故ギュンター・グラス氏の遺作が発売
『ブリキの太鼓』『犬の年』などで知られ、今年4月に死去したドイツの作家、ギュンター・グラス氏の遺作「Vonne Endlichkait」が、ドイツの出版社「Steidl」から刊行される。
スペインの日刊紙「El Mundo」の報道によると、グラス氏はこの作品を死の数日前まで制作。小説に加え戯曲、彫刻、版画と、非常に幅の広い創作活動を続けたグラス氏だけに、その内容はドイツ語の口語体で書かれた詩と散文、そしてイラストが混在する独特なものとなっている。全編176ページからなり、同紙は「凝縮された恋文であり、反射であり、嫉妬の熱であり、風刺であり、退廃や死、そして神からの問いすらが暗示される幸福の瞬間」と評す。
Sale a la luz la obra póstuma de Günter Grass(El Mudo)
グラス氏は1927年、ダンツィヒ(現ポーランド・グダニスク)生まれ。彫刻家・石工として生計を立てつつ創作活動をつづけ、1959年に刊行した『ブリキの太鼓』で作家としての地位を確立した。その後も小説や詩、彫刻、絵画と多岐にわたって活躍し、1999年にはノーベル文学賞を受賞。文学・芸術分野にとどまらず、政治参加への熱意や時に大きな論争を巻き起こす発言でも知られている。2006年に自伝的作品『玉ねぎの皮をむきながら』で、ナチスの武装親衛隊にいた過去を明かしたことでも物議をかもした。
「Vonne Endlichkait」は初版5万部。ドイツ国内では8月28日から書店に並ぶという。
この作品が近い将来日本語訳されるかは不明だが、出版元の「Steidl」のホームぺージでは、その内容の一部を閲覧可能(2015年8月27日現在)。その作品世界の一端を垣間見ることができる。
(新刊JP編集部)
■「Steidl」ホームページ(https://steidl.de/Books/Vonne-Endlichkait-2324303437.html?SID=vt7S1317bafe)
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