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「飲食業界をITで『脱ブラック化』できる環境がようやく整った」 予約台帳アプリ「トレタ」中村仁氏インタビュー

「飲食業界をITで『脱ブラック化』できる環境がようやく整った」 予約台帳アプリ「トレタ」中村仁氏インタビュー

レストランや居酒屋などの予約管理を、タブレットひとつで行うことができる予約台帳アプリ「トレタ」。サービス開始1年半で登録店舗数は2800を超え、2015年4月には予約サイト大手の「Yahoo!予約 飲食店」との連携を発表。利用店舗が大きく増えそうな勢いだ。

創業者で社長の中村仁氏は松下電器(現パナソニック)などを経て、2000年から東京・西麻布の「豚組」などの人気飲食店経営を開始。「トレタ」開発の裏には、「ブラック業界」といわれる飲食業をITで変えていきたいという長年の思いがあったようだ。
従業員に負担を強いてきた飲食業が曲がり角に

――いま就職活動中の学生の間では、「飲食業界はブラック企業が多いから避けよう」という話が当然のようにされています。

中村 ブラック企業も、2つに分けて考える必要があると思います。ひとつは「利益を上げるために意図的にブラックな手法を積極的に採っている会社」、もうひとつは「やむを得ず消極的にブラック化せざるをえなくなってしまっている会社」です。

10数年間、飲食業界にいた経験から言うと、ほとんどの飲食店は後者で悪意のないブラック企業です。デフレが進む中、あれだけの価格であれだけの料理を出して、サービスもするには相当な経営努力がないと成立しません。

そのコストは、どこかで埋め合わせしていかなければならない。仕入れは徹底的に削減するとして、それでもどうしようもないところは働く側にしわ寄せが行かざるを得ない。それをやらないと会社が潰れてしまい、従業員も路頭に迷ってしまう。

したがって時給が上がりにくく労働時間も長く、残業代も支払わないということになりがちです。個人経営から大企業まで、そうしないと存続しないというギリギリのところまで追い詰められているのが飲食業界の現状ではないでしょうか。

――なぜそこまで追い詰められてしまったのでしょうか。

中村 経営者が「それしか方法がない」と思っているからです。世の中の情報化がこれだけ進んでいるのに、飲食業の現場ではほとんど進んでおらず、アナログの人力、人海戦術で仕事をしています。それがいま曲がり角に来ていて、このムリを解決するためにはテクノロジーの導入が必要だよね、というところにようやく至っています。
ツールの進化を促した「タブレット」と「クラウド」

――これまでも「ITで業務改善」を考えた人もいたと思うのですが。

中村 現場が使えるところまで「ツールが進化していなかった」ということです。松下幸之助の「水道哲学」のように、誰もがテクノロジーを安価に使いこなせる環境になって初めて、現場の仕事を機械にやらせ、人間は人間にしかできないことに専念できる。

ここ2~3年で変わったのは、スマートフォンやタブレットなど安価な「スマートデバイス」の普及です。キーボードやマウスなどを使わず、タッチで操作しやすいデバイスが登場した影響は大きい。ソフトの使い勝手に関するノウハウも溜まってきました。

「クラウドサービス」登場の影響もあります。以前なら自前のサーバを立ててシステムをゼロから作り、24時間体制のオペレーションをつけると、月5万から10万円はもらわないとペイしなかった。それがいまでは月1万2000円(トレタ)で提供できます。

――飲食業で、事務職のようなIT化の効果が出るものでしょうか。

中村 実は飲食業の長時間労働のうち、顧客サービスに直結する「接客」に費やす時間は意外と少ないのです。お客様を迎えるための清掃など、陰でやらざるを得ないことに加え、書類作業がいまだに多い。

毎日の食材発注も、いまだにファクスを使っている店がほとんど。「予約管理」ひとつを取っても、お店では電話で予約を受け付けてノートにメモをし、それを日ごとに集計して清書し、さらに別の紙で席決めをしています。

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