『インサイド・ヘッド』光る“感情”の秘密とは? ピクサーが挑み続けてきた軌跡をズラリご紹介
映画史を変えた世界初の長編フルCGアニメーション『トイ・ストーリー』を世に送り出してから20週年を迎えるディズニー/ピクサーが贈る待望の最新作『インサイド・ヘッド』。いよいよ7月18日より公開となります。
【関連記事】映画『インサイド・ヘッド』―はちゃめちゃな設定のはずなのに矛盾を感じない考えつくされた頭の中の世界(絶対オススメ★★★★★)
https://getnews.jp/archives/1024522 [リンク]
これまでの全ての作品で新たなる技術を開発し続けてきたピクサーが、本作でもそのチャレンジ・スピリットを発揮。フィルムメーカーのコメントと共に、スタジオが挑んだ新たなる挑戦をご紹介します。
までの新技術とはどんなものだったのか? 例えばピクサーの人気作、『モンスターズ・インク』に登場するサリーの毛は約230万本で、これをアニメーションにするため、1コマの処理におよそ11~12時間もかかったそう。
しかし、前作『モンスターズ・ユニバーシティ』では、シミュレーションの技術を飛躍的に進化させ、サリーの毛は前作比の2倍以上、約550万本で表現これにより、大学生時代のボサボサした(?)複雑な毛並みを見事に描き出すことに成功。また処理能力の向上により、一コマに描くことができる複雑なモンスターの数も増え、我々の想像をはるかに超えるモンスター達の大学をリアルに表現しているのです。
【ピクサーが開発してきた、新たなる技術の一覧】
1995:『トイ・ストーリー』/世界初のフル3DCGアニメーション
1998:『バグズ・ライフ』/しずく(水や液体の動きの特性)
1999:『トイ・ストーリー2』/1シーンにおける粒子の数で新記録
2001:『モンスターズ・インク』/毛(サリーの毛皮)
2003:『ファインディング・ニモ』/海(水中の世界)
2004:『Mr.インクレディブル』/スーパースーツ(様々な環境下での布地)
2006:『カーズ』/車体への映り込み
2007:『レミーのおいしいレストラン』/食べ物のリアルな艶
2008:『ウォーリー』/リアルなゴミ(=汚れ)の世界
2009:『カールじいさんの空飛ぶ家』/風船個々のバラバラな動き
2010:『トイ・ストーリー3』/古くなったオモチャのキズや汚れ
2011:『カーズ2』/車体への映り込み(『カーズ』からバージョンアップ)
2012:『メリダとおそろしの森』/ボリュームたっぷりのカーリーヘア
2013:『モンスターズ・ユニバーシティ』/毛(サリーの毛皮)※前作比2倍以上
2015:『インサイド・ヘッド』/光源そのもののヨロコビの表現
『インサイド・ヘッド』でも、新開発された技術が! 今作が今までの作品と異なるのは、11才の少女ライリーが生活する“実際の世界”と、感情たちがいる“頭の中の世界”という、2つの世界を描いていることだ。ファンタジーに溢れた頭の中の世界は、実際の世界とは全くの別物。さらにユニークだったのは、キャラクター自身が光を放っているという点です。
『モンスターズ・インク』『トイ・ストーリー3』等のヒット作を手がけ、本作で照明監督を務めるキム・ホワイトは、撮影を振り返り、「照明部門の最大の挑戦のひとつは、ヨロコビに照明を当てることだったの。以前には光の源になる登場人物なんていなかったから。何か光るものに照明を当てようとしても、うまくいかないのよ。ただもっと明るくなってしまうだけだし、色の複雑さを出すことができないから、彼女のかわいらしさや魅力がなくなってしまう」とコメント。
ヨロコビは自身が光を放つ光源であり、さらにその体はシャンパンの泡のような細かい、光る粒子によって構成。この、ピクサー史上初となるキャラクターを描くにあたって、彼らは新たなる技術を開発した。その結果、予告編でもわかるように、魅力的な表情でハツラツと動きまわり、自身の感情であるハッピーな気持ちを全身で表現するヨロコビを描きだすことに成功しているのです。
チーフ・クリエイティブ・オフィサーとして、スタジオの全ての映画を監修するジョン・ラセターは「いい映画を作るためには、素晴らしいストーリーが肝要です。だからこそ、ピクサーではストーリーの質がほかの何にも優先する」と、映画作りの根底を語る。その言葉通り、ピクサーでは徹底的なリサーチと、何度も練り上げられて生み出されるストーリーが何より大切にされています。
そして、最高のストーリーに欠かせない魅力的なキャラクターを描くために、新たなる技術が常に必要とされるのだ。今までで最高の映画を作り出すことにこだわるピクサーの映画は、いつも新しい驚きと感動を我々に与えてくれます。『インサイド・ヘッド』はいよいよ7月18日公開、必ず劇場で!
『インサイド・ヘッド』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=nkGEYYv4rDc
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。