古市憲寿インタビュー「フィンランドから日本が学ぶべきこととは?」~マガジンハウス担当者の今推し本『国家がよみがえるとき』

access_time create

9784838727612

こんにちは、マガジンハウスです。みなさんはフィンランドという国について考えたことはありますか? そんなには考えないかもしれませんが、たまにはありますよね。イメージとしては…福祉国家、サウナ、ムーミン、白夜、カウリスマキ…あとは…IKEA? あ、それはスウェーデンか。H&M? それもスウェーデンか。
今回おすすめする一冊をお読みいただくと、そんなフィンランドに「あれ、日本にとってロールモデルになるんじゃないの?」という新たな印象が加わるかもしれません。著者は、今をときめく古市憲寿さん!(とトゥーッカ・トイボネンさん)

―――古市さん、最初にお聞きするのも何ですが、このような真面目な本を、どうしてマガジンハウスから出版しようと思われたんですか?

古市 「固い本にしたくなかったんですよ。日本で知られているフィンランドはごく一面であって、もっと色々な側面を知ってもらいたかったんですが、それを普通に論文にしても誰にも読まれないと思ったし。でも、”北欧”自体はマガジンハウスっぽくないですか?」

―――そうですね…CasaBRUTUSとかクウネルとか(共にマガジンハウス発行の雑誌です! よろしくお願いします!)、弊社のオシャレ部門とは仲良しな感じですね。

古市 「本のデザインも可愛いでしょう」

20150629_154258


かわゆい。

―――これ、帯を外すと日本語がなくなるんですね。古市さんは、学生時代にノルウェーに留学されるなど、元々北欧にご興味があったんですか?

古市 「そうですね。特に政策にはとても興味がありました。今度、育児に関する新刊が出るんですが…」

―――おっと他社の宣伝はそこまで!

古市 「いや、育児政策をみても、日本は北欧に学ぶべきところがたくさんあるんですよ。北欧では子育てや男女平等という問題が、国の未来に直結していることをみんなよくわかっている。専門機関も発言力があります。社会として産みやすい環境であるかを考えると、今の日本は絶望的ですよね」

―――古市さんは、どうして育児問題に熱心なんですか?

古市 「だって少子化って、社会の一大事じゃないですか。未来予測をするには人口を見るのが一番いいんです。経済を成長させるには人口を増やすか生産性を上げるかしかないわけですけど、今の日本は人口問題には無頓着すぎます。北欧は、仕事と家庭を両立しやすい環境をつくることで、高めの出生率を維持してきました」

―――一方で日本は…?

古市 「けっこう異様な現状だと思うんですよ。少子化や労働力不足という国家レベルの問題を解消してくれているはずの親、特に”お母さん”に対して国が冷たすぎる。労働力不足が深刻とか言っている中で、待機児童が存在すること自体がおかしいんですよ。お母さんは働くなとか、ベビーカーで電車に乗るなとか、基本的人権さえ認められていないんですよね」

―――それ以前に、お金がなくて子供を産み育てるのに不安があるという声も多いですよね。

古市 「そう。子育てに際し”お金どうしよう”っていうレベル。北欧のように社会で育てるという感覚がない。北欧やフランスでは、学費も大学まで基本的に無料だったり、育児手当が十分に出たりして、子育てに日本ほどお金がかかりません」

―――それにしても古市さんって、男性だし子どももいらっしゃらないのに、仰ることがすごくリアルです。

古市 「周りの友だちとか同級生は今、出産ラッシュなんですよ。でも大学生ぐらいの頃から少子化問題については考えていました。ただね、少子化は本来、政治家が考えることなんですよ!」

―――そうですよね…。と、育児政策では完全に後れをとっている日本ですが、逆に北欧より恵まれていることって何でしょうか。

古市 「出版マーケットの大きさじゃないですかね。日本は人口が多い上に、読書人口がとても分厚い」

―――おっ。

古市 「フィンランドはとても小さい国だから、出版物も少なくて、大学図書館に行っても英語の本ばかり。日本のように、自国語で高等教育まで受けられるというのは、恵まれていると思います。日本人の英語力の低さが問題になりますけど、それって幸せなことですよね。フィンランドで英語が話せなかったら、まともな仕事につけないですから。まあ、日本も今後、人口が減って国力も下がったらわからないですけど」

―――確かに、日本語しかしゃべれなくても大学卒業して就職もできちゃいますよね。うーん。

古市 「日本社会ヤバいヤバいって言いますけど、実はフィンランドのほうがはるかにヤバい国だったんです。国が何度もつぶれそうになっている。でもそのたびに復活してきた。だから、ヤバいヤバい言う前に、この本を読んでくれたら嬉しいです。フィンランドも完璧な国ではもちろんないですけど、日本よりはきちんと未来のことを考えていますよね…」

―――はい、すみません…。というわけで、古市さんの保育園の本は小●館から発売です。あ、違う! マガジンハウスから発売のフィンランドの本! 是非お読みくださいね。

IMG_9097


古市さん、お忙しい中ありがとうございました!

今週の推し本

『国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』
  古市 憲寿、トゥーッカ・トイボネン 著

ジャンル : その他
ISBN : 9784838727612
定価 : 1500円 (税別)
発売 : 2015.06.18
[http://magazineworld.jp/books/paper/2761/]

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 古市憲寿インタビュー「フィンランドから日本が学ぶべきこととは?」~マガジンハウス担当者の今推し本『国家がよみがえるとき』
access_time create
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。