楽しみたい(81.1%)」「世の中全体が暗いムードに包まれているように思う(72.7%)」のほか、「こんな時だからこそ明るくなれるイベントや行事を(65.6%)」「被災者を思うと贅沢してはいけない気がする(58.7%)」などの回答が多く、自粛ムードが濃厚のなかにも前向きに世の中を明るくしたいという意識が見られます。
暮らし方への志向や価値観は、震災前後で「あくせくせずのんびりやりたい(68%→74%)」「日本の伝統的な暮らしを大事にしていきたい(45%→57%)」と自分のペースを大切にした安定した暮らしを求める傾向が増加。日ごろの生活意識は「節約のためにモノを大事にしたり電気・ガスの使い方に気を配りたい(48%→59%)」と節約・節制意識大幅に上昇。「古くからあるものの良さを見直して生活に取り入れたい(35%→44%)」なども増え、生活を足元から見直して堅実に生活したいと望む人が増えているようです。
※いずれの調査についても、性別、年齢別に首都圏の人口構成比に比例するよう回答データに補正(ウェイトバック)をかけています。
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京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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